第70話 ドクターのブラフと私の新しい能力。

シュゥゥゥ…。


「よし!神々との契約は成立だ!ハッハッハ!」


やっぱり…演技だったのね!


「オーラを抑えるのに苦労したわ」

「………」


あれで??


「全開放すると、国ごと破壊されてしまう…オーラだけで…それは面白くないだろ?」

「えぇ…まぁ…」


この場合、どんな返事をすればわかりません。


普段でも、かなーりチートなドクターが、いろいろ取り込んで能力を得てますが、これは大丈夫なのでしょうか?


「考え方次第さ…力を封印して、開放される時に異業の体系になるのは避けたい…からな!俺は、あくまで現状維持で能力を開放するスタンスを貫く!!」

「さいですか…」


まぁ、ドクターはそんな人です。


「私、いろんな神様の加護を受け取ったんですよね?何も変化がありませんけど…」

「そりゃそうだ…イノリは人工生命体、ホムンクルスだが、使っているのは機械じゃ無い。ナノマシンとかも使っていない」

「と、言いますと?」

「人間や、他の能力を、ナノレベルで構成した、純粋な人間体だ…衣服もな?だから、物理攻撃は、一見、スライムのようにダメージが入らないし、魔法攻撃は、再生細胞が治癒してくれる。新しい能力も、どう構成されているかは、やってみなきゃわからない!人体なだけに、チート能力はデータが取りづらいからな」


あー、そういう事ね?


「で、ドクターは、幼馴染を失ってから、医療に目覚めたと言っていましたが、それは誰なんですか??」

「さ、さぁ?何の事かな?」

「もしかして、私とか??」

「さ、さぁ?何の事かな?それよりも、とりあえずは、神々が再び牢獄に囚われる前に、そんなチート野郎を見つけ出さねばならない!」


まぁ?確かに?

それが第一目標ではありますが…その犯人を見つけ出し、対処してこその『神々掌握』。


ドクター自身は、神界、天界には興味なさそうですが、約束は約束です。


「でもいいんですか?支配神を止めなくて…」

「支配神が、神族領を作り、好き勝手にやってたのですよ?」

「そうなの?」


(これ、知ってましたよね?)


ここからは、私の推測。


神族領を何とかしたいと思っていたドクター。


こちらの大陸は、魔王を倒し、6カ国と樹海、元魔族領。

これらはすでに、ドクターの監視下にあると言っていいでしょう。


しかし、ドクターは神族領の事はまるで知らない。

国ひとつ落とした事実があっても、ただそれだけ。


神族領で、支配神が何を企み、何をしようとしているのかは分かっていません。


だからこその世界地図…ドクターは、神族領の存在は、他の国とと考えているようです。


でなければ…言い換えるなら、私達の住む大陸と神族領だけの世界なら、わざわざ手をこまねいているはずがないからです。

ドクターの思考だと…。


実際に、神々から送られてきた地図には、神族領とおぼしき大陸が存在し、海を挟んで隣接する国々が点在しているように見えます。


当然、地続きである我ら大陸が1番大きい。


かつては、魔族領に脅かされやさながら、国を守ってきた3種族の6カ国。

その不可侵条約も、ドクターの介入により、うやむやのうちに、非公式ではありますが、『同盟』もしくは『連合』という形になりつつあります。


(ん?という事は、ドクターが好きなようにやったように、私も、ささやかな願いを叶えていいのでは?)


と思うようになりました。


名付けて『愛でる女の子を増やす計画』。


精霊女王は可愛い!

しかし、側近がダメ!

精霊、妖精は、可愛さが命!


護衛は男にやらせておけばいいのです!


ヨーコもミーコもレイコもチーコも、推定年齢10歳ぐらいにしましょう!!


せっかく女神の加護を与えられたという話なのです!!


実験を兼ねて、少々、私の趣味に走っても文句はいわれないでしょう!!


少女を愛でるなら、1人より2人、2人より3人。


多ければ多いほど、眼福対象が増えます!


これには、ドクターも反対はしないでしょう!


☆☆☆


「あぁ、反対はしないよ…そもそも、お前はだし…いや、やめておこう」


(ん?何やら含みのある言い方でしたが、とりあえず許可はとりました)


使う能力は女神の加護!…って、どんな女神の加護が働くかはわかりませんが…。


「という事で、全員10歳に!

からの、全員、服装はメイド服!

それぞれに特徴を持たせてぇー!

小型化した時は見た目5歳にしてぇー!

2頭身にぃーー!!

最後は、私に天使の羽根をぉーー!!」


私は手を広げ、女神とやらの加護がどれぐらいの物かをで願ってみました。


加護は固有魔法ではないため、最初は要請する形になります。

知りませんが…!


