第66話 ドクターのちょーヤバな副作用。
さて、やってまいりました。
最初のダンジョン!
ここは、ドクターが担当したダンジョンで、
と、その前に、復習しておきましょう。
担当者と、ダンジョンの特徴を!
『ドクター』
洞窟迷路型の、探索系ダンジョン。
モンスターもトラップも配備しない。
アイテムを集めて出口に設置するだけ。
ただし、クリアアイテムは圧縮金属によって、限りなく重く硬くした、厚み5m mの10000ピースパズル。
1ピースの大きさは1cm、1kg。
模様のないパズルで、総重量は10トン
迷路を探索し、ピースを見つけてルートを進んでいく。
ルートは、時間によって変化していく自立型。
自立型の迷路が自在に姿を変えるので、同じ場所にあるとは限らない、埋まる可能性もある。
出口までたどり着いたら、褒美(?)として、ドクターとのバトルができる。
勝ったらクリア。
「最初の1kmは、何もないように言ってあるんだ」
とドクターは言います。
つまり、入り口からは、どんなダンジョンかはわからないと言う事。
最初に自分のダンジョンを選んだのは、1番進みやすく、話しやすいから…だそうです。
つまりはおまけ。
本題は別にあるようです。
「俺の視力なんだが…見える物が変わってきたんだ」
「…といいますと?」
「元素が見えない…魔力は見える…悪意も見える…人の殺意も死期も見える」
「は?」
いったい、どういう事でしょう??
「各世界で封印された、魔王や死神、邪神などは、普通なら、その世界で封印術を施され、ひと目につかないようにするのが一般的なんだよ」
「は、はぁ…言ってる事は理解出来ますが…」
「でな?次元牢獄や無限牢獄に封印される輩は、現世での封印では手がつけられないから、別次元に封印されるわけだ」
いつになく饒舌なドクター。
しかも、ネタの類も、おかしなテンションもなく…です。
普段なら、悪ふざけをしているか、研究や実験が成功して、上機嫌な時にしか饒舌にはなりません。
ドクター曰く、
そのように次元に封印された個体は、例外なく『上級種』であり、放っておけば、単体で世界を破滅させるほどの力がある
のだそうです。
「試しにな…俺の『死神メス』で、この世界の死神を切ったら、瞬殺できた…俺の取り込んだ死神も、そのカマを加工して作ったメスも、かなり上位の物だったわけだ」
なんと!
つまり、地獄送りになっているすべての物は、現世では捕える事も、封印する事も出来ない代物ばかりだという事。
「でだ…その副作用が目にきた」
「は?」
「あえて名付けるなら『
「へ?」
「俺の右目が疼くぅー!とかは、やらないけどな…ハッハッハ!」
あー!
冗談を言えるぐらいには余裕なんですねっ!
☆☆☆
「そして、左目が『邪眼』、邪神を取り込んで発症した」
「発症とは?」
「だから、副作用なんだって…」
「………」
ドクターの計算では、能力に反映されるはずが、目に副作用が出てしまったために、本来の手術ができなくなってしまったと言います。
大気中の元素を見極めて、大気毎切り裂いていたのが、悪意や邪念、殺意や死期が見えるようになってしまったため、今までのような判別が出来なくなってしまった。
手術中も、その人の『死期』や、怪我をさせられた相手に対しての恨み…つまり、邪念が見えてしまうために、視界が邪魔され、施術が遅れ気味になってしまうとの事。
「………」
確かに、とんでもない副作用です。
「でな?それだけに留まらず、死んだらええねん!って奴の魂を喰らうようになった」
「は?ドクターは医者ですよね?魂は輪廻に返すのが信念ですよね?」
「たから、副作用なんだって…」
こ、これは不味いのでは??
「ただな…俺が医者であると自覚しているうちは、助けたいと思う人の『死期』まで喰らうようになった」
「つまり?」
「瀕死の状態でも死なないから、呼吸が止まろうが、心臓が止まろうが、手術が終わって助かるレベルになるまで、手遅れになる事はない」
「すごいですね!それ!」
「いやいや、今まで瀕死の人でも、手遅れになる前に手術は成功させてきたからな?」
「あ、そうでしたね」
これは、ある意味、よし悪しがあるだけで、案外、副作用とは言えないのでは?
「人の殺意や死期を喰らう目に、人の悪意や邪念を喰らう目…それが、頻繁に蓄積されていく、とんでもない副作用が出たもんだ…」ボソッ
は?今なんて??
「ドクター?もし、ドクター自身が、医者であるという自覚がなくなったら?」
「え?それ、俺に言わすの?だいたい想像できるだろ?」
「殺人鬼と化す…とか?」
「なわきゃねーだろ?ハッハッハ!」
「へ?」
「答えは、『神に近くなる』だ」
「は?」
「死期を喰らうから、どんな人でも死なない体にしてしまう…まぁ、魂はその場で喰らってしまうから、アンデットだな…他から魂を持ってこないと蘇生させられない!そして、殺意や悪意を喰らうから、世の中から悪人が消える!」
「………」
「これを、制御できないと、とんでもない事になる」
「でしょうね…」
霊魂の切除、縫合ができなければ、蘇生はできません。
仮に、漂う魂を繋いだとしても、まったくの別人になってしまう。
「せめて、殺意や悪意を持った魂を、任意で取り込めるようにしなきゃだわ…」
「その実験はしてないんですか?」
「え?ちょっとだけやったよ?魔の森で…」
実験対象は、凶暴な虎。
キバを使わず、常に爪だけで攻撃してくる、ある意味『格闘系』の虎。
その虎の殺意と悪意を取り込み、穏和にしてから脳を開き、人体構造と任務を記憶に植え込んだ。
その後、爪をチタン合金のメスに変えて、解体専門の虎に仕上げた…らしい。
(それって…まさか!)
カイタイガー!!
私の予想通りの『解体ガー』!!
やっぱり、改造してたんだ!!
☆☆☆
「俺な…死神と邪神を取り込んで、考えが変わったとこがあるんだよ」
カイタイガーは無視ですか?
「悪人は、死ねばいいと思うようになった」
「へ?悪人は、地獄送りにするんじゃなかったんですか?」
「地獄も、手一杯なんだよ…悪人が多すぎて…だから、攻めてきた軍隊は解体して素材にしたし、魂は俺が喰らった」
「えと…国そのものを切除したって言ってましたよね?残りは?」
「全員、仕分けして、6ケ国に配分した…魂だけな…」
ドクターは、目の前にいない魂までは喰らう事が出来ないと言います。
つまり、何万人居たかは知りませんが、体は素材に、魂は6ヶ国に分配した…という事になります。
もちろん、罪もない人、生まれたての赤ちゃんなどは、記憶を消して、そのまま住人として迎え入れたとの事。
そのための『土地拡大』であり、支配されない住処の確保だったようです。
私はまだ見ておりませんが、広げた土地には、すでに建物が立ち並び、誰1人として、路頭に迷う事なく、生活ができるように段取りしているとの事。
「訓練はいるだろうけど、悪意や殺意、取り込んだ魂を、発射できるようになったら、俺の自我も保たれて助かるんだけどな」
とか言ってます。
それは、裏を返せば、いずれ自我をなくすおそれがあると言う事。
そうなった場合、誰が止めるの?
え?
もしかして、私??
うそん!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます