第23話 スキルの分析と新魔法の効果
まぁ、鑑定やら死者蘇生が止まらないやらの魔法の弊害は、些細な問題…だ。
まぁ、そうしておこう。
い、いいじゃないか!
鑑定は注意しなければいけない事は経験したし、死者蘇生も、死ぬよりはいい!
だろ?
老衰の老人が生き返ったのだ。
問題があるとするなら、数十年後には、ここが老人エリアになるってだけだ。
問題…ない!
うん!
でだ。
死者蘇生の件は、俺に直接関係ないから放置するとして、鑑定に関しての弊害はなくしておいた方が良いだろうという結論に達する。
もちろん、暴走をしないため、余計な内容を読み込まないため…というのが前提にある…にはある。
…が、本命は、鑑定にレイナとカエデとナナが関わっているかもしれないという事実である。
良く見聞きするのは『鑑定スキル』『鑑定眼』『鑑定持ち』などと言う呼称。
更に『鑑定遮断』なんてものもある。
その上位スキルに『探知』があったり、『認識阻害』なんてものもある。
これらは、魔法扱いではなく、どの場面でもスキル扱いだ。
スキル…そうそれは、この世界においても固有能力扱いなのだ。
地球基準でいうと、訓練や努力、才能の開花によって身につけた能力…とでも言うべきか。
だが、異世界、こと魔法文明の世界においては、訓練もなしに、努力もなしにスキルを会得できたりする。
『固有スキル』なんてものは、その人独自の能力という事にもなる。
ここで、最初に戻るが、鑑定スキルを使った時に、レイナ、カエデ、ナナが反応した事で、スキルは《《ただの固有能カ》ではない…と考えられる事だ。
そうでなければ、ポンポンとスキルの会得なんて出来るはずはない。
そして、導き出される答えは、魔法を使えない一般人であっても、無意識に魔法を使っているのではないかという事。
ポンポンスキルを獲得する人は、魔法適正があり、無意識に自分の能力として会得しているかもしれないという事。
地球で、鑑定スキルを使う事が出来たら、それは間違いなく魔法というカテゴリーに入るだろう。
個々の特性、相性は反映されるだろうが、異世界においても、それは変わらないと考えられる。
戦士は畑を耕さない、良い作物を作る術を知らない。
学者は戦闘向きではない。
農民は国政を回していけない。
戦士、学者、農民、これらの人々には、その人達にあったスキルがあるから出来るのではないかと推測される。
というのを踏まえたら、『鑑定』や『探知』は目や感覚に魔法が使われて使用ができると考えた方が自然である。
使えなかったスキルを難なく会得する場合は、適正がついたか、何らかの理由で押し付けられたか強引に手に入れたか…そうしてスキルを獲得していく。
そう考えたら、目は大半が水分であり、光が必要であり、人の能力を見るためには、電気、もしくは電磁波で解析して可視化できるようになる。
これが、水神、光神、雷神が反応した『鑑定』というスキルではないかと考えられる。
これなら辻褄は合う。
そして、それらの内容をサオリに話してみると、意外な答えが返ってきた。
「そんな事、考えた事もありませんでした。クスクスクスクス」
と…。
ガーン!!
☆☆☆
「で?余興って何?」
ハリセンを持ったヨウが聞いてくる。
ちょ!
絵面的には、脅しにしか見えないからね!
それ!
みんな曰く
土神のヨウは、普段はカエデと同じぐらい脳天気で自由奔放な、陽気な性格らしい。
(会ってから、短気なとこしか見た事ないんだが?)
と思うのは野暮だろうか…。
なんて考えている余裕はない。
いつ、ハリセンが飛んでくるかわからない。
「コホン」
俺は、魔王にかけた魔法について説明をした。
【四面楚歌】
助けがなく、まわりが敵・反対者ばかりであること。
↑
これが地球における定義だ。
それを…。
↓
助けがなく、死ぬまで周りがすべて悪質な敵。
と闇属性を付与して意味づけた。
【因果応報】
過去および前世の行為の善悪に応じて現在の幸・不幸の果報があり、現在の行為に応じて未来の果報が生ずること。
↑
という地球の定義を
↓
過去の行為の悪に対して、及び、現在の悪意が感電という形で未来永劫、その身に降りかかる。
と、雷魔法を付与して意味づけた。
簡単に言えば
①魔王の人生は、これから味方はおらず、死ぬまで悪質な敵ばかりになる。
これからの人生、ぼっち魔王は、ぼっち•ざ•ぼっちになるのだ。
②死ぬまで悪意を持つたびに感電する。
これからの人生、ぼっち魔王は周りが敵だらけになっても、悪意、殺意、敵意の類を抱く事はできない。
その感情を抱いたら、その都度感電する。
というものだ。
異世界人には、四字熟語は難しいだろう。
対策を練られても困る。
相手に気取られず、魔法をかけるには『四字熟語』は打ってつけだと思い、実験的に使ってみたのだ。
「で?その、何が余興?」
「まぁ見てなって…」
ヨウは、ハリセンを構えながら聞いてくる。
やめなさい!痛くないけど怖いから!