まぁ、そのうち、自分の意思でやる事もできるでしょう。


「まったく…変わらねーな…お前は…」ボソッ


ドクターが、また何やら気になる事を呟いていますが、今はそれどころではありません!


なんせ、遠隔操作で加護を駆使し、趣味に走ったのです。

どこまで、範囲が広がっているかを確認しなければなりません。


俗に言うところの、

実験には検証が必要であり、自分の能力を把握する必要もあるのです。


「では!ドクター、申し訳ありませんが、私、ちょっと出掛けてきますので…」

「あ、あぁ…」

何か呆れ顔なのは気のせいでしょうか?


「あ!」

「ん?」

「さっきのオーラ、あれブラフですよね?」

「あ、あぁ…そうだな」

「ここに来た時点では、暴走してませんでしたよね?暴走寸前だったのに…」

「あ、まぁ…そうなるな」

「私がここに来てから、何があったんですか?」


ドクターは、ちょっとバツの悪そうな顔をしながら、その経緯を語り出しました。


私が落とし穴に入った直後、一緒に入る予定が、何故か入れなかった。

仕方がないので、空間を切り裂いて入ったら、次元空間に飛ばされていた。

ここで暴走…記憶が曖昧に。

自分がつけたであろう次元の裂け目と、それを修復された痕跡を発見。

暴走寸前に、ダンジョンに戻される。

各ダンジョンを攻略しろ、という指示を受ける。

神の仕業だと気づき、プッツン!

意識を取り戻したら、ダンジョンが壊滅状態になっていた。

配下が作ったダンジョンを破壊した事で、めちゃくちゃ反省。

反省している最中に、何故か邪龍と死神の能力を制御できている事に気づく。

その途端、次元牢獄に放り込まれる。

地獄にある廃棄場へ直行。

脅かすつもりで、軽くオーラを放出。

コロッセオに登場。


「ってな感じだったな…結論から言えば、俺もイノリも、心のあり方で、どんな強力な能力も、に飲み込まれず、制御できるって事がわかった」

「なるほど…ちなみに、ドクターのは、何%ぐらいだったんですか?」


(まぁ、あれだけ神を威圧できるオーラでも、ドクターが軽くと言うなら…)


と、予想はしてましたが…。


「5%ぐらい」

やっぱり!!


「ドクター、それって、世界征服とか、天国支配とかできるんじゃないんですか?」

「いや、興味ねーし」

「地獄は支配してますよね?」

「一時期、俺の滞在場所だったからな」


あー。

そういう事ね。


この世界も滞在してるから掌握してるんでしたね。

ドクターが、天に召されたなら…いや、それはないか…。


「つか、天国って何?」

「神界と天界の総称ですよ?これも加護なんですかね?天国の勢力図とか、神様関係の優劣とかの情報が流れこんできてます」

「すげーな!いいがあったら教えてくれ」

「あ、はい…」


ドクターは、それしか頭にないんですかね?


「ドクターは、これから何をするんですか?私は、愛でられる子達を見に行きますが…」

「あぁ、世界地図も脳内にインプットされたし、それを写して探索だな…ここは、神族領以外にも、生命体がいる大陸が存在している」

「へー!」

知ってましたけど!


「まぁ、まずは『支配神』とやらに会わなきゃだし、神をも封印できるに会わなきゃだし、やる事は山積みだな…ハッハッハ!」

「あぁ…つか、世界地図って、探知できなかったんですか?」

「だからだよ…おそらく、支配神とやらが、結界を使って、こちら側にはわからないようにしている!支配神の力は、神族領だけなのか、はたまた全大陸が支配されているのか…だから、最初は支配神のところに行くんだよ…ハッハッハ!」


出ました!

ドクターの饒舌!


よほど楽しいのでしょう。


「で?次元牢獄の製作者に合うとは?」

「俺は、次元を切り裂けるし、牢獄だって例外じゃない…しかし!『次元収納』は作れても、封印するための『次元牢獄、無限牢獄』は作れない…知る必要があるだろ?」


(え?あるの?)


「って事で、しばらくは別行動だ!必要だったら呼び出す!いいか?」

「はい!いつでも!では…」


シュン!


私は、精霊女王の元へ転移しました。


しかし、忘れていたのです!

ドクターの幼馴染云々を…!


もしかしたら、私がなのかもしれないのに…。

ドクターが、私を生かすために、長年尽力してくれたかもしれないのに!


そして、聞き逃していました。


「あいつは昔から変わらねーな!まぁ、今回は生物だし、魔法だってある…そうそう無茶はしないだろう」


という、ドクターの独り言を!!

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