第7話 新たな仲間

 俺はその間にダンジョンの増強に入る。メイが進化して最上位種のウェルダードワーフになったことやここ二日でメイと火狐のジョブレベルが上がったこと、ゴーレムたちが増えたことによってできることが増えた。


 まず『湧き水』が設置できるようになった(最大2つ)。これで水問題が解消されそうだ。それから部屋は普通の部屋が7部屋と隠し部屋が階層毎に最大1つずつ作成できるようになっている。各隠し部屋を含めて配置できる部屋数は最大9部屋。ダンジョンの発展のために鉱山とメイの工房は必須だから残りが最大で7部屋か。いろいろ悩んだ結果1階層を一部屋にして地下に8部屋作った。


 地下階の一番奥をダンジョンコアの置いてある部屋にしてここは寝室として使う予定だ。ベッド二つと火狐用の藁を模倣で生成しといた。ダンジョンの地面は固かった(石レンガで作ったのだから当たり前)のでこれで快適に寝れるようになるだろう。


 ダンジョンコアの部屋の手前に通路を挟んで部屋を配置。会議室の予定でテーブルといすも準備している。ちなみに食事もここで取る予定。左右にはメイの工房ともう一つの隠し部屋を作った。隠し部屋の奥にさらに隠し部屋からしかいけない部屋をもう一つ作った。ここを風呂建設予定地として湧き水も設置する。今度メイに風呂用の大きな桶を作ってもらおう。ちなみにそのメイのために工房には作業机といすを作っといた。ここまででかなり魔力を使ったが快適さのためだからしょうがない。この部屋からメイの工房側にもう一つ通路を繋いでおり、その奥に資材倉庫を作った。工房からはどちらにもアクセスできるようになっている。


 会議室の前の部屋は地上階への通路がある部屋で池もここに作った。そして、資材倉庫とこの部屋の間に通路で繋いで鉱山を設置した。メイとの話し合いでこの部屋でゴーレムの作成や召喚を行うことになったのでこの部屋は召喚部屋と名付けられた。一応、ストーンゴーレムを2体この部屋に配置して侵入者はここまでで防ぐことになっている。


 地上階は残りのストーンゴーレムとアイアンゴーレムを配置して守りを固めた。実質、ここが唯一の防衛部屋で地下は移住スペースだ。


 そうこうしてるうちに火狐たちが帰ってきて夕食の時間になって一日が終わった。ちなみにテレパシーで会話した火狐はメスだった。








 翌日、起きた俺は予定通り召喚の準備に入る。エルフの召喚魔力はドワーフより重いとメイが教えてくれた。保有魔力がドワーフより多いかららしい。エルフが確定で召喚できるわけではないしもっと保有魔力が多い魔物が出てきて俺が倒れる可能性もあるためメイは召喚に立ち会うと宣言し俺の隣にいる。火狐も心配なのか後ろで見ている。ちなみに俺が倒れた場合の指揮官代理がメイであることは確認しておいた。新たに召喚される魔物にも文句は俺が起きてから言えと書き置きを残してある。いらないことを願うが。


