第9話 謎のLEVEL UP条件
俺はまず、固有名詞を決めるために名前を決める事にした。
そうしなければ、調査も何も始まらないと思ったからだ。
まるで、ゲームの初期設定だ。
はっきり言って、ちょーめんどくさい!
「ネームカード作成!」
7人の名前を決めるのもめんどくさかったので、名前が書いてあるトランプを模したカードを作り、各自に引かせた。
俺の能力『創造スキル(仮)』発動である。
何気に初魔法…フッフッフ!
ようやく異世界っぽくなってきた。
「これだよこれ!やっぱり異世界には魔法は必須だよなぁ…」
カードを出して、感慨無量になっている俺に、生暖かい視線が送られている気がするが、気のせいって事にしておこう。
とりあえず、カードには、サオリ、カエデ、マオ、ナナ、レイナ、カナ、ヨウという名前がそれぞれ書いてある。
それを順番に引いてもらう。
結果
水→レイナ
火→マオ
風→カナ
雷→カエデ
土→ヨウ
闇→サオリ
光→ナナ
となった。
だが、ここで問題が発生!
「「「「これ、なんて読むんですか?」」」」
だとよ!
「あー!そこからかぁー!」
「「「「????」」」」
「いや、いいんだ。日本語が喋れるから、日本語が読めると勘違いしていた俺が悪い…」
クソ!これ、異世界物あるあるじゃねーか!!
☆☆☆
ここに来て、ようやく異世界感満載な事実が発覚した。
日本から転生転移してきたのに、謎文字が読めて、普通に日本語で喋れるパターン。
つまりはここも同じ。
日本語が通じない世界だった!
良く見れば、この屋根から見える娼館のあちこちに見える看板は、どれも良くある謎文字だ。
はっきり言ってイライラする。
異世界だから謎文字。
気持ちはわかる。
わかるが、どうせ『自動翻訳機能』とかで、その謎文字が読めてしまうのだ。
しかも、日本語で喋って違和感なし。
…なら、わざわざ謎文字を表記しなくても良いではないか?
これが俺の感想だ。
ゲームの設定にも、謎文字は使われる。
アルファベットに似せた物もあれば、解読不可能な文字もある。
しかし、設定上、アルファベットにも似た、法則性がなければいけないのだ。
これは、実にめんどくさい。
(なら、やる事は一つだ!)
俺はすかさず、右手の人差し指をかかげ、魔法を発動する。
「世界言語変換!すべて日本基準に統一!!」
これが、初の大魔法行使だった。
ドッバァァーーン!!
指先から魔力が放出され、さながら花火のように魔力は天空ではじけ、その光は世界を飲み込んでいく。
その瞬間、あちこちの文字が日本語、和製英語、一部英語に変わっていった。
「成功した…な…」
ドタッ…。
世界の言語を日本人向けにしたのはいい。
しかしそれは、いわば世界の
そんな大掛かりな魔法を使って、リスクがないはずがない。
案の定、魔力の使いすぎでぶっ倒れてしまった。
運動してない奴が、いきなり全力疾走して足がつり、ぶっ倒れる感覚に似ている。
魔法行使に慣れてないのに、大魔法をぶっ放すとか、ちょっとやりすぎたかもしれない。
「すごぉーーい!!流石!!」
「「「「「くだらねー!ケラケラケラケラ」」」」」
何か、1人以外にバカにされた気がした。
ピロン
LEVEL UP !
闇の化身が使徒に昇格いたしました。
からの、謎の音声。
いわゆる『天の声』『システムメッセージ』みたいなもんだ。
(異世界あるあるだよなぁ…)
消費HP99万
消費MP490万
HPやMPに残量はあっても、一気に使うと負担がある…という事だけはわかった。
(また俺の部屋からスタートか?…まぁいいや…意識がぼんやりとしていく…まぁ、誰かが運んでくれるだろう)
…なんて考えが、大きな勘違いだった事に、後で気づくのだが、その時の俺は知る由もなく意識を手放すのだった。
☆☆☆
ピロン
LEVEL UP !
ピロン
LEVEL UP !
ピロン
LEVEL UP!
ピロン
LEVEL UP!
ピロン
LEVEL UP!
ピロン
LEVEL UP!
ピロン
LEVEL UP!
全員、使徒に昇格いたしました。
闇使徒は下位神に昇格いたしました。
「「「「やったぁー!!」」」」
どれぐらいたっただろう。
けたたましいレベルアップの音声と大歓声で目が覚めると、洞穴…もとい洞窟らしい場所で、地べたに寝そべっていた。
「大丈夫ですか?」
最初に声をかけてきたのは、水の使徒レイナ。
周りを見ると、後の6人はそれぞれの属性を駆使し、木材を集めたり火をおこしたり、電灯がわりに光を放つなどをし、生活に必要だと思える調度品も揃ってて、一応、生活空間らしき場所を確保していた。
レイナに出された、水の入ったガラスコップを受け取り、グイッと飲み干してから、ようやく気がついた。
何故ここまでやって、俺は地べた?