しばらくの静観…。
「貴様!何をした!!」
バリバリバリバリィィーー!!
「ギャアァーー!!」
プシュー……。ガクッ
「「「「ギャハハハハハ!!」」」」
「今のは?」
「俺に敵意を向けたから、その代償に感電した」
「ブッ!」
短気だったヨウも、これは気に入ったらしい。
『私も…』
カエデは、そういうと盾から人間体に戻った。
「何するの?」
「えへへ…ちょっとねー」
そういうと、ヨウとサオリにゴニョゴニョと耳打ちをし、3人揃って、魔王の元に飛んでいった。
当然、魔王は攻撃を仕掛ける。
バリバリバリバリィィーー!!
プシュー…。
「「ギャハハハハ!!」」
「おのれぇー!!」
バリバリバリバリィィーー!!
プシュー…。
「「ギャハハハハハ!お腹痛い!やめて!!」」
3人が近づいただけで、魔王はすでに瀕死であった。
サオリは、その光景を見て笑っているだけ。
ただそれだけのために、魔王の側に行ったのだ。
しかし、それもそろそろ時間切れ。
「おーい!そろそろ本命が来るから、撤収ー!!」
「「「はーい」」」
魔王の醜態に満足したのか、3人は素直に戻ってきた。
「ご主人様、結構エグい事する」
「いやいや、カナさん。これ、悪意を持たなきゃ発動しない魔法だからね。悪いのは悪意や敵意を剥き出しにしてる魔王だから…」
「なるほど…ご主人様悪くない」
ふぅ…ごまかせた。
しばらくすると、地鳴りと共にコロシアムのフィールドの地面から、女性悪魔らしき姿の影が大量に湧いてきた。
「来た来た!」
「あれは?」
「あの魔王は、これから本業に戻るのさ」
「ん?」
風神カナは、口数は少ないものの、好奇心は旺盛なようだ。
「風の噂」に関係している…とサオリが説明してくれた。
なんのこっちゃ!
そして、湧き出た女性悪魔が魔王に寄り添う。
「何してるんですか?…魔王様…呑気に寝て…」
容赦なしである。
シコシコ…ブスッ!
フリフリ…。
まてまてまて!
い、いきなり何してんだよお前!!
女性悪魔は、感電して瀕死の魔王に近づくと、イチモツを無理矢理機能させ、ソレにまたがって腰を落として、腰を振り出した。
「ふぅ…我は第45魔王様の第10093王妃である!!くぅ…これ以上、子種をこの地には置いておけませぬ!!あん…今回は我々、悪魔族の敗北を認めましょう!!この地は好きに…うっ…するが良い…いいー!!」
「………」
ヤバい!守護神達が、その光景を凝視している。
このままでは、ここで大乱交が始まってしまう!!
守護神達の教育に悪い!!
と、気に病んだのも束の間、守護神達は、凝視はしているものの、特に興味はなさげである。
「我々は、日々、勉強をしておりますゆえ、これぐらいは…」
と、サオリがサラッと変な言い回しをする。
守護神達の興味は、そこではないらしい。
「なんで1万台の王妃が偉そうなの?」
「……この中で、1番数字的に上だからじゃね?(適当)」
「なるほど…つまり、10092王妃までは来てないと…」
知らんがな!!
こうして、魔王をはじめとする、10093王妃以下、全員が『エキサイト』から撤退をした。
感電させられてても容赦ねーな!
と、同情するのはやめておこう。
おそらく『四面楚歌』の魔法がかかっているからだろうと想像が出来るからである。
繁殖魔王…頑張ってくれ…南無
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