第56話 ドクターから語られる真実と魔の森バトル。

ドクターは語ります。


発端は、獣王が言った『転生、転移者は、神族領スタート』という言葉。


「これな…全部、神族領から派遣された神だったんだよ」

「「なんと!!」」

これには、流石に女王様も私も驚きました。


「でな?神核自体に、その神の力は宿ってないんだよ」

「といいますと?」

「神族領にいると思われる神は、全員が全員、神界、天界から来た神ではなく、擬似神ぎじしんではないかと言う事だ」


これは、金龍銀龍さんに確認する必要がありそうですね…。


「その本体は、空間魔法が得意な奴ら…こいつらが転移神となり、蘇生魔法が得意な奴が転生神となる…神核を得てな」

「つまり?」

「こいつらは、転生転移をはいないんだよ」


なんと!


「神ってさ、生まれながらに神だろ?」

「まぁ、そうですね」


「あと、神格化するほどのスゲー奴、そいつらは、限りなく神に近い存在となった事で、信仰の対象となり、に神核が生成される」

「ほうほう」

「ここまでは、俺が調べた神についてだ…で、ここからは推測なんだが、何者かが、人工的に神を作って居るのではないかという事だ」

「なんか、きな臭い話ですね…」


「その証拠に、そこに転がっている神核を抜き取った神に召喚された奴は、必ず、この世界にある神族領に転生転移させられている」

「まぁ、ありえませんよね?自由に場所が選べないとか…」


そこで思い当たったのが、『仮死状態』だった私達を、死んだと勘違いして、肉体ごと召喚させた『選定神』。


もし、私たちが何も言わず、ドクターが次元を切り裂いてなければ、神族領に送られていた可能性があったという事実。


次元を切り裂いて、世界を渡ったからこそ、時空に差異が発生し、この世界の王国に…という事になります。


「選定神は、鑑定師だったわ…だから、本質を見抜く選定神になったんだろうな…」


ドクターの仮説と実証…お見事です!


「で、知ってて神になった奴は、もちろん地獄送りに…知らずに奴らも、思いっきり増長してたから、地獄送りにしてきた」

「結局、全員地獄送りにしたんですね?」

「まぁな…神って、なんであんなに横柄になるのかね?やれやれ…」


この会話に、先日、女王様達と話した内容を合わせると、概ね、辻褄が合ってしまう事に、冷や汗が出てきました。


見えない陰謀の予感です。


☆☆☆


「で?その神核はどうなさるおつもりで?」

「あぁ…地獄に保管してあった、選定神の核も合わせて、本来の持ち主に返すのが筋だろうな…」

ドクターが、いつになく、を言っています。


ちょっとビックリ!!


「その仮説と実証ができるまで、目立った行動も発言も出来なかったから、黙って行動したんだよ…危険だったから…すまんな」

「あぁ、いいですよ?納得しましたし」

んー!いいムードじゃないですか!!


「コホン…お主ら、イチャコラするのは、他でやってもらえんかの?」

「お、おぅ…」


やっちゃいましたかね?私達…。


「で、その神核は、どうするつもりなのじゃ?」

「ん?何もしないけど?つか、できない」

「どういう意味じゃ?」

「俺、神界、天界に行けねーし…つか、神界と天界の差も良くわからねー!ハッハッハ!!」


アンサー

神界→神族のみが住まう世界

天界→天使族のみが住まう世界

by銀龍


「なら、どうじゃ?我は精霊の王、知り合いの神に頼んでみるのもアリではないか?これだけの神核が、神界の神から失われているのじゃ…困っているであろう」

「あー!じゃ、それで頼むわ!」


軽っ!

神核の扱い軽っ!!


「よし!イノリとも仲直りできたし、神核のも出来たし、帰って次に備えるか…」

「帰るって??」

「へ?浮遊要塞A」

「私はお供しなくても?」

私は、ドクターの助手ですよ?


