第7話 異世界事情と決断
「それはそれとして、肝心なのは、こんな面白おかし…コホン。すごい妄想をする人間は他におらぬからじゃよ」
今、面白おかしいって言いかけたよな?
「いやまて!サラッと衝撃の事実を突きつけられたわけだが、俺のカテゴリーは人間って認識でいいのか?」
「はて?どうじゃろうのう…ホッホッホ」
「で、実感はないけど、ただの妄想を授けられたとして、そんなグダグダな設定になってるっぽい、くだらないゲームに参加させられるとか…クソすぎるだろ?!」
と、叫ばずにはいられなかった。
疑問①
俺が人間かどうか怪しくなってきた。
神と神の子なら、神?俺が??
疑問②
『能力を授けた』という言葉に信憑性がなくなってきた。
元々、能力があった可能性は否定できない。
疑問③
何故、ひとつの世界にいろんな設定を詰め込んだのか。
これは意味不明。
疑問④
結局、この女神は何がしたかったのか。
その尻拭いが、何故俺なのか。
そんな疑問が頭をグルグル駆け回る。
で、唯一神から聞いた話によると…。
①地球で言う某シュミレーションゲーム的な世界を作って、その繁栄がどこまで行くかやってみたかった。
②創造神と破壊神が結婚したので、生まれた子を地球で育てて、知識を蓄えてもらいたかった。
③能力は元々高かったが、地球人として生活をするために封印していた。
設定の仕事をする事で、妄想を能力として行使するまでに成長させる計画をした。
④封印解除の儀式(まぐわい)が終わったので、能力を解放できた=授けた。
だそうだ。
これは、尻拭いを通り越して、もはや丸投げ状態だ。
「という事で、お主の力でこの世界を何とかして欲しいのじゃよ」
「…という事で、の意味がわからん!」
「今後、魔力は4人を通して各配下に分配するし、妾は、処女を捧げたお主の嫁となろう…両親の承諾は取ってある!どうじゃ?」
「お?それなら…じゃねー!!全然取り引きになってねー!!それに、まだ疑問はある!やるかどうかは、それを聞いてからだ!」
このままでは、なし崩しに体を提供させられ、クソゲーに身を投じる事になる。
おそらく、真っ当な設定がされている世界ではないのだ。
クソゲー状態にしかなってないのは想像できる。
人それぞれ、思う基準は様々だが、俺の言う『クソゲー』とは、1万円出して買い、スタートしてから30分以内で攻略できてしまう簡単なゲーム。
一日中やっても一面もクリアできず、コンティニューもセーブ機能もない疲れるゲーム。
RPGなら、何故か始まりの村から出れない、各所でヒントがもらえない、お金がたまらない、アイテムが買えない、手に入らない、レベルが上がらない、武器がない、パーティーが組めない、ラスボスまで辿り着けない、ゲームオーバー寸前になって、新たなラスボスとモンスターが一気に出てくるゲーム。
などを指す。
「なんでこうなるまで放っておいたんだよ!何故俺が、クソゲークソゲー言ってるのかわかってんのか?設定を詰め込むとかありえねねーだろ?ゲーム感覚で世界を無茶苦茶にしてんじゃねーよ!!…はぁはぁ…」
とりあえず、言いたい事は言った。
後は、返答を待ちやるかやらないかを決めるだけだ。
「ふむ。要するに、納得できなければやらぬと言うのじゃな?」
「当たり前だ!俺的にはリスクにしかならない!やらなきゃならないなら、せめて楽しく攻略したいだろうがよ!!」
そう。
ゲーム感覚でやるなら、面白くなければ意味がない。
実感はないが、すでにチートというレベルをも超えたであろう、俺の能力だけでもクソなのだ。
「では…ふむ。どこから話すかのう」
唯一神は、俺の質問に答えるべく、あごに手を当てて下を向いたまま、何かを整理するように、しばらくジッとしていた。
(こいつも考える事あるんだな…)
などと考えていたら、思いっきり睨まれた。
☆☆☆
唯一神の話を整理すると、だいたいこうなる。
最初は、ただ単に『面白そうだったから』が始まりらしい。
そこから、事態は急変する。
①次元が歪み、人間の想像で天界ができるとは思っていなかった。
人間の悪意で…以下略。
つまり、ゲームでいうところのバグである。
②手をこまねいていたわけではなく、初期段階で、地球から人間を転生や転移により、解決に導こうとした。
しかし、ほとんどの者はヒャッハーな連中になってしまい、更に混沌が生まれた。
ある者は、使命を忘れ、スローライフを満喫するようになった。
ありがちすぎて返答に困る。
③日本から来た者は、成り上がり志向が強く、転生転移特典のみで『チート』だと勘違いし、天界、悪魔界に対抗するには至らなかった。
いや、普通にチートだろ?
対抗できる能力って、どんなだよ!
…あ、それが人間ではない俺か!
④自然を育み、人類に恩恵を与えていた唯一神だったが、天界の神を名乗る奴らに、『天罰』だと言って、供物を備えない人間に対して、神を恐怖の対象、崇めるべき存在だと認識させてしまった。
そうした流れから、各種族の代表を神格化し、手分けして人類を滅亡から救う流れになった。
そうして、各神が能力を行使し、人間界を守ろうと頑張った結果、魔力の枯渇問題が発生するようになった。
天界のエセ神、やりたい放題だな。
作らないのに供物を求め、お供えしない者に天罰??
クソかよ!
そして最後に、唯一神は言った。
「お主が、現地に行って、やはりこの世界をクソゲーだと思うなら、そこから先は好きにやるが良い。繁栄しようが滅びようが構わぬ!滅びた時は、この世界はなかったものとしようではないか!どうじゃ!」
中々の覚悟がなければ言えないセリフである。
つまり、どう転ぼうと、この世界を俺に委ねると言っているのだ。
見た目年齢15歳とは思えない、気品と威厳を醸し出した唯一神は、やはり神なのだと改めて思う。
「魔力はちょくちょくいただく予定じゃから、まぐわいはさせてもらうがの…てへ」
前言撤回…気品も威厳も台無しである。
「わかったよ…そこまで言うならやるけど、どうなっても文句言うなよ?」
「無論じゃ!まぐわいはさせてもらうがの」
「しつけー!!この痴女がっ!!」
こいつといると、決意が揺らぎそうだ。
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