第57話 ドクター VS 従魔軍団=修行? 1

もしや、これはいい機会なのでは?


そう、今、獅子王を投げ飛ばした事で、この広いフィールドに、敵が潜入したと勘違いして、襲ってきてのでは?


みんなは、修行していると言っていたし、ヨーコ達は狩りに行っていると言ってました。


獅子王が投げ飛ばされた事で、こちらに戦力を向けてくれるなら、私にとっても好都合!


なんて思っていましたが、みなさん、どこにいるのでしょう?

聞こえたのは、獅子王さんの叫び声のみ。


森なら、ザザザザー!とか、ベキベキとか、それなりの音がしていてもおかしくは無いはずなのです。


私、ドクターに似て、ですし…。


『ここは、探索系魔法が使えないから、ほぼ、サバイバルなんだニャー』

「な?!」


『ボクののところに獅子王が飛んできて、ビックリしたコン』

「………」


何?ニャーとかコンとか…宿題は一人称だったでしょ?

語尾まで変える必要ある??


『でね?それぞれの固有能力を生かして、生き抜いてるわけ…』

『チーコ…いつのまに…』

『わっちの眷属は、妖獣魔の中で随一でありんすから』


だから語尾!!


「で?妖獣魔って何??」

『あー!あたいら、モンスターとは違うし、従魔とも違う…容姿は獣人そのものだけど…』

『だから、ボクらで考えたんだよ…妖怪の従魔で

『魔物と魔獣が違うように、わっちらにも、わかりやすい、統一した名前が欲しかったのでありまする』


こらこら…語尾に統一性を持たせられないなら、最初からするな!!


「で?レイコは?」

『獣王さんと鬼ごっこ』

「は?なら、さっきの獅子王は?」

『あたいと戦闘中だった…こないだの続き』

「はぁ?」

『あたいが隠れた時に、たまたま毒ブレスで森が枯れてきたから、獅子王は翼で毒を拡散して、攻撃をしたってわけ』

「で?私がぶん投げてしまった…と?」

『そう…にゃん』ニコリ


フワッ…。


そこに現れた、聖獣、幻獣の2セット。


『どうなされましたか?主よ…』

「あー!こちら、ご主人様の彼女さん」


まてまてまてまて!!

嫁やら彼女やら、最初はドクターに憧れてたのは事実だけど、、そんなかないからね?


「コホン…私はドクターの助手です!」


『左様でしたか…それは申し訳ない』

「つか、なんでミーコ達が主なの?」

『負けたからでございます』


は?


☆☆☆


要約すると、


4人は狩りに出た

たまたま聖獣らに遭遇した

妖獣魔4人VS聖獣幻獣8体とチーム戦をやる事になった

勝った

2体づつ、従魔にした


と?


『ボクの従魔は玄武夫婦』

『あたしの従魔は白虎夫婦』

『わっちの従魔は朱雀夫婦』


夫婦って何??


フワッ


『そして、わたくしの従魔が青龍夫婦でございます』


何気に、レイコ登場!


って、だからって何??


「で?獣王と獅子王は修行中?」

『そうだよー!能力の底上げだって』

「底上げできてるの?」

『さっきの爪がそうだね、最初は最長50cmぐらいだったんだけど、今は5kmぐらいだって言ってた』

「需要あるの?私、まとめて固めて投げちゃったけど?」

『イノリ様は特別ー!』

「あっそ…」


遠距離攻撃用に特訓して、長さを確保し、太さも針ぐらいまで変えられるように修行し、柔軟性も持たせて、敵の死角から、攻撃ができるようにした。


らしい。


脳筋キャラはどこへ行った!!


『いやぁ、ここのモンスターが、ご主人様レベルでおかしくてさぁ…スペックが!脳筋じゃいられないんだよ…』

ヨーコが、それを言う??


あんたは、狡猾に戦うスタイルでしょう?

キツネなんだし!


『イノリ様、実際に戦ってみればわかりますよ?』

「ゴブリンが、オーガ並みの強さなんだっけ?」


ズゥゥゥーーン…。


あら?

12人とも、崩れ落ちちゃった…。


魔改造された妖獣魔…そもそも神獣と言われている最上級種の聖獣幻獣…。


なんで、そんなに落ち込んでるの?


