第58話 ドクター VS 従魔軍団=修行? 2
ドクターが消え去ってから数秒。
「ウラァァァァーー!!」
『うわぁぁぁーー!!』
ズッドォォーーン!!
『獅子王、10秒!』
幻獣の朱雀が飛び回りながら実況をしています。
まるで、私に向かって発射されたかのような砲弾…ではなく、獅子王さん。
「あまぁーい!!羽根に頼るな!動きが遅い!爪の扱いが遅い!!やり直し!!」
ドクターの声だけが響きます。
着地地点は、私の真横。
(本当にいいコントロールしてるよ…あの人)
獅子王さんは、白目を剥いて倒れています。
おそらくは、本気のぶっ飛ばし。
(普通なら肉塊よね?)
プスッ…。
ドクターが、治療をしてくれと言った時、治療薬として用意していた、注射器を託されました。
『いいか?治療に魔法は使うな!この注射を打てば、数秒で回復する』と。
『あぁ…俺が最初か…まだまだだな…やり直しかぁ…』
「ちょ!マジで意識が戻った!つか、やり直しって、次は何をするんですか?」
『鬼ごっこのあとは、ドクターと我ら全員との組み手だ…行ってくる!ありがとう!』
シュン!!
「………」
ドクター、マジで修行つけてんの?
で、この注射って、もしかして…。
ズッドォォーーン!!
ズッドォォーーン!!
ズッドォォーーン!!
ズッドォォーーン!!
『旦那様方、35秒!』
次に到着したのは、聖獣4体。
(旦那様方??ま、いいか…)
プスップスップスップスッ!
「大丈夫ですか?」
流石は聖獣、気絶はしていない模様。
『あぁ…30秒を超えると、10秒の休みがもらえる…だが、まだまだ…』
『だな!』
『行くぞ!!』
『妻にカッコ悪いところは見せられん!!』
スッ!スッ!スッ!スッ!
(妻??)
「うおりゃぁぁぁーー!!」
『どわぁぁぁぁーー!!』
ズッドォォーーン!
『獣王、1分15秒!』
『くそ!3トンを、こうも易々と!』
プスッ!
「ドクターが普段着用している白衣、携帯しているメスの重さが、今は5トンですよ?」
『なるほど…では、最低、それ以上の重さにならないと、勝負にならんのか!助言感謝する!』
シュン!!
いやいや、アンタ達、いったい何してんの?
それから、獅子王さんが10回、獣王さんが5回。
聖獣さん達は、何故かいつもまとめて飛んできますが、3回。
ヨーコ、ミーコが2回、レイコ、チーコが一回。
『そこまで!!』
幻獣4体が、タイムアップを宣言します。
『今回は、獣王、獅子王の両名のみ、レッドマウスライムの討伐、もしくは確保!獣王10匹、獅子王5匹!』
『『『やったぁー!!旦那様、初めてクリア!!』』』
幻獣白虎は大喜び。
『尚、レイコ様、チーコ様は、猛追を掻い潜り、反撃に転じた事で遅れをとったので、組み手は免除とします!』
『『やったぁーー!!』』
だーかーらー!!
アンタ達、何してんの?
☆☆☆
ドクターと鬼ごっこ
制限時間 10分。
逃げ切れたら勝ち。
30秒以内に捕まったら、ドクターを中心に半径5m地点からやり直し。
その条件で逃げられたら復帰。
逃げ切れなかったら、特別メニュー(謎)
30秒を超えたら、やり直しは無しで休憩がもらえる。
5回以上捕まったら、その回数分のレッドマウスライム(マウスライムの進化系)を相手に、今度は捕まえる側として、捉えるか、討伐をして魔石(直径5mm)を回収する。
※時間は無制限
備考
マウスライム 最高時速60km。
レッドマウスライム 最高時速100km。
ドクターに捕まった時、反撃に転じられていれば、捕まってもカウントはされない。
逃げ切ったら…つまり、捕らえられた回数が0回なら、次の組み手は免除。
歴代優秀者 チーコ。
組み手
制限時間30分。
ドクターは回避のみ、みんなは、どんな手段を使っても、ドクターに一撃を入れる事。
一撃を入れられなければ、一撃を入れるまでの時間分、ドクターにタコ殴りにされる。
※逃走しても良し、回避しても良し、反撃しても良し、その分だけタコ殴りの時間が減る。
最長30分。
歴代優秀者 獅子王。
修行の開始は知らされないので、警戒を怠らず、常に臨戦体制にしておく。
油断をしていると、全員が瞬殺されるから。
四聖獣はオス、四幻獣はメス。
オスは参加、メスは監視官。
鬼ごっこの最初と最後、組み手の最後に注射をしてもらい回復をする。
鬼ごっこコンセプト
『どんな敵にでも、追いつかなければ話にぬらない…逃亡者にも、容赦なく追いついて仕留める』
※要するに逆鬼ごっこ
組み手コンセプト
『強敵相手でも、諦めず挑み続ける癖をつくける、サボったら、その分、自分がやられると自覚する』
「歴代とは?」
『これを、一回に10セットやりますんで』
「………」
『本日、10日目の1セット目です』
「………」
言いたい事、聞きたい事が追いつかねーわ!!
『まぁ、ドクターの回復薬を投与されたら、一瞬で回復するので、問題はございません』
「………」
『では、2セット目が始まるみたいなので、失礼します
』
と、幻獣玄武は言ってますが…。
知らされていないみたいだから黙ってるけど…。
この注射液、色は回復ポーションみたいな色をしてるけど、中身は魔王の血液と、擬似神から奪ったであろう、『神の宝玉』の中の魔法核だからね?
そりゃあ、回復も速いでしょうよ…。
ひと目見て、核心はあったんです。
仮にもナースなので、私なら、薬液の成分ぐらいはわかります。
そして、神界に大量の『神核のみ』を返しに行った金龍銀龍…。
選定神は擬似神で鑑定師だった。
↓
神の宝玉を取り込んだ事で、神としての役割を担っていた。
↓
神の宝玉は、神核以外に魔法核があり、ドクターは、それを取り込んだ。
では、今回の大量にあった神核と一緒にあったであろう、大量の魔法核は?
答えは簡単。
ドクターがネコババした…です。
おそらく、擬似神の存在を知らなかった金龍銀龍にも、想像は出来ていなかったでしょう。
私が、邪龍からブレス核を抜き取り、取り込んだ時と同じように、修行しているみんなは、ドクターの口車に乗り、回復薬だと信じて、魔王因子と魔法因子を注入され続けているのです。
そりゃあ、たとえ実力は追いつかなくても、ドクターに反撃ぐらいはできるようになるでしょうよ!!
んまに、とんでもねー奴だな!
ドクターって!!
浮遊要塞だけでも過剰戦力だと言われているのに、こんなに皆んなを魔改造して、何がしたいの?
「ふぅ…」
ため息しか出ませんよ!呆れてっ!!
☆☆☆
修行の10セットが終わり、全員がへばっている中、ドクターは「あとは、注射をして30分休ませておいてくれ」と言い残して、どこかへ消えていきました。
グォングォン…。
グォングォン…。
しばらくすると、どこから共なく、怪しい、腹に響くような、重低音が魔の森を包み込みました。
音は空の方が聞こえます。
(もしや、浮遊要塞??)
と思って空を見上げても、樹海方面には、ちゃんと5島が浮かんでいます。
重低音は静かに、それでいて、人の恐怖を煽るように、リズム的に鳴り響いています。
『ドクター?今、どちらに??』
私は、リズムカルに鳴り響く重低音に耐えられず、念話で確認をします。
『ん?要塞都市A…いつものとこー』
ドクターは、島自体を浮遊要塞、その上に建っている建造物を要塞都市と言っています。
ドクターが入り浸っているのは、『要塞都市 アルマゲドン』
今は、精霊族領の真上に浮遊しております。
アルファベットが、縦10m横7mで描かれているので、相当遠くから見ても、どれがアルマゲドンで、どれがオルマゲドンかは、はっきりとわかります。
『そろそろ、30分経ちますけど?』
『おう!みんなには、必死で対抗しないと死ぬぞ?って伝えて!』
『へ?何するんですか?』
『伝え終わったら、イノリは魔の森から出て!居たら、巻き込まれるぞ?』
『だからー!』
『カウントダウン!5、4…』
問答無用ですかっ!!
「…と言う事です!私は巻き込まれたくないんで…逃げます!!」
スッ!!
『『『『えっ?えぇぇぇーー!!』』』』
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