第67話 ドクターを無視した神達の嫌がらせ??
「さぁ、着いたぞ!」
ダンジョンの最終地点に到着した時点で、ドクターの話は一旦終わりを告げました。
私的には、まだまだ聞きたい事はあるのですが、とりあえず置いておきましょう。
「ジグソーパズルのピースは?」
「これから集める」
「は、はぁ…」
何を言っているんだ?この人は!
と思ったのも無理はありません。
ここは探索系のダンジョンだったはず。
すでに、最終地点に立っていて、これから集めるとか、言ってる事があまりに矛盾しています。
しかし、それはドクター以外に対してだった事を思い知らされました。
ドクターが指をクイッと動かすと、ザラザラザラザラと、地を這う気持ち悪い音と共に、這い寄ってくるパズルのピース。
はっきり言って、気持ち悪いっす!
白いGとでも表現すればいいのでしょうか…カサカサとザラザラの違い、スピードの違いはあれど、地を這う音というのは、何故、こんなに不気味なのでしょう。
真夜中にコツンコツンと忍び寄る足音、暗闇で、布を引きずるような怪しい音、満員電車で、耳元に吹きかけられるハァハァという生暖かくて臭い息づかい。
どれもこれも、背筋がゾッとするようなシチュエーションでしかありません。
(こわっ!)
ザラザラザラザラ…。
「よし!配置!」
ドクターの合図と共に、1cm角のピースが、最終地点にあるフレームに、次々と並べられていきます。
(まさか、また自立型??)
と思っていたのですが、これは単なる移動魔法に浮遊魔法。
自立型にすると、勝手に動き回り、誰1人として集められないからだからそうです。
フレームは、真正面に設置された、高さ約90cmの台座に20度の傾斜がついている、まるで漫画家さんが原稿を仕上げるために使用している作業机のような形状をしています。
扉は、フレームの後ろにあるようですが、どうやって中に入るのでしょう?
(まさか、跨いでいけと??)
「まぁ、開いてからのお楽しみだ」
「はぁ…まぁ…」
私の不思議そうな顔を見て、ドクターがニヤニヤしながら、ドヤ顔をしています。
…というか、何?このピース。
1000ピースのパズルは75cm × 52cm前後、40ピース × 25ピースが一般的とされています。
形は、だいたい4種〜5種となっており、パズルを楽しむには打ってつけの玩具であり、飾るにも最適な人気のアイテムであります。
まぁ最近は、飾る事を目的として、ピースの形が単調になってきている傾向にはありますが…。
それが、10000ピースとなり、400ピース × 250ピース。
4m × 2.5mという、バカでかい大きさ。
模様はなく、ピースの形は1種類のみ。
そう、ピースの中で1番多い種類の『キ』の形。
そもそも、ドクター考案のパズル自体に飾る目的はなく、フレームもちゃんとした長方形ではありません。
1種類で完結するよう、フレームにも出っ張りがあります。
しかも、そのひとつひとつは、まったくの別物であり、紙製や木製のように、無理矢理はめ込む事はできません。
自力で作り上げるには、相当な体力と精神力を要します。
私はようしません!
☆☆☆
今回は、魔法で組み立てついるため、小さい鉄の破片がザラザラと舞い上がって完成されていきますが、実にいやらしい仕組みになっています。
ドクターは、この10000ピースの加工に、手術よりも手間暇をかけ、休憩をはさみ、完成させたのです。
ちまたで良く言われる、『才能の無駄遣い』とは、まさにこのパズルの事を指すのでしょう。
いや、まったく…。
「でな?これが完成すると、下に穴が開くんだよ」ニヤリ
カチャリ…。
「ほら、完成だ」
「え?…あ!あぁぁぁぁーーー!!」
完成した瞬間、私は直径1.5mほどの大穴に落とされてしまいました。
何考えてんの?!
目の前の、扉っぽい壁はなんだったの?!
私で遊んで楽しい??
