第4話 レベルアップ

 夕方になってきたのでドワーフと火狐も帰ってきて夕食になった。日本ではまだ明るいうちに夕食なんてことはあまりなかったがここでは夜は真っ暗なので必然的に暗くなる前に食事することになった。


 ちなみに狩りの成果は朝の一匹の他にイノシシが1匹とウサギが3匹だ。それに果物がいくつかというのが今日の夕飯になる。


 イノシシは相変わらず苦戦したようだがウサギは近づけさえすれば簡単に倒せたそうだ。




「イノシシの素材は使えそうか?」


 食後、イノシシの素材を加工していたドワーフに声をかける。


「うん。骨は殴打武器として役に立ちそうだし牙はピッケルにしてみた。これで採掘の効率も上がる。」


 ドワーフにとってはやはり鉄を入手することは大事なのだろう。まあ鉄は形も自由に変えられるからな。


「これから少し掘ってくる。」


 ピッケルを完成させたドワーフは日が暮れるギリギリまで採掘するつもりのようだ。


「無理するなよ。」


 そう言って送り出した。


 ドワーフが採掘する音をBGMに俺は『上宮創太の書』を取り出す。召喚した魔物が増えたから何か追加されてないかと思ったんだが


『<魔導書庫>


 Lv2:〔魔導書ストック10〕〔スクロールストック20〕〔魔法効率アップ小〕


 <ライブラリアン>


 Lv2:〔魔術解析〕〔学習〕〔魔力量アップ小〕


〔魔術解析〕:発動した魔方陣を読み取って発動した魔法の知識を得るスキル


 <魔導書作家>


 Lv2:{魔導書作成(初級魔導書)}〔魔力量アップ小〕


 <ダンジョンマスター>


 Lv2:{名付け}


{名付け}:魔物に名付けをすることで自分の魔力と引き替えに魔物を進化させるスキル


 名前をつけた魔物とはパスが繋がり魔力を持っていかれるようになる。(クールタイム10日)


 実積解除:魔物のジョブレベルアップ(報酬:部屋上限+1)』


 なんかレベルアップしていた。薪や木の実を拾ってるだけでレベルアップするとは考えられないので自分が召喚した魔物の経験値が入ってきたと考えるほうがありえる話だと思う。ドワーフたちもレベルアップしてるみたいなので能力を確認する。


『ドワーフ


 <小人の職人>


 Lv2:{ゴーレム作成}〔攻撃力アップ小〕


{ゴーレム作成}:ゴーレムを作成する魔法


 <鍛冶師>


 Lv2:{鑑定}




 火狐


 <火狐>


 Lv2:{催眠術}』


 ドワーフがゴーレムを作れるようになったことと火狐が催眠術を覚えたのは大きそうだな。とりあえずドワーフに報告に行く。


「ドワーフ、おまえゴーレムを作れるようになったみたいだぞ。」


 一心不乱に採掘を続けてたドワーフに声をかける。


「ゴーレムの作成。これで門番が立てられる。」


 今は火狐が外を見てくれているが疲れ知らずのゴーレムがいてくれればダンジョンのセキュリティはだいぶ上がる。


「一度にどれくらい作れる?」


 ゴーレムも数がいてくれればできることは増える。


「ちょっと待って、やってみる。」


 ドワーフはピッケルを置いてゴーレムの製造に取りかかる。


「ストーンゴーレム作成」


 まず一体目の作成に成功。まあ1匹も製造できないなんてことは無いだろう。これは石で作ったゴーレムだ


「あなたは入り口を守って。火狐、門番はゴーレムに任せてあなたは休んでいいよ。」


 声をかけられた火狐は、コンっと鳴いてこちらに向かってくる。とりあえず近くにきたので撫で回してやる。本当にこの子はかわいい。


「クレイゴーレム作成」


 二体目のゴーレムの製造ににも成功した。こちらは土で作ったゴーレム。ストーンゴーレムよりコストが安い代わりに脆いらしい。


「二体目はどうする?」


 製造に成功したドワーフは俺に聞いてくる。使い道を考えてなかったらしい。


「鉱山を掘るのをゴーレムに任せたらどうだ?そうすればおまえの手が空くだろ?」


「確かに。でもゴーレムはバカだから簡単な指示しか出せない。鉄を見つけるまで掘れって言ったら鉄以外が見つかっても気にせず掘り進んじゃうかも。それに目がそんなに良くないから夜は結局活動できない。」


 それ門番する上でも問題だな。夜は夜目の利く火狐に門番を任せるって選択肢もあるが昼も頑張ってもらってるのでちゃんと休ませてあげたい。


「この一部屋目は夜もたき火をしておこうか。それとゴーレムには何か見つけるまでって指示の仕方にすれば問題ないだろう。」


「わかった。」


 ドワーフがさっそく指示を出す。ドワーフはもう一体呼ぼうとしたがさすがに呼べなかったようだ。


「クレイゴーレムならもう一体くらい呼べるかもと思ったけど無理だった。」


 ドワーフが少し残念そうに言う。


「いや、二体呼べれば十分。ゴーレムが召喚できるようになったのは大きいしこれからの方針について少し話し合おう。」


 ドワーフに向けて俺は提案する。ドワーフが同意すると俺たちは奥の部屋に戻っていった。








「作れる部屋が一つ増えたからドワーフにはそろそろ工房を作ってもらいたいと思う。」


 今後の方針を決める会議は俺のそんな一言から始まった。


「でも、まだ鉄も入手できてないし工房を作っても何も作れないですよ?」


 ドワーフが首をかしげる。


「いや、イノシシの骨とか牙とか加工するのに作業用の部屋があったほうが集中できるかなと思ったんだけど。どのみちいつかは必要になるし。」


 俺は理由を説明する。


「作ってもらえるのはうれしいけど貴重な一部屋をそれで使うのはもう少し考えたほうがいい。」


 ドワーフは今工房を作るのには消極的なようだ。


「意外と部屋作っても使い道無いんだよね。鉱山をこれ以上作っても今ですら掘る要員が不足気味だしこの部屋は半分物置と化してるからこれ以上部屋作っても余るのは間違いないしそれよりは工房に一部屋割いたほうが効果はあると思うんだよね。魔物が増えれば部屋も増えるだろうし鉄が採掘できるようになったらすぐに武器も準備したいしね。」


 俺が理由を説明する。このダンジョンはまだまだ魔物が足りてないのでスペースが余っているのだ。


「わかった。だったら一部屋もらう。」


 決まったので部屋を作ることにする。さっそく、ダンジョンコアを操作、タッチパネルから『部屋追加』を選択する。あれ?『隠し部屋』って項目ができてる。気になって調べると


『実積解除:ダンジョン内に魔物を3体配置(報酬:隠し部屋)


 隠し部屋:見ただけでは見つからない部屋(階層毎に部屋数の1/3まで設置可能)』


 と書いてあった。工房見つかっても困るし隠し部屋にするか。奥の部屋の横に隠し部屋を設置する。ゴゴゴと音が静まると俺は設置した辺りの位置の足下の石レンガを踏む。そのうちの一つが少しだけ沈み込んでゴゴと壁が開く。


「サイズこれくらいでいい?」


 一応、旅館の一部屋くらいのスペースはあるけど炉のサイズによってはこれでも狭いかなと思ったが中をのぞいたドワーフは


「十分。ゆったり作業できるくらいのスペースはある。」


 と言っていたので問題無さそうだ。暗くなってきたので設営は明日になった。そうこうしてるうちにゴーレムが石炭を見つけたので掘り出して、ゴーレムにはまた採掘してもらった。

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