第25話 ギャンブル大国『エキサイト』2
「さてと…まずは、やっぱり冒険者ギルドだな」
「お供いたします」
サオリの話では、現在の冒険者は王族や貴族がやっているという。
俄には信じ難いが…。
という事は、今のおかしな国になる以前は、普通に王族と貴族が国を運営していたという事になる。
もし、この国が生まれてから、ずっとギャンブルの勝ち負けで国が運営されていたのなら、王族、貴族の概念は無いはずだからだ。
俺の予想では、元々は、ごく普通の異世界異世界した国だったはず。
そして、いつ、何が原因でどうなったのか、ギャンブルによってジョブがシャッフルされてしまった。
…と考えるのが妥当である。
その根本的な部分を知るためには、現在、冒険者ギルドを運営しているであろう王族に聞くのが手っ取り早い。
俺は、国の真相を確かめるべく、冒険者ギルドを目指す事にした。
「んじゃ、みんな!コロシアムの時の様に装備品になって!」
「「「「「意義ありーー!!」」」」」
ガーン!
秒で却下されてしまった!
「何?何か問題ある?」クイックイッ
「問題だらけ」
風神カナが、俺の袖を引っ張りながら、身も蓋も無い事を言い放つ。
「…んじゃ、誰か説明して」
もう、丸投げである。
そもそも、能力をコントロールするためには、みんなが制限距離、5m以内に居る事が必要不可欠なのだ。
装備品以外何がある?ってなる。
「そもそも、ご主人様に盾はいらない」
byカエデ
「防具もいりません」
byレイナ
「私は忙しい!」
byヨウ
「武器も必要ないかと…」
byマオ
「私は、ご主人様の周りにまとわりつける」
byカナ
「私は、サオリ姉さんと合流するっす」
byナナ
「え?今のツナギ、そのままで歩くの?」
思いっきり不安である。
ブーツは、革製、つまり獣神の加護を持つカエデ製なのだそうだ。
もちろん作っただけで、雷属性の加護が付与されているわけではない。
「な、なら、せめてフードかローブ!これは必要!な?な?」
俺は、プライドを捨てて拝み倒した。
ご主人様とは、いったい何なのか…。
幸い、この案は受け入れられた。
ギリギリご主人様設定の効果があったようである。
ジャンケンの結果、炎神マオが真っ赤なフード付きローブになる事になった。
これで、何とか背中の『喧嘩上等』という刺繍は隠せられる。
セーフ!!
だが、俺は知らなかった。
ローブの背中に黒文字で『闘魂』と書かれていた事に…。
まさか、炎神マオが『燃える闘魂』の、偉大なお方のファンだったなんて、誰も想像できない!
いやね…炎の神だから、わからんでもないよ?
本人も熱血漢だし…。
でもね…まぁいいか…。
☆☆☆
その後、雷神カエデは金色の右手バングルとなり、水神レイナは水色のピアスとなった。
風神カナは、俺の周りにまとわりつくと言い張っていたが、流石に絵面が悪いので、指抜き手袋になってもらった。
色は、限りなく黒に近い緑。
属性色が反映されるため、完全に違う色にはなれないらしい。
何はともあれ、全員が俺の体の衣類や装備品…ではなく、装飾品となった。
どんどんと、
※
※メタる=「高次の」「超える」といった意。
ニヤリw
コホン
サオリの喪服メイド姿は、光神ナナが合わさった事で、ようやく見慣れたメイド姿になっていた。
ブラウス、リボン、スカートのフリルが白。
中々良い。
ただ、光神は闇の中では能力が制限されるらしく、あまり加護が与えられないらしい。
つまり、サオリが影に入っている時、俺が光魔法を軽く放ったら、特大レーザー砲になるという、物騒な事態が予想される。
(気をつけよう…でも、準備はできた!)
パァン!
両手で頬を叩き、気合いを入れ直す。
『気合いを入れているところ悪いんじゃが…一旦、帰還じゃ!ホッホッホ』
「は?」
出たよ!唯一神の空気を読まない念話!
この場合、スピーカーモードと言うべきか…。
洞窟内に響き渡っている。
「なんで?」
『今から王都に向かうんじゃろ?』
「そうだけど?」
『王都に行く前に、とりあえず精算してもらわねば、皆が納得せぬ』
「………」
意味がわからない。
精算ってなんだ?
「クスクス」
サオリが、意味深な顔で笑いながら、指で目の前の空間にステータス画面を映し出す。
「??」
サオリのジェスチャーは、ステータス画面を見て…と言う意味らしい。
スッ…。
「ステータスオープン!」
「次」
サッ!
右へスクロール
「マップ?」
「次」
サッ!
右へスクロール
『ニャンニャンカウンター』
「それです…クスクス」
「??」
すまんが、そもそもこれがわからない。
最初は、7人の名前の横に『1』と書いてあったやつだ。
「え?」
見た当初、『1』だった数字が、大幅に変化している。
それに合わせて、表記も変わっている。
【ニャンニャンカウンター】
貢献度指数
水神 25
炎神 275
【龍神】計300
雷神 50
【獣神】計50
土神 550
【樹神】計550
闇神 1080
光神 20
風神 500
【精霊神】計1600
特別枠 1000
【総合計】3500
『この精算が先じゃ…』
「へ?つか、ニャンニャンカウンターって何?」
『対策を練られてはいかんからのう…わかりにくく表示しておるのじゃよ…ホッホッホ』
これが俗に言う『ブーメラン』。
何か、俺が四字熟語で言っていたセリフが返ってきて突き刺さった気分だった。
現在、『ニャンニャン』と言えば、モフ耳メイドか、異世界風に言うなら、モフ耳猫獣人族を思い浮かべる。
だがその昔、そういう事を指す隠語が流行した事がある。
(某流行語大辞典より)
つまり、唯一神の言う精算とは、4大主神が派遣した、属性神の貢献度に対して、主神が受け取るべき『魔力注入』の回数を指すのだ。
そこから推測するに、『特別枠』は唯一神を指すのだろう。
(唯一神!お前は貢献してねーだろ!)
と言う気にもなれない。
マイペース オブ 自己中
これが唯一神だからだ。
「ご主人様、頑張ってきて下さいませ。では!」
「え?ちょ…」
ゴソゴソゴソゴソ…。
一瞬でマッパにされる俺。
容赦がない。
「よいしょっ!えい!」ポイッ!
俺はサオリにすべてを剥ぎ取られ、全員に持ち上げられて、唯一神が用意した『次元空間』に放り投げられた。
「あぁーーー!!」
「「「「あはははははは!!」」」」
みんなから、無責任な笑い声が送られて、俺は自分の部屋へと飛ばされてしまった。
☆☆☆
それから、精算を終えて帰ってきたのは、実に3ヶ月後の事だった。
地球では正月を迎える直前、異世界では、実りの収穫時期だとサオリが教えてくれた。
【ニャンニャンカウンター】の数値は空白になっている。
ボーッ…。
俺の頭の中も空白になっている。
何?羨ましい?
バカを言うな!究極までやってみればわかる!
やりたくてやるならいい!
最初の3日ぐらいはいい!
だが!
3500回だぞ?
3ヶ月、やりたくなくても絞り取られ続けたら、誰だってこうなる!!
いや、マジで!!
って、あれ?
今回、エキサイトについての話、ほとんどしてなくね?
まぁまぁ、いいじゃねーか!
タイトル詐欺にはご用心って事で!
はっはっは!!
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