第6話 クソみたいな真実

「ん…んー。。」

「起きたかえ?」

「あ、うん。ちょっと摩擦でアソコが痛いぐらい」

って、何言ってんだ俺は…。


「ホーッホッホ!あれだけして、その程度とは恐れいったぞよ」

「で?またするの?」

って、もう頭の中はアレ一色になっちゃってるよ…もう!


どうやら、ここは俺の部屋。

んで、ベッドの上。

ただし、女神はベッドの横で読書をしているらしい。

題名は、夜の営み云々…


…って、エロ本じゃねーか!!

どこで手に入れてきた!この痴女がっ!!


パタッ


「さて、気分良く起きたところで、本題に入ろうではないか」

「あ、うん」

女神は何事もなかったかのようにエロ本を閉じ、真剣な顔つきで勢力図のモニターをこっちに向けるさまに、俺は毒気を抜かれ、エロモードから難なく賢者モードに移行してしまった。


「ん?ちょっと…これって…」

モニターを見た俺は、最初に見せられた勢力図と、明らかに様子が違っている事に気づき、言葉を濁らせた。


「ほう。流石、設定厨だけの事はあるのう」

「設定厨ゆうな!!」

「ならば、流石は不登校引きこもり?」

「うるせー!!俺の最終学歴は大卒だバカ!!」

「な、なんと!」

疑いの眼差しで俺を見つめる女神。


まぁ、確かに?

17歳で大卒ってのは、よほどの事がない限り、信用には値しない。

だが、紛れもない事実だ。


中学に入学すると同時に名門高等学校に行って、直談判し、全科目の単位をすべてクリアした。

『ここで学ぶ事はない』と、実力で単位をもぎ取ったのだ。

そうして、中学生活の間、同じように名門大学の単位も取得し、卒論を書いて合格した。


卒論の課題は『異世界における地球との差異について』

空想である異世界ものを、科学的に地球の文明と比較し、地球における異世界の有用性を論文にしたのだ。

まぁ、ただの創作論文ではあったが、何故か受け入れられて合格した。

ちゃんちゃらおかしな話である。


それもこれも、やる事をやり、世間体を保ちながら、引きこもって、すべての時間を趣味に注ぎ込むため。


目的があれば、人間は大抵の事は頑張れるのだ。


☆☆☆


…って、いや、ちょっとまて!

今の本題はそこじゃない!


勢力図がおかしな事になっている。


どこかの国旗のように、きっちりと三等分されていたはずの勢力図の真ん中が、明らかに広がっている。


「これ、どういう事??」

「お主が頑張った成果じゃよ。ゆうたではないか…まぐわいが最初の仕事だと。忘れたかえ?」

「いや、忘れてはないけど…意味がわからん。ついでにお前の正体も」

「まぁ、正論じゃの。ホッホッホ」

あっけらかんと笑う女神。


そう。

こいつだけ『女神』なのだ。

龍神、精霊神、樹神、獣神…すべて女だった。

つまり、全員『女神』なのだ。


更に、俺がにされた4万人の奴らも、すべて配下、要するに全員『女神』だった事になる。


こいつだけ、『とある女神』というのが引っかかる。


ここからは俺の想像になるが、おそらく『女神達』は、俺のMP、つまり魔力が必要だった。

それが、この勢力図の結果であり、『頑張った成果』という事だろう。


「ほぼ正解じゃが、ちょっと違うかの」

こいつ、俺の心を読みやがった!


この『女神』曰く、魔力の供給は正解。

しかし、4人の女神達が『イク』事によって、その力を配下に分配し、行使できるようになる…という事らしい。


獣神の言っていた『好都合』とは、そういう事だったのだ。

最初の4人から配下に分配するより、配下に直接魔力を注いでイカせれば、4人の魔力は温存できる。

そして力を行使できる。


「なるほど…じゃねーよ!!」

「ホッホッホ。結果オーライじゃ」

「で?力を取り戻した女神達が活躍して、勢力図を塗り替えた…と?」

「話が早くて助かるのう。あやうく人間界が天界か悪魔界に飲み込まれるところじゃったよ」

「さいですか…」


女神は、最初に国取りゲームだと言っていた。

今の話が本当なら、上が天界、下が悪魔界、真ん中が人間界という事になり、『飲み込まれる』とは、人間界が国取りゲームに負け、天界と悪魔界との全面戦争になる。


そうなったら、人間界の人類はどちらかに吸収されるか、排除される事となる。

自明の理だ。

そして、女神達は人間界を何とかしようとしているわけだ。


そんな設定、作った覚えはないけどなっ!!


そこで疑問が出てくる。

「なんで女神であるアンタが、人間界を贔屓するんだ?普通に考えて『天界側』だろ?女神って…」

正論…のはずだ。


「ふむ。本来の天界とは、異空間に存在する。月まで到達した地球の科学で『天国』が認識できない理屈と同じじゃよ」

「ま、まぁ確かに…なら、なんで天界って大陸が存在するんだ?」

「ちなみに、地球には『地獄』は存在する。人間には到達できない地下深くにな…地球の核とも言えるマントルの中に存在するのじゃ」

「話を聞けよ」

突っ込まずにはいられない。

さっきのように、マイペースで話されては、ますます肝心な話が進まない。


「まぁまぁ、そう焦るでない。お主の疑問にも関わってくる話じゃからのう」

「………」


と、とりあえず、話を聞いてみるか…。


☆☆☆


「この世界に存在する天界は、元々妾が作った大陸ではない!悪魔界も然りじゃ。天界は、人間が想像して形作られた大陸、悪魔界は、人間の悪意が長年かけて集まってできた大陸。元は人間が生み出した大陸じゃが、長年の想像、悪意が意思を持ち、この世界を我がものとするために侵攻を始めおった。これは人間の自業自得とも言えなくはないが、この世界を作った妾としては、人間に繁栄を、また、良からぬ想像、悪意を排除して、本来あるべき平和な世界に戻したいのじゃよ。その経緯は数千年前の話ゆえ、今の人間界に、その自覚はない。大陸は消滅せずとも良い。南北に位置する大陸に、天界と悪魔界を押しとどめるすべが必要なのじゃ」


ふむ。

理屈はわかった。

つまり、女神が俺の考えた設定を詰め込んで作った世界が予想外な動きになってしまったから、俺になんとかして欲しいと言っているのだ。

たぶん。


そして、そのために俺が妄想した能力を付与した…と。


クソかよ!!

自分でなんとかしろや!!


「そして、妾の名は…」

「創造神だろ?」

「いや、唯一神じゃ…創造神はお主の母親じゃ」

「さいですか…って、えぇぇーー!!」

とんでもない事を聞かされたが、もう、何でもいいや…話を戻そう。


「唯一神なら、どうにでもできるんじゃねーの?」

「妾達、神は本来人類に干渉はできぬのじゃ、せいぜい気象を操り、恵みを与え、人類を繁栄させるだけの存在、人間を操り、我が物顔で世界を手に入れようとしているのが天界、世界を混沌に導き、悪魔のみの世界にしようとしているのが悪魔界。人間界に浸透した天界の奴らや、悪魔界の奴らには手が出せんのじゃよ。現地に行けばわかる」

「ふむ。じゃあ、何で俺なんだ?」


そう。

俺が選ばれた理由がわからない。


「お主の両親が創造神と破壊神だからじゃよ…お主は創造神と破壊神のハーフじゃ」

「は?って事は、破壊神が父親??」

「まぁ、そうなるのう」


って、えぇーーー!!何それ!!

初耳なんですけどぉーーーー!!!!

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