第95話 クズヲタ転生者の使い方
「し、召喚士って…」
「まぁまぁ、とりあえず、その貧弱な体を何とかしてからだ…って事で、保管してある自分の脳を持ってこい」
「………。」
ミリヲタは、ため息をつきながら地下へ戻っていった。
それと入れ替わりに、地下に潜入していた4人から、驚愕の知らせがもたらされた。
①地下に匿われていた人間は、総勢1000人ほど。
↓
②うち、100人が女性。
↓
③その女性達は、鉄の要塞のような城で優雅な生活をしている。
=ミリヲタのハーレム宮殿。
↓
④男性900人は、炭鉱にて採掘の作業を強制されていた。
元々、男性も女性も10000人以上いたらしい。
↓
⑤子供はいない、男性女性は減るばかり。
↓
⑥食事は、日光がなくても育つもやしや、キノコ類、タンパク質は、人乳(母乳)、力尽きた男性と、柔らかな脂ののった女性の…。
「いや…もういい…だいたいわかった…奴もまた、鬼畜だった事だけはわかった…ちょっと方針を変える」
いくら異世界だといっても、やっていい事と悪い事はある。
それだけ人道に外れた行いをしていた奴に、恩恵を与える必要はない。
方針変更
↓
×配下
◯装置
と、こうなる。
ミリオタもとい、クズヲタの人権はなくても良いという判断だ。
何故、脳を機械にし、肉体はそのままだったのか…。
もう答えは出ている。
そう、機械の体ではヤレないからだ。
「クズがっ…!」
しかし、その感情を表には出さない。
決してっ!!
人間は、脳があれば考える事ができる。
イメージも然りだ。
だから、クズヲタの脳が必要なのだ。
何故必要か…。
俺達の存在は、天王神によって別異世界へと飛ばされた。
しかも、次元空間さえも閉ざされている為、帰還する事は不可能。
ならば、俺達とは関係のない脳をいじり誘導すれば、天王神に気づかれる事なく、異世界間を次元空間で繋げる事ができるのではないかと考えたからだ。
本来なら、クズヲタを配下にし、指示すれば良かっただけの話だ。
だがっ!
奴は、人間として…いや、地球人として、超えてはならない一線を軽く超えてしまっている。
異世界でいうなら、人肉を喰らう魔物と同じレベルなのだ。
いや、魔物なら許せるだろう。
俺達だって、食べられる魔物は狩って食しているのだから。
許容範囲は血液までっ!!
それ以上は、許容できないっ!!
だろ?
☆☆☆
「も、持ってきました」
若干、体を震わせながらガラスケースの中に溶液に浸かった脳を差し出してきた。
「ふむ。それでは、人体形成を行う」
「お願いします!」
こいつ、頭がいいのか悪いのか、何の疑問も持たずに脳を差し出すとか、人を信用しすぎだろ?
「まずは、その肉体を細胞レベルまで分解する」
「へ?」
ブワッ!
転生者の体が四散していく。
「この細胞は、どう使うんですか?」
「脳の周囲を保護して、溶液なしで脳活性化ができるようにする為だな…」
「はぁ…」
「でだ、今、この大気中に漂っているナノマシンと、機械だったこいつの脳を装置のメインシステムにする」
ポカーン…。
ふむ。誰しも、そういう反応になるだろう事は想像ができた。
何故なら、体を人外構造にしていたといっても、元は転生者、人間なのだ。
人間を装置にするという発想自体が、全員の思考を止めてしまっているのだ。
「まぁ、見てればわかる。今から作るのは、転移召喚システムの備わった魔法の装置だ」
「「「は、はぁ…」」」
あー、ダメだ。
まだ理解できていない。
(まぁ、百聞は一見にしかず…だ。装置を作ってしまえば、納得するしかないだろう)
フッフッフ…。
「ナノマシン収集!結合!転移召喚システム付与!」
ふむ。
「脳髄保護!魔力容量の設定!」
ふむ。
「意識の刈り取り!システム起動調整!」
「い、意識の刈り取り???」
こうして、俺の言霊による、転移召喚システムが構築されていった。
ここまできても、まだ皆の理解は追いついていないらしい。
「…というか、転移召喚システムっ何なんですか?転移召喚魔法ならわかるんですけど…」
疑問はそこかい!
☆☆☆
「よし!できたぞ」
「「「「…………」」」」
全員がポカンとしている。
それは何故か…。
脳を使う…と言った発言とは裏腹に、脳という概念(主に人間)を持った生物であっても、その痕跡が見当たらないからだ。
質問されると、ちょーめんどくさいので、先に説明をしておく。
「ま、まぁ、つまりだな。機械に例えるなら、装置になくてはならないのは、それを動かすエネルギーであり、各パーツにエネルギーを送る接続配線が必要となる」
「まぁ、普通ですね」
イノリの言葉に、全員がウンウンと頷く。
(妖怪の生きていた世界とは?)
と、若干の疑問を持ちながらも説明を続ける。
各パーツはナノマシンを適材適所に様々な形で組み込んである。
↓
クズヲタの肉体は、脳髄を装置全体に行き渡らせるための極細チューブ。
配線が銅や金ではなく、脳髄。
↓
血管と血液の関係と言えばわかりやすいだろう。
このへんから、全員が明らかに思考の放棄をしているのがわかった。
が、俺は構わず説明を続ける。
「ただ、機械であっても肉体であっても、必ず冷却が必要となってくる…でだ、レーコの力で、冷却装置を組み込んでもらいたいんだ」
「そんなの、妾がやらずとも我が分身達に任せておけばよろしいのではないですかな?」
我が分身とは????
「出てまいれ!我が分身にして、雪の子らよ!」
ワラワラワラワラワラワラワラワラ…。
レーコの体から、ゾロゾロと三角藁帽子を被った、まんま、伝承に伝えられている雪ん子達が姿を現した。
「レーコ!いつの間に、そんな芸当が…」
「
「えと…名付けは分かるんだが…名移しとは?」
「おや?お気づきではありませんでしたかな?」
レーコ曰く、名付けをされた者が違う名前で呼ばれ、定着してしまった結果を『名移し』と言うらしい。
名付けほどの恩恵はもらえないが、そこそこ常軌を逸した能力が付与されるらしい。
また、改めて違う名前を与えると、とんでもない能力が付与され、制御が難しくなるとの事。
「お気をつけ下さいましな…主様」ニッコリ
「「「あぁぁぁーーー!!」」」
「何なに??」
全員が何かに気づいたようだが、俺にはさっぱりわからない。
「ドクター!レーコは、最初、レイコだったでしょ?」
「へ?そうだっけ?」
まったく覚えてない。
つか、レイコもレーコも変わらねーだろ?
とは言えない。
とても言える雰囲気ではない。
「では、魔の森で、魔法陣無双してた分身体の番号は?」
「は?忘れた」
「「「「「はぁぁぁぁぁぁ…」」」」」
全員が深いため息をついた。
ブイィーン!
そんなところに現れた1人の男。
「そこで俺の登場だっ!!」
って、現れたのは俺だった!
(いや、俺の分身体か…)
何やら、装置を作ったまでは良かったのだが、それ以降は、俺の預かり知らない所で、これまた預かり知らない事が進行しているようだった。
「俺に名前を付けろ!天才魔法陣職人の俺が、クズヲタを有効に使ってやるっ!!」
この展開には、流石の俺も ポカーン だ。
この置いてけぼり感は、久しく感じた事がなかった。
「なら、魔法陣のジンで…」
「「「「「出たぁー!安置適当な名付けぇーー!!」」」」」
う、うるせーよ!
バカやろおぉぉぉーー!!
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