第13話 穴だらけの妄想とマイペースな守護神達

異世界において、割とやらかした俺だったが、サオリの授業は更に続いた。


主に俺が妄想した能力について…だ。


①初期設定で、ラスボスをワンパンでやっつけられるほどの強さ。


これは、内容が曖昧すぎて、『相手の能力に関係なく』発動してしまう強さらしい。

当然、HPもMPもスキルも関係なく…だ。

更に、『ワンパン』でなければ意味をなさない…との事。

『魔法』はダメ、『武器』もダメ、『蹴り』もダメ、『ラスボス』以外は、という域を通り越すらしい。

簡単に言えば、ラスボス以外は、魔石もドロップ品も何もかも消えてなくなる…は?


最悪である。


②レベル1でHP1000万、MP500万

レベル2ならHP1億、MP5000万。

レベルがあがる毎に、桁が増えていく。

最高レベルは1000

1分でHPもMPも1万づつ加算されていく。

予想外な使い方をしない限り、常に無敵状態。


この世界における最大値は

レベル100

HP100.万

MP50万

回復魔法やポーションなどのアイテムを使わない限り、即効性の回復手段は無い。

自動回復のスキルがあっても、早くて1時間、遅くて1日のインターバルが必要。


なんてこった!


③不老不死


種族名はアンデットとなる。

俺の場合、純正の人間ではない…というか、神の子なので(自覚なし)、アンデット神というカテゴリーになるらしい。


それはヤダ!

ちょー格好悪い!


④全属性魔法の使い手


そのへんにゴロゴロいるらしいが、俺の出力は、相当加減をしないと、『何を使っても』世界崩壊にしかならない、とんでもない威力らしい。

初級魔法『ファイヤーボール(これはセーフ)』が、ちょうど太陽と同じ大きさになるとか…は?


思ってたイメージと何か違う!

全然使えない!


「だから、詠唱はせず、頭の中で、ひたすら小さいイメージをして下さいね」

と、サオリはフォローをしてくれたが、良くある異世界物での『制御』とは、何かズレてる気がしないでもなかった。


⑤全属性、全状態異常の強耐性持ち。


これは、永遠に『無効化できない』という意味になるらしい。


チッ!これは気づかなかった!


⑥あらゆる魔法の無詠唱発動。


これは、前述参考…だ!


⑦認識阻害に鑑定阻害、暗視に読心スキルなど、使いたいスキルはなんでも創作できて使いたい放題。

スキルポイントは無限。


これに関しては、⑥と大差無いらしい。


⑧初期装備は、俺が持ったら神器クラスになる。


逆に『手を離したら、その効力は失われる』

だってさ!

アホか!


⑨所持金は、財布にとして、10万相当の白金貨が10枚。

1万相当の金貨が10枚。

減った所持金は、常に補充されて、お金には困らない


…が、『増え』もしない。


白金貨10枚、金貨10枚以上入れたら、余分は消えてなくなる。

だから、ハイヒールは売却して別の袋に入れておいた。


「…と言う事です」

「な、なるほど…」


無敵でクソゲー仕様だと思ってた、俺の妄想能力は、無敵どころか、『穴だらけ』で『使い勝手の悪い』能力だった…という事が判明した。


一言付け加えるなら、威力云々に関しては、俺のせいではない!

断じてない!


つい最近まで知らなかった『両親』のせいだ!

絶対にそうだ!


「まず、そこからおかしいんだ!」

思わず叫んだ俺に、サオリはニヤリと、な笑顔で応えるだけだった。


のちに、各属性のパーティーメンバーが、俺の能力の制御をして、難なく『思い通りに魔法が使えるようになる』事が判明するのだが、この時の俺には、それを知るすべはなかった。


『流石は闇属性』とだけ言っておこう。


☆☆☆


「ところで、この洞窟の大きさって、どれぐらいあるの?」

俺は、ふと洞窟の大きさに疑問を感じ、率直に聞いてみた。


何故なら、最初に見た空間より、明らかに大きくなっていたからだ。


「現在は、約直径50m、高さ15mといったところでしょうか…」

やはりだ…という言い回し。


「最初は?」

「直径20m、高さ7mだったと思います」

「なんで広がってんの?」

「ご主人様が『光あれ!』とかやったのが原因かと…」

「へ?」


そこへ

『『『『『ぶぁっはっは!!あははははははははははははははははははー!!』』』』』

と、サオリの体中から笑い声が溢れ出す。


サオリは目を瞑って、平然と立ったままだ。

…いや、まて!

こいつ、笑いを堪えてやがる!


そのネタをあんまり引っ張んな!!と叫びたい!!


パンパン!

「はいはい!みなさん!お静かに!」

「???」

まてまて!!

みなさんって、俺とサオリしか居ねーじゃねーか!!


『もうそろそろいいんじゃない?』

『だよね』

『賛成!』


「なんの話??」

「要するに、元々、直径100m、高さ100mの巨大な空間を、防蟻壁で固めたために、小さくなっていたんです」

「いや、まぁ、それはそれで十分に驚くところなんだろうけど…」

「ご主人様が、何かやらかすのを見越して張っていた防御壁でしたが、案の定、かなり削られてしまいました」

「だーかーらー!!…」

なんでこう、唯一神以下、全員マイペースなの?

どんどんと『ご主人様』という言い回しにがなくなってきている気がするんだが??するんだが??


俺、舐められてんの?遊ばれてんの?イジられてんの??


☆☆☆


聡明な皆さんなら、すでにお気づきであろう。

闇神以外の6人が待機している場所を!


わからない?

だよな?

俺だって、教えられなきゃわからなかったわ!!


答えはこれだ!


『黒の服に水色のエプロン、白いニーハイに赤いヒール。

黒髪は茶髪になり、緑のピアスに金色のヘアバンドをしている』


つまりだ!

他の6人は、サオリの衣類や装飾品などに変わり、待機していたという事だ。


何?まだ良くわからない?

んじゃ、お得意の箇条書きで…はっはっは!


水神すいじんレイナ→エプロン

炎神えんじんマオ→ハイヒール

風神ふうじんカナ→ピアス

雷神らいじんカエデ→ヘアバンド

土神つちがみヨウ→染髪

闇神やみがみサオリ→本体

光神ひかりしんナナ→ニーハイ


てな感じだ!

そりゃ、奇抜にもなりますわ!


そして、全員がサオリから離れ、最初に見たメイド服仕様で横並びになった。

もちろん、サオリの様々な装飾品やら衣類は元の色に戻り、喪服メイドになっている。

まるで、色が抜け落ちていくような離れ方だった。


まぁ、要するに、主神の元へ戻っていた7人は、『パーティー』としてではなく『守護神』として、俺と行動を共にするを受けて戻ってきた。

…というのが、あちら側の言い分なのだが、果たして、パーティーとして行動を共にする…守護神として行動を共にする…この差に、何の意味があるのかはサッパリわからない。


一緒じゃね?

って思うよな?普通…。


でだ!

あの暗闇で「見ないで下さいね」とか言いながら、ゴソゴソやってたのは何だったのか?って話になる。


サオリ曰く

「反応が見て見たかっただけ」

だそうだ…アホか!

闇属性ハンパねーわ!!


悔しいので、俺はこっそりとの額に『肉』という文字を付与してやった。


名付けて『落書き魔法、マジック魔法』だ!


ザマァ!!

イメージ魔法万歳!!!

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