第71話 ドクターの誤算と私(?)の暴走。
さてさて…。
遠隔操作で体型変換をしたみんなは、どんな感じになっているのでしょう。
めちゃくちゃ楽しみです!
向かうはもちろん、精霊族領の大樹上。
精霊女王様のいるところです。
とは言っても、ずっと入り浸っているので、行くというよりは、帰るという感覚なのですが…ふふふ。
女王様が15歳ぐらい、従者さんが20歳ぐらい。
ヨーコ達は、一律15歳設定だった気がします。
まぁ、そのへんはアバウトでいいのです。
なんせ、一律10歳設定にし、小型化したら5歳設定になるようにしたのですから!
これからは、至福で眼福な時を長く過ごせるのです!
転移を大樹の上に設定したのは、みんなを驚かせるため…というのが建前で、実は、遠目で鑑賞するためです。
ザワザワ…。
ザワザワ…。
(ん?何やら騒がしいですね?)
明らかに、設定した遠隔操作した人数よりも多いです。
あ!もしかして、みんながちっさ可愛くなったから、歓迎の準備でもしてるのかな?
『んなわけあるか!はよ来い!』
あれ?ドクター?
神族領に行ったんじゃないの?
って、相変わらず、人の心読んでくるしぃー!
まぁ、とりあえず降りてみますかね?
スッ…。
『ゴルァー!!』
と、1番に駆け寄ってきたのは精霊女王様。
思わず、ギュッと抱きしめてしまいました。
…が、どうも様子がおかしいです。
いつもなら、嫌がりながらも、どこか楽しげにしている女王様。
ところが、今は本気で危ないオーラを出しています。
はて?
私、何かしたのでしょうか?
「あら?可愛い天使の羽根…」
女王様が怒っているのは理解しました。
だから、すぐに離れたのですが、そこに見えたのは、フサフサの白い羽根。
んー!可愛さアップですねっ!
周りを見ると、女王様の従者2人、ヨーコ、ミーコ、レイコ、チーコ、見知らぬ真っ白な女の子他、色とりどりのツノを生やした女の子達が天使の羽根をつけて、疲れた顔で黄昏ています。
(はて?ここは天国ですか?)
「いやぁー!尊い!!状況は飲み込めてませんが、素晴らしい光景です!!可愛いは正義!!」
私は思わず、歓喜の声をあげてしまいました。
それを反応したのが、女王様とドクター。
『何が素晴らしいんじゃ!!大問題じゃ!!』
「イノリ…とりあえず落ち着け!」
「ドクター?何でここにいるんですか?可愛いみんなを見に来たんですか?」
「それは後から話す…とりあえず落ち着け!」
え?こんな天国で落ち着いてなんかいられませんけど??
「「「「「はぁぁぁぁ」」」」」
私の反応に、全員がため息をついてしまいました。
私、何かしましたか??
☆☆☆
••••約15分前••••
「さぁ!偵察に行くか…」
スッ
『旦那!大変です!例の物が暴走し始めています!!』
「なんだ?いきなり?例の物って、まさかアレか?」
『はい!厳重に封印してたのですが、先程、いきなり何かに呼応するかのように光りだしまして…』
「やばいな…もしかしたら、イノリのアノ魔法が原因かも…」
『何があったんで?』
「いやぁ、イノリが神の加護を受け取ってな…」
『ふむふむ…』
全員10歳に!
からの、全員、服装はメイド服!
それぞれに特徴を持たせてぇー!
小型化した時は見た目5歳にしてぇー!
2頭身にぃーー!!
最後は、私に天使の羽根をぉーー!!
「とか唱えてた」
『そ、それって、かなりやばくないですか?』
「遠隔で趣味全開の魔法をぶっ放したからな…制御できているかも怪しい」
『……』
「とりあえず、戻って確かめてくるわ」
『り、了解でやんす』
「お前、語尾がおかしくなっているでござるよ」
『旦那こそ…プッ』
「『あははは!!』」
「『………』」
「急ごう…閻魔は、監視を増やしてくれ」
『へい!』
スッ!
シュン!
•••••••••••••
「お前的には天国だろうが、みんなにとっては迷惑になってんだよ…とりあえず、魔法を解除してやり直すんだ」
「え?いやですけど?」
あれ?私、ドクターに逆らってます??