「いや、来てもいいけど、神族領の監視をするだけだぞ?転生転移者が減り、派遣した擬似神が根こそぎ排除された事が知れたら、間違いなく報復に来るだろうしな…どうする?」

「や、やめときます…ちょっと、女王様と話をしてから、魔の森へ行こうと思います。ヨーコ達の様子も見ておきたいんで…」


「あぁ、ついでに、王都にある宿屋、解約してきてくれ…もう必要ないし」

「はい!了解です!お気をつけて!」

「んじゃ…」


シュン!


確かに!

宿屋は、もう必要ないですね!


…って、滞在期限、過ぎてるんじゃ??

と、思わなくもないです。


「で、女王様…」

「うむ…やはり、あの神族領には何かあるのは間違いなさそうじゃの」


『我々が、あやつを起点に未来視出来なくなったのも、そのへんに原因があるやもしれん』

『私達は、その神核を持って、神界に赴きます…しばらく、頼みましたよ?女王さん』


流石は龍神!


「うむ、頼んだ…神界でも動きがあるじゃろうからな…」

『『では…!!』』

ブツッ


この会話を最後に、金龍銀龍さんからの念話は切れました。


なんだか、点が線に…散らばったパズルが組み上がっていくような…そんな感覚を覚えたのは、私だけでしょうか?


今思えば、ドクターの選定神に対する『詐欺師』発言も、あながち間違っていなかったようにも感じます。


「では…私も魔の森へ行ってまいります」

「気をつけての…」


なんか、短時間に色々詰め込んだせいで、久しぶりに体を動かしたくなってきましたよ。


「ふぅ…」


☆☆☆


さぁ、やってまいりました!

魔の森…その実、根っこモンスター。


樹木は、髪の毛ですかね?


しばらく、重い話をしていたので、森といえど、開放感はあります。


「つか、ものすごく成長しているのは気のせいですかね?」


あ!


『無限増殖は止まっている』


確か、ドクターは、こんな事を言ってました。

つまり、今、目の前に広がっている森が最大値。


めっちゃ広いけど…。


誰がどこにいるのかさえわからないけど…。


「探知!」


(………)


探索魔法が効きません…。

どっかの樹海に入ると、磁石がきかなくなるとか、そういう類でしょうか?


「って、ずいぶんと鬱蒼としているわね…」


カァァーー!


ボシュゥゥゥーーー!!


「ふぅ…」

とりあえず、毒ブレスで、歩くルートは確保できました。


火炎→論外

石化→砕く手間がかかる

凍結→同上


つまり、毒で枯らす以外の選択肢がなかったのです。


「ま、いいか…」

とか思っていたら、『圧縮掌あっしゅくしょう!』とか言う、掛け声と共に、正面からを受けました!


私のブレスを攻撃だと勘違いして、反撃してきたようです。


「誰?!」


ザザザザァァァァー!!


(うわっ!)

物凄いスピードで近づいてくるよ!!


シュン!!

獅子流突爪ししりゅうとっそう!!』


突風の後に、襲いかかってきたのは、黒い爪10本。

さながら的な、危ないヤツです。


ガッキィィィーーーン!!


「まぁ、私には通用しないみたいですけど…」ポリポリ


腹部に10本、まともに受けましたが、少し痒くなっただけ。


とりあえず、まとめて凍らせ、ぶん投げました。


「よいしょっと!えいっ!!」ポイッ!


『グワァァァァァーー!!』

これ、技名的に、獅子王さんですかね?


確か、任意で爪が伸ばせたはず。


つか、遠過ぎて、豆ぐらいにしか見えない…。


(どんだけ爪をのばしてんだか…)


みんな、ここで何してんの?

私に喧嘩売ってんの?

まぁ、やるならやりますけど?


と、誰もが一度は言ってみたいセリフ。


どこからでも、かかってこいやぁー!!

ゴルァァァァァー!!

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