第32話 チート王妃がエロかった件
そう、声と同時に衝撃が走った。
感覚的には、殴られたのではなく、蹴り飛ばされた…だ。
ヒューーー!!
幸いにも、最初のさば折り的な衝撃はあったが、痛みはない。
ヒューーー!!
が、現在、絶賛吹き飛ばされ中だ。
ヒューーー!!
ついには、火球を追い越し、俺を追尾して迫る5色の光,
いったい何が何やら…。
とりあえず、王妃の居場所と5色の光の正体を確かめねば!
ヒューーー!!
「鑑定!探知!」
先程は、魔法を使う前に邪魔された。
だが今は、吹き飛ばされ中…魔法の詠唱ぐらいはできる。
(あれ?)
「鑑定!探知!」
んー!
「………」
これはマズいかも…。
魔法が発動しないのだ。
ヒューーー!!
おそらくは、王妃が言った『捕捉』。
その後の『オール•キャンセラー』という謎魔法…いや、スキルか…。
対峙していたのなら、レジストも出来ただろう。
だが、遠距離だからと、無防備に魔法を受けてしまった。
俺は、腐っても設定屋だった男。
詠唱後に魔法やスキルが使えなくなった理由なんて、容易に想像ができる。
『オール•キャンセラー』
対象の魔法やスキルをすべて無効化する類の魔法だろう。
無効化とは、その結果であり、正確には、相手の魔法やスキルが発動する前に、強制的にキャンセルしまくっいるのだ。
発動するわけがない。
ヒューーー!!
王妃、チートにもほどがあんだろーが!!
クソが!!
ヒューーー!!
(つか俺、いつまで飛んでんの?)
今更ながらに、自分がリミッター無しで使った『転移』のデタラメさに、我ながら若干ヒキ気味になる。
そう…俺は今
引くわーー!!
な状況化にあるのだ。
☆☆☆
ドッカァァァーーン!!
まるで、壁に激突したような効果音。
俺は、何もない空間に激突し、何もない空間に倒れ込んだ。
「おかえりなさいまし」ぺこり
サオリは、顔色変えずに俺を出迎える。
「ずいぶんと遠くまで行っていたな。追尾型攻撃魔法と、加護神が協力してくれなければ見つけるのは難しかっただろう…逃げられなくて残念だったな」
王妃は余裕の表情で、倒れてる俺を見下げた。
ゴゴゴォォ…。
王妃の後ろに、5色のオーラが見える。
「くっ!逃げたんじゃねー!!回避したんだ!!」
キッ!と睨み返しても意味はなかった。
「しかし、私に本気を出させたのはお前が初めてだ!この空間を作ってくれた闇神にも感謝する!通常空間で、この魔法を使ったら、世界を破壊しかねんからな…ハハハ!」
た、確かに!
…じゃねー!
まだ、あの火球が天高くに待機してんじゃねーか!!
そして、王妃の後ろにあるオーラ。
正しくはオーラではない。
5色の光だ。
先程、俺を襲ったやつ。
次第に5色の光が消えていき、本来の姿を表す。
「な!」
俺は、あまりの驚きに、繁殖魔王並みのボキャブラリーで声を上げてしまった。
オーラの光が収まった後、王妃の後ろに控えている5体のドラゴンを見たからだ。
そう、5色の光の正体は属性を表しているであろう様々な型のドラゴン達。
西洋風ドラゴン形態が
赤い
東洋風ドラゴン形態が
黄色い
「………」
間違いない、火竜と水竜はレイナとマオだ。
つまりは、
王妃が転生者で、加護持ちなのはわかっていた。
わかってはいたが、何の加護かまではわかっていなかった。
王妃が転生者で、チートであると言う事実の衝撃が強すぎて、意識していなかったのだ。
では、何の加護だったのか…。
もう、これは間違いない。
王妃は、神竜の加護持ちだ。
「…だよな?」
俺はサオリに問いただす。
「いえ、違います…クスクス」
秒で否定された。
ガーン!
ドヤ顔で聞いたのに、めっちゃ恥かいたわ!
クソがっ!!