「召喚」


 辞書とサーチの魔導書を置いた俺は魔法を発動する。なんだかんだで五日ぶりの召喚だ。魔方陣が輝き触媒が魔方陣に取り込まれ俺の魔力がごそっと減っていく。


「ぐっ。」


 力が抜けて立てなくなりそうになるのを頑張ってこらえる。どうやら倒れずにはすんだようだ。


「自然の管理者エルフ。召喚に応じ参りました。マスター、これからよろしくお願いします。」


 俺と同じくらいの歳の見た目をしたエルフの少女が目の前に現れた。


「ソータだ。これからよろしく。」


 エルフに向かって挨拶する。


「ソータ様ですね。よろしくお願いします。」


 エルフがもう一度挨拶する。そうすると横からトントンと方を叩かれる。


「マスター。わたし、自己紹介されてない。」


 メイに不満そうに言われた。


「そうだっけ?じゃあ、改めて。俺は上宮創太。呼び名は好きに読んでくれ。」


 改めてメイにも挨拶することになった。一応火狐にもおまえも好きに呼んでいいぞとアイコンタクトする。


「じゃあ、ソータって呼ぶ。」


 とメイが宣言すると奥からテレパシーで「パパ~」と聞こえた。パパはさすがにまずいんじゃないか。




 エルフがメイや火狐とも挨拶を済ませたところで俺はエルフの能力を確認する。


『エルフ


 自然の恩恵を受けて戦う種族


 <自然の管理者>


 Lv1:<森の番人>〔豊穣の恵み〕


〔豊穣の恵み〕:このスキルを持つ者の周りの自然は成長が早くなる。


 <森の番人>


 森を守るために戦う能力


 Lv1:{ウォーターカッター}〔遠距離適正〕


〔遠距離適正〕:遠距離攻撃の命中率があがる。』


 待望の遠距離攻撃持ちの魔物がダンジョンに加わった。スキルの豊穣の恵みもいい能力だ。そのうち、ダンジョンで栽培を始めたときに役に立つだろう。


「エルフのメインの攻撃手段は魔法でいいのか?」


 できればウォーターカッターでの魔法攻撃をメインにしてくれた方がうれしいが本人の希望も無視できない。好みとかあるし。


「魔法と弓と両方使える方がいいですね。魔力切れも矢が切れるのも怖いですし。」


「弓か。一応素材はあるよね?」


 メイに確認する。


「作ることはできる。でも、銃も試して欲しい。弓よりも強力。」


 メイが銃を勧める。


「でも、あれは弾が製造ができないから普段使うのは難しいぞ?」


 メイの考えがつかめない。


「いざというときのために銃に慣れて欲しい。たぶん、わたしたちの中で一番当たる。」


 確かに。弓を作るにしても銃が撃てることは重要か。


「とりあえず、アサルトライフル見てもらうか。」


 俺たちは鉱山に移動する。とりあえずクレイゴーレムたちには鉱山から退避してもらってアサルトライフルの説明をする。それから、アサルトライフルを渡して試し打ちしてもらう。


「ここのこれを引いて。」


 ババババババババン。生で見るとやっぱ現代の兵器すごいなと思ってしまう。


「なんですか、この兵器。」


 ビックリしたエルフが聞いてくる。


「俺が元いた世界の武器。」


 これ以上の説明をするのは難しい。質問に答えれてるか微妙だけど。


「確かに弾が製造できないなら普段は使えなさそうですね。それとこんなに一気に数を撃てば当たるみたいなのは申し訳ありませんがあまり好きでは無いですね。」


 どうやらお気に召さなかったらしい。


「狙いをつけて撃てればいいの?」


 アサルトライフルを単発で使うなら普通にライフル渡した方がいいだろうけどさすがにライフル一式は魔力が足りなさそうだ。


「うーん。今魔力足りないしな。とりあえず今日のところはこれでいい?」


 どうせ弓も作るのに時間がかかるだろうからとりあえずハンドガンを模倣して渡す。


「使い方はさっきと同じように引き金を引くんだけどこれは弾が一発ずつしか出ないうえに射程が短いからいざというときのサブかな。」


 ハンドガンは射程が長いわけではないので使いやすさはアサルトライフルに劣る。使い方を軽くレクチャーするとエルフは部屋のほぼ反対側に落ちている石に向かって狙いをつける。


「こうですか。」


 パァンと一発音がして弾が少しズレたところに着弾する。


「ああ、なるほど。」


 エルフがつぶやいて次の準備に入る。そして2回目でしっかり命中させる。


「さっきのよりこちらのほうがあってる気がします。威力も弓より高そうなのでこれにします。」


 今日のところはメインは魔法で足りなくなりそうならハンドガンも使うとのこと。足りなくなる前に帰ってきて欲しいが。


 ということでエルフには火狐と一緒に狩りにいってもらうことにした。前衛として今日もストーンゴーレム2体も一緒だ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る