『オーガ並みの力を持ったゴブリンは、オーガリン…今や非戦闘員でやんす』

『標準戦闘員は、魔法特化のマジカリン、戦闘特化のドラゴブリン、そこに、複数のキングドラゴブリン、クィーンドラゴブリン』

『繁殖率も半端ない』

『あと、マウスライムが厄介…ネズミ型スライムで、俊敏性と繁殖率で、核も小さい…スライムだから、あちこちに姿を変えて忍んでいる』

ミーコの、謎やんす語から始まり、ヨーコ、チーコ、レイコの順で話していきます。


「で?この森の頂点に君臨するモンスターは?」

『プリンスライムとプリンセスライム』

『と、キングドラゴブリン、クィーンドラゴブリン』

『が、森の頂点で、支配者は、森の根っこ』


最後に口を開いたレイコが続け様に、トドメの言葉を出しました。


『森の根を傷つけた者は、誰彼構わず、地中に飲み込まれ、森のエサとなります』


(結構エゲツない進化を遂げてるわね…)


「で、なんでアンタ達は平気なの?」

『ご主人様の従魔だからですよ?』


「はい?」


☆☆☆


レイコの説明によると、ドクターの関係者には、絶対に逆らわないとの事。

ただし、言う事も聞かない。


ただただ、何をされても害される事はない。


という事らしいです。


部外者は、森に住むモンスターと同じ扱いになるのだそうです。


『と、ご主人様が言ってました』

「なるほどね…」


いやいや、まったく意味がわかんないんだけどっ!!


バキッ!バキッバキッバキッバキッ!

ドドドドドドォォォォォーー!!


スィィーー!


『やりましたぞぉー!!ミーコどのぉーー!!』

『そろそろ、盟主殿が来られるぜ!!』


大木を薙ぎ倒し、嬉しそうに走ってくるのは獣王。

空を飛びながら、『盟主殿』…たぶん、ドクターが来ると知らせに来たのは獅子王。


『とうとう、キングドラゴブリンの討伐に成功しました!身体強靭化がオリハルコンに到達した事で、硬さと魔法伝達率が上がり、武器をアダマンタイトにした事で、何者をも切り裂けるようになったからです!!』

獣王さん、めっちゃ嬉しそう。


『さぁ!みなさん!配置について下さい!修行が始まりますよ!!』

と、獅子王が皆を促します。


『『『『ラジャー!!』』』』


スッ!!!


獅子王の言葉を合図に、全員が一瞬で、音もなく、森の中へ消えていきました。


本当に、探知系魔法、おそらくは念話の類も無効になるのでしょう。

全員が全員、感覚を研ぎ澄ませ、勘を働かせる事で、奇襲からも身を守り、尚且つ、デタラメな進化を遂げたモンスター達相手に、サバイバルを行っていたようです。


で、ドクターが来るって?

修行が始まるって?何それ?


「あれ?イノリ…何してんの?」

い、いつの間にぃー!!


「や、やだなぁ…魔の森に来るって言ってたじゃないですか…」

あ、焦ったぁー!!


「あぁ、そうだったな…で?ヨーコ達には会えたのか?」

「あ、はい。先程、散り散りになっていきましたが…」

「あいつら…かなり、きてやがる…」

「…と言いますと?」


「大抵は、抜き打ちで、手当たり次第にぶっ飛ばして回っていた…ハッハッハ!」

「………で?」

「最近、かなり用心深くなってきてるから、まずは鬼ごっこから始める事になる」

「この広い森で?」

「あぁ…あいつら、単独で隠密行動しやがる…ま、集団でいたらだからな」脱ぎ脱ぎ


ズルッ…ズッシィィィーーン!!


ドクターが白衣を脱ぎ捨てました。


土煙が上がるほど、地盤が沈む重さの白衣を…。


「初めて見ました…白衣を脱いだところ…」

「だろうな…ヨッヨッ…普段なら…ゴキゴキ…必要ないんだけどな…」

「ではなぜ?」

「メスは使わない、魔法は使わないっていう、ハンデなんだよ、向こうは、何でもアリな?」

「………」

ドクターは、ストレッチをしながら、涼しい顔でニヤニヤしています。


「あ、ちょうどいいや…イノリ、ここで、をしてくれ!それなら、しないでぶっ飛ばせる」

「は?は、はい…」

「安心しろ!に、正確にぶっ飛ばすようにするから!コントロールには自信があるんだ、頼むぜ!」

「あ、はい…」


スッ!


ドクターは、そう言い残すと、またもや一瞬のうちに姿を消してしまいました。


ドクター自らの修行って…。

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