ポォーーン!!
油断していたのはあります。
予想外だったのもあります。
しかし、何の抵抗もなく落とされてしまったのは、魔法が効かないから…身体が金縛りみたいに動かなくなったから!
つまり、抵抗しようがなかったのです。
なんていやらしい仕組みのダンジョンなのでしょうかっ!!
放り出されたのは、古代文明時代のコロッセオらしき、石作りの闘技場ど真ん中。
入り口とか、控室とか、ちゃんとしたところに放り出されたわけではありません。
何もない空間に放り出されたような感覚です。
『『『『うぉーーーー!!』』』』
そして、この大歓声…。
(何ごと??)
『『『『『予定通り、ナースの登場だぁー!!』』』』』
だからー!
これ、何ごと??
『静粛に!!』
ピタッ!
闘技場に響き渡る声により、会場は一瞬にして静寂を取り戻しました。
観客席には、神様っぽい人、天使っぽい人、精霊っぽい人がぎっしりと座っています。
明らかに、種族としては偏った観客です。
そして、フィールドには、これまた明らかに上位神らしき男性が3人、女性が6人の9人が立っています。
『では、これより、この世界で好き勝手にやっている医者の粛正に関して、ここにいるナースを交えて議論したいと思います!』
医者とは、間違いなくドクター。
ナースは私。
で?
粛正??議論??
何が始まるの??
ドクターは何してんの??
え?ちょっと待って!!
こんな大観衆の中で、私ひとりを交えるって何??
えぇーーーー?!
☆☆☆
ドクターのダンジョンから、落とし穴で地下に送られたのはヨシとしましょう。
元々、ドクターはそんな趣向大好きだし…。
ついでに、コロッセオも!
元々、ドクターと対戦って話の段階で想像はしてましたし…。
しかし!
この展開は流石に予想できませんでした。
『ドクターを粛正する議論』
+私を交えて?…意味がわかりません。
つか、この人達誰??
これもドクターの仕込み??
私の中で、疑問がドンドンと膨らんでいきます。
もし、ここに居る人達が、本当に神や天使だったとして、今の私に考えられるのは『神族領からの来訪者』となります。
(これはマズいのでは??)
しかし、その不安は杞憂に終わりました。
『我々は、神核を取り返してもらった神を含めた、神界と天界、精霊界に住まう神、天使、精霊の集まりです』
この女神の一言で。
(あー!本物だぁ…)
これが私の素直な感想。
この人達なら、仮死状態の私達を、転生転移させるようなヘマはやらないと思います。
話を聞けば、存在の弁明をしたのが
9人は、それぞれ位の高い順から
①
①
②創造神 ♀
②破壊神 ♂
③
③次元神 ♀
④天空神 ♀
④大地神 ♀
⑤精霊神 ♀
ここに、⑥龍神(金龍)♂、⑦邪神 ♂、⑧死神 ♂が加わり、12大神となるそうです。
すべての神達が
独身は精霊神、邪神、死神の3神のみ。
(異世界って、神とか悪魔とか、普通にいるよね?)と思ったのは、私だけでは無いはずです。
地球に、神の守護だの加護だの、転生特典だのはありませんしねっ!!
そうして、一通りの説明を受けた私は、観客席にいるのは、その12大神につらなる神々や精霊、妖精だと聞き、思わず「で?」ってなりました。
はっきり言って、そんな説明、今はいらないんですよ!
ドクターは今、何してんの?
これから私は何をされるの?
論議って何??
これが重要なのです!
アニメで例えるなら、ローアングルでテロップを出して、1分ぐらいで終わるような自己紹介はいらないのです!
これだから、時間感覚の無い神達はダメなのです!
粛正だの議論だの、物騒な事を言った後に、延々と語られる自己紹介とか、何の嫌がらせや!ってなりますよ!
やるならやるで、さっさと始めんかい!!
はいはい!巻いて巻いて!!
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