☆☆☆
サオリ曰く、王妃の加護は『龍神の加護』。
つまり、レイナやマオの主神の加護の恩恵を受けている。
「そりゃ、寝返るわけだ…」
レイナやマオは、バツの悪い顔をしている。
いわゆる板挟みという立場にあるからだ。
俺の守護神達は、主神から派遣されて一緒にいる。
その主神(龍神)の加護持ちである王妃は、龍神の配下達を自由に使役できる。
どちらが優先かは、火を見るより明らかだ。
だが、これは厄介極まりない。
チートな王妃に、5属性の神竜…。
「フフフ…私はドラゴンマスターなんだよ」ニヤリ
王妃が、わっるい顔で俺を睨む。
綺麗な顔をしてるんだから自重して欲しい…と思うのはワガママだろうか。
服装はジャージ。
だが、その容姿は、凛としていて『ザ•王妃』というオーラが出ている。
そういう気品は、服装に関係なく、無自覚に放たれるものなのだ。
「さて、初手をかわされたとあっては、私もいよいよ本気を出さねばなるまいな…」
今までは本気じゃなかったと?
「さぁ、みんな!私が着替えている間、ヤツの相手を頼む!」
「「「御意!」」」
その言葉に呼応して、5神竜がそれぞれブレスを放ってくる。
グオォォォーー!!by嵐竜
カァァーー!!byマオ
バリバリバリバリィィーー!!by雷竜
ズバァァァァーー!!byレイナ
ズババババァァァーー!!by土竜
現在、俺は魔法、スキルの類が使えない。
つまり、ドラゴンブレス✖️5に対して、生身で対応しなければならないのだ。
だが、無情にもブレスは俺を直撃する。
ズッ…ドォォォォォォォォーーーン!!
傍目から見たら、小さなビッグバンでも起きたかのような大爆発を引き起こしているように見えるだろう。
その中で、土竜のブレスがかなりの役割を果たしている。
土竜のブレスは土砂なのだ。
大量の土砂が、台風のような風に乗って吹き飛んできたら、さながら流星群のような威力であたりを薙ぎ払っていくだろう。
そこに魔力が加わるのだ。
実際、物質の入り混じったブレスなど聞いた事がない。
だが、思い当たる節がないわけではない。
それは何故か…。
土竜が炎のブレスとか、おかしいだろう!
土属性のブレスなら、土砂ブレスとか出さなきゃ…と、とある設定屋が考えだしたものだからだ。
嵐竜もそうだ。
暴風の龍は、すでに世に出回っている。
…かと言って、『風龍』とかにしたら、『風流』と勘違いされてややこしいため、あえて『嵐の竜』と設定屋は命名した。
パクらず、日本語の読みに支障がない名付けをするのは苦労するのだ。
そんな設定を作ったのは…そう。
俺だ!
設定の依頼者が唯一神で、この世界は唯一神が作った…。
その設定が、ここで使われていてもおかしくはない。
でだ。
何故、俺が悠長に、そんな事を考えているのかというと、案外、答えは簡単だったりする。
それぞれのブレスが俺には効いていないのだ。
「あー!背中がゾワゾワする…」
ブレスは効いていないのだが、土竜の土砂ブレスが、少し背中に入った。
ツナギは、こういう事態になった時、実にめんどくさい代物だ。
ツナギ内に侵入した異物を除去するには、全部脱がなきゃダメだからだ。
もしくは、ブーツを脱いで、背中から足元までを、パタパタして落とす。
絵面的には、どちらもよろしくない。
よろしくはないが、とりあえずは後者で除去を試みる俺。
そこに現れた王妃。
その瞬間、そこに居た全員が固まった。
王妃の見た目年齢は25歳ぐらい。
胸もある。
スタイルもいい。
気品もある。
だが、流石にこれはエロい!
(本人に自覚はないのだろうか…)
王妃は、パッツンパッツンの半袖体操服に、あろう事かプルマを穿いて現れたのだ。
これはあれだ。
スタイルと年齢に違和感を感じる、エロいコスプレのソレだ。
実にエロい!
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