「元々お前、自分に天使の羽根をつけるつもりだったんだろ?これ、全員に天使の羽根がついてるのは、制御できてないからなんだよ!」
ドクターに何か言われるたびに、胸の奥から沸々と怒りが湧いてきます。
「か…可愛いはせい…ぎ…」
「いや、それは分かるが…」
スッ!
『旦那!!もうすでに、姉さんの中に入ってます!!私達、避難しますね!!』
「げ!マジか!!」
そんなやり取りが、目の前で繰り広げられているのに、何故か達観視しているような感覚。
それに、あれだけ騒いでいたみなさんも、私達のやり取りを眺めるにとどまっています。
(あれ?意識が朦朧と…)
バタッ
その場で、私の意識は何者かに刈り取られ、まるで操り人形の糸が切れたごとく、その場に倒れてしまいました。
☆☆☆
私が気絶してから、どれぐらいの時間が経ったのでしょう…。
意識を取り戻すと、ホールの中は先程見ていた光景とは、ずいぶんと変わっていました。
全員が、服を淫らに着崩され、汗をかいて倒れているのです。
(はて?何があったのでしょうか?)
私の衣服も変わっています。
ナース服に、絶妙な可愛らしさをテイストしたフリルがついているのです。
かろうじて意識があるのはドクターのみ…。
「ドクター?これはいったい…」
「あ…起きたか…とりあえず、これを見てくれ…それから説明する…」ガクッ
ドクターは、そう言って『魔法映像水晶』を私に手渡し、眠ってしまいました。
尋常ならざる周りの光景。
デザインの変わった私の衣服。
渡された水晶を、ひと目見て、『魔法映像水晶』だとわかる私。
体力も魔力も無尽蔵なはずのドクターの眠り。
謎だらけであります。
まぁ、そのための水晶であり、そこに映されている何かに、その答えがあるのは明白ではありますが…。
「魔力を注いだら映像が出るのかな??」
私は、神の加護をもらっておきながら、使い方が良くわかってない事に、今更ながら気づきました。
このホールに来た時は、みんなの可愛さにテンションが上がり、ハイになっていたのは間違いありませんがね!
ホワン…。
床に置いた水晶に魔力を注ぐと、案の定、壁に光が差し、映像が浮かんできました。
(ゴクリ…)
『やったぁー!!ようやくボクの時代だぁーー!!いやぁ!てっちゃん!ありがとう!!こんなに可愛い子達を集めてくれて!』
『いや、俺が集めたわけじゃない…』
『とりあえず、全員にハグしなきゃだね?』ニヤリ
『『『『は?』』』』
『誰からにするかなぁ…』ニヤニヤ
『まて!お主!目が危ないぞよ!』
『大丈夫大丈夫…』ニヤニヤ
シュン!
『ま、まて!』
『『『『キャァァァァーーー!!』』』』
『つーかまえたっ!』
スリスリスリスリ
『あー!可愛い!!』
『………』
『次は…』
『『『『キャァァァァーー!!』』』』
『や、やめろ!イノリ!!』
『イノリって誰?ボク?』
『あぁ、そうだ!お前が女に成りたがってたから、俺が生成した体だ』
『おー!ありがとう!!なら、てっちゃんとヤレるね!子供を作ろう!男の子が生まれたら、女の子に改造しよう!』
『ちょ!バカ!何言ってんだお前…』
『てっちゃーーん!どうせ童貞なんだろ?ボクの処女をあげるよぉーー!!』
『いらん!やめろ!』
『そんな事言わずにぃーー!!みんなにハグしてからでもいいからさぁーー!!』
『そういう問題じゃねー!!』
『『『『キャァァァァーーー!!』』』』
逃げ惑うドクターとみんな。
目を血走らせて、みんなを追いかける私。
私を含め、全員が全員、人智を超えた存在…。
その追いかけっこは、常人では視認できないほどのスピードとスピードの応酬でありました。
襲っているのは私、被害を受けているのは、その他全員。
その後、みんなを蹂躙した私は、自分の衣類にフリルの装飾を加え、額の汗を拭いながら倒れてしまいました。
ドクターは、自分の身を守るために、全魔力を使って遮断結界を張っていたようです。
「何これ…」
私、どうなっちゃったの??
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