という、なんとも理不尽な光景である。
「まぁいいか…俺、どれぐらい寝てた?」
と、テンプレなセリフでレイナに質問をした。
「約1週間です」
「ちょっと待っててねー!もうすぐベッドできるからぁー!」
「ちょっと動かないで!思考が読めない!」
「私、やる事ない…」
レイナが質問に合った返答をしているそばから、聞いてもないのに土のヨウ、雷のカエデ、闇のサオリが口を挟んできた。
矢継ぎ早に話すみんなを観察していると、火のマオは焚き火の番、風のカナは換気、光のナナは天井に貼り付き、体を光らせている。
何か、みんな自由である。
しかし、俺のためにやってくれているのだと理解はできる。
2人を除いて…。
「テーブルはある、椅子もある…で、今になってベッド?」
俺は、不可思議な行動をする土のヨウに問いかけた。
「だって、私らが休憩する場所がなかったんだもん」
「………」
俺は後回しかよ!
「コホン…でだ。お前は何をしている??」
調度品を作る順番がおかしな事は、ひとまず置いておこう。
1番不可解な事をしてる奴が1人いるからだ。
「え?何って、マモルの思考を読んでる」
雷のカエデは、俺のこめかみに人差し指をあて、何やらやっていたが、俺の思考を読んでいるらしい。
「まてまてまてまて!!なんで俺の思考を読む必要があるんだ??」
「え?そうしないと、何もかもマモルの思っているようにならないからだよ?」
「???」
「唯一神様から『必要になったらマモルの思考を読んで事を進めよ』って言われてたし」
あのクソ神の指示かよ!!
☆☆☆
道理で、あちこちに見えるものに違和感がないはずだ。
俺好みのもので溢れている。
ベッドが最後ってのを除けば…だ。
衣類に関しては、疑問がないわけではない。
全員、メイド服だからだ。
水色、赤、黄色、緑、茶色、黒、白
デザインは様々だが、まぎれもなくメイド服である。
闇のサオリに感しては、メイド服というより、喪服だ。
上から下まで真っ黒。
闇属性は、良く紫を使ったりするのだが、ここでは違うらしい。
ちなみに、全員、身長差は様々あれど、唯一神と同じく、見た目年齢15歳あたり。
レイナとマオ、サオリだけは身長も高く、大人びて見えるので、17、8歳に見えなくもない。
(喪服みたいなメイド服、初めてみたわ)
「で、風が緑で、土が茶色か…という事は、草木に関しては風が担当しているのか?」
口にするつもりはなかったが、つい声に出してしまったらしい。
「ちがぁーう!!」
ぐしゃ!!
俺の言葉に、土のヨウが怒り狂い、作りかけのベッドを潰してしまった。
「え?」
何か、地雷を踏んだらしい事はわかった。
要するに、各属性のうち、土のヨウだけは草木と土を司る樹神の眷族だから、精霊神の眷族である風のカナと勘違いされた事に異を唱えたのだ。
ちょーめんどくさい!
「つか、何でみんなメイド服なの?」
と聞いてはみたものの、答えはわかり切っている。
俺がメイド服好きだからだ。
雷のカエデが俺の思考を読み、みんなに着せたのだろう。
しかし、仮に電気信号で脳波を読んだとして、思考まで読めるのだろうか?
「電気信号を、映像にしてみんなに送電してるからだよ?」
「なるほど…って、いいかげんやめなさい!」
いつまでも、俺のこめかみに指を当てているカエデから離れて、自分のこめかみをグリグリした。
何かが抜け落ちた感覚が残っていたからだ。
「ふぅ…」
「ちぇっ…もう少し奥まで見れたら、面白そうだったのに…」
「な!」
奥…つまり、深層心理まで読もうとしていたわけだ!
あぶねー!
何が出てくるかわかったもんじゃない!
俺自身が意識していない俺の感情…怖い怖い。
そんなもん読まれてたまるか!!
☆☆☆
「まぁ、みんなありがとう。色々あったけど、おかげで一息つけたよ」
「「「「「おぉーーー!」」」」」
お礼を言ったら、何故か全員から歓声が上がった。
ピロン
LEVEL UP !
ピロン
LEVEL UP !
ピロン
LEVEL UP!
ピロン
LEVEL UP!
ピロン
LEVEL UP!
ピロン
LEVEL UP!
ピロン
LEVEL UP!
全員、下位神に昇格いたしました。
今後、全員、眷族から配下になります。
と、また例の謎音声が洞窟中に流れてきた。
「「「「やったぁぁぁーーー!!」」」」
「???」
みんな大はしゃぎ。
俺、頭の上に?マークだらけ。
そりゃそうだ。
レベルアップの音声とみんなの歓声で、先程起きたばかりなのだ。
何もしていないに等しいのに、更にレベルアップするとは思えない。
「今の何?」
「私たち、全員が化身から使徒に、使徒から下位神に昇格したんです」
「私は上位神〜」
闇のサオリだけが、みんなより上がっている。
「ま、まぁ、雰囲気はわかる…けど、いきなり何で??」
「条件を満たしたからです」
代表で、1番冷静そうな
「その条件って?」
「それは…「内緒♪」」
レイナが答えようとした瞬間、雷のカエデが割って入り、うやむやにされてしまった。
条件ってなんだよぉーーー!!
俺はレベルアップしてねーぞぉーー!!
ここの世界では、ましてや神の領域においては、既存のレベルアップ方式ではない…という事だけはなんとなくわかった。
一言言わせてくれ!
めっちゃ気になるぅぅーー!!
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