第8話 エルフの力

 エルフの問題が一段落して今度はメイがゴーレムの製造に入る。


「そういえばここ二日間はクレイゴーレム2体とストーンゴーレムとアイアンゴーレムを1体ずつ召喚してたんだよな。」


 メイが頷く。


「鉱山掘るのにあとどれくらいクレイゴーレムいる?」


 そろそろ採掘要因足りてるんじゃないだろうか。


「もういいかも。教えてくれてありがとうその分をアイアンゴーレムに回す。」


 メイがアイアンゴーレムを増やそうとする。


「アイアンゴーレムだと1体しか製造できないんじゃ無いの?それだったらストーンゴーレムなら2体製造できるならそっちのほうがうれしいかな。」


 将来的に銃を持たすなら数がいた方がいいしストーンゴーレムよりデカいアイアンゴーレムは一部屋にいっぱいいるとお互いの動きを妨げてしまう可能性がある(なんせ通路を通るのがギリギリなのだ)。部屋数が少ないならストーンゴーレムのほうが有用だろう。


「わかった、そうする。」


 そう言ってメイはアイアンゴーレム1体とストーンゴーレム3体を作った。




 さて、今日も一日頑張るかっと思った俺だったが朝からエルフを召喚し、無理して銃まで模倣で生み出したので魔力が不足気味でよたったところを無事にメイに目撃され、今日の一日休養を言い渡された。


 暇になった俺はベッドの上で自分の能力を確認し、魔物が20体になって実積解除で部屋が一つ増やせることに気がついたのでダンジョンコアをいじり地上階を一部屋増やした。ちなみにゴーレムの配置は昼間は地上階の奥の部屋にアイアンゴーレム1体とストーンゴーレム2体、入口側の部屋にアイアンゴーレム1体とストーンゴーレム3体、ダンジョンの外にもアイアンゴーレム1体とストーンゴーレム2体を配置している。部屋にいられても通るのに邪魔なので外を警戒させてるのだ。


 逆に夜は火狐たちの連れて行ったゴーレムたちも帰ってきて、外ではゴーレムたちは夜目が利かないので部屋が少し狭くなるが地上階の二部屋にアイアンゴーレム1体とストーンゴーレム4体に配置して残りのストーンゴーレムと1体とアイアンゴーレムは召喚部屋で待機するようにするつもりだ。




 昼になって火狐たちが午前中の成果を持って帰ってきた。エルフは傷を癒やすヒリグ草と魔力を回復するエネル草と2種類の薬草を取ってきてくれた。植物の知識のあるエルフが増えたことで魔力効率がだいぶ変わりそうだ。


「これ、このまま食べるのか?」


 とはいえ、どうやって摂取したらいいのかわからない。


「エキスを絞り出して水と調合してポーションにするのが一般的ですね。わたしも調合のスキルを入手したので可能ですがドワーフはスキル無しでこの手のことができてしまいますのでメイさんにおまかせします。」


 さすが物作りに定評のあるドワーフ。メイも自信満々に頷いてるので任せることにする。エルフに採取してきてもらってどんどんポーションは作ってもらおう。


「なあ、この薬草たちってダンジョンで栽培できないの?」


 まあ無理だよなと思いながら聞く。


「根付くような場所ならどこでも栽培できますよ。そもそも、この植物たちは光合成の代わりに魔力を吸収して育ちますから魔力濃度が高いダンジョンであれば地上より成長が良くなるらしいですよ。まあ、普通の植物も豊穣の恵みのスキルがあるのでダンジョン内でも作れますけどね。」


 エルフが当然のように肯定した。できちゃうんだ。これは結構大事な情報だ。あとは畑を手に入れないと。


「ちなみにうちのダンジョンの魔力濃度ってどれくらいなんだ?」


「魔力濃度とは辺りに漂う魔力の濃さのことです。辺りに魔力を放つ存在が多ければそれだけ濃度は上がりますし、近くに大きい魔力があればそれだけでも濃度が上がります。」


 つまり、大きい魔力が近くに多ければ多いほど魔力濃度が上がるってことか。


「このダンジョンに存在する魔物のうちゴーレムは微弱な魔力しか持ってないので数が増えても魔力濃度に与える影響はほとんどありません。」


 うちの最大勢力は魔力濃度をほとんど上げてくれないらしい。


「ですので、マスターとマスターが召喚したわたしたちの魔力保有量でこのダンジョンの魔力濃度が変わるのですがマスターと火狐さんの魔力保有量はそれほど多くありません。2人の魔力では、地上で育てるのと大差無いでしょう。」


 まあ俺の魔力量なんてたかが知れているし、火狐の召喚コストそれほど重くなかったのでそんなもんだろう。そして、この言い方なら魔力濃度を上げる要因になるのは残りの2人ということになるだろう。召喚コストもこの2人は大きかったしね。


「次にエルフであるわたしの魔力ですがエルフは元々魔力保有量が比較的多い種族なのでわたしがいるだけでも魔力濃度は1ランクくらい上がります。」


 エルフがここで言葉を切る。まあ、残りはメイだがメイは名付けによる進化で魔力保有量も上がっているはずだ。ゴーレムの製造数も増えてたし。


「残るはメイさんですがドワーフの魔力保有量は本来エルフほど高くありません。しかし、名付けで強化されたメイさんは一般的なドワーフの倍の魔力を保有しているので彼女がいるだけで周辺の魔力濃度は数段あがります。わたしたちのそばで育てれば地上より4倍くらいの成長速度にはなるでしょう。」


 エルフはそう結論づけた。4倍か、結構早いんじゃないか。


「それって時間に換算するとどれくらいだ?」


「普通は1年ほどかけて成長する植物たちですので3ヶ月ほどですかね。」


 思ったより長かった。植物って生長するのにそんなにかかるのか。


「それってエルフの豊穣の恵みのスキル込みで?」


「そうですね。込みでの時間になります。」


 これ以上短縮するには魔物を増やさないといけないか。とはいえ、安定して入手したいのでで栽培するのだが。


 大きめの植木鉢を模倣で4つほど生成し、ヒリグ草とエネル草を鉢二つ分ずつ栽培することになった。植物の世話はエルフに丸投げである。エルフが召喚できて良かった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る