第36話 ドクターがやった謎魔改造の片鱗

えー。

現在、レイコによって、精霊族領は氷漬けにされております。


当の本人は、何やらプンプンしながら、氷漬けになっている樹海にをしています…はい。


いったい、精霊族領で何があったのでしょう?


この件につきましては、しばし放置とさせていただきます。


何故なら、ただ今、獣人族領にて、ヨーコが巨大化し、何者かと交戦中だからです。


普段は甘えん坊で、給仕が得意なヨーコは、その実、人間界において、と謳われているほどの、超有名な妖怪、九尾の狐です。


それが何をどうしたら、あんなにモードになれるのでしょう?


そして、一緒に居るであろうミーコはいったい…。


そもそも、何故2人は一緒に行動を共にしたのでしょうか?


狐は犬科、猫は猫科。

本来、両種はいがみ合う間柄であり、仲良く行動する間柄ではないのです。


時代の流れでしょうか?

現代の地球においては、人間が犬と猫を同時に家族とし、仲良く暮らしている風潮があります。


一昔前なら、考えられなかった出来事です。


って、そんな事を語ってるヒマはありません!

とりあえず、止めなくては!!


「ドクター!私、ヨーコのところに行ってきま…す?」

「おう!俺も後で行く!」


あれ?ちょっと待って!

レイコさん!何で、ドクターの前で正座??


少し目を離した隙に、レイコさんは、ドクターに正座を言い渡され、めちゃくちゃ汗をかきながら硬直しています。


その汗が、次から次へと氷に変わっていっているのは、目を瞑っておきましょう…。


まぁ、ドクターとレイコさんの行動は、樹海ごと氷漬けにした事が原因だと想像できるので、こちらも放置させていただきます。


「獣人族領に急がないと…」


バシュゥゥゥーー!!


私は、例のごとく、氷と炎のブレスを水蒸気に変え、足の裏から放出し飛行をしてヨーコの元へ向かいます。


ヒュゥーーン!


さて、飛び出したはいいものの、ヨーコさんまでは、結構な距離があります。


そこで…この飛行にも、そろそろ慣れてきましたので、名前をつけたいと思います。


『ジェットブレス』


んー。

イマイチ感が半端ない…。


では、これに、魔王の心臓と核を取り込んだ魔力を合わせて…。


ふむふむ。

スピード調整は、スムーズにできるようです。

最大出力は不明ですが…。


という事で、単に『飛行魔法』としましょう。


ヘタなネーミングをすると、ちまたにあふれるという患者さんと同じになってしまいます。


詠唱?

なんですか?それ…。


☆☆☆


チュドォォォーーーン!!


再び聞こえる爆発音。


その出所は、やはりヨーコ。

なんと、口から目に見えないを吐いています。


『出てこいやぁー!!お前は許さんぞぉーー!!』

ずいぶんとお怒りのようです。


何をそんなに怒っているのやら…。


で、ミーコは?


『グルル…グォー!!お前らは絶対許さんぞぉー!!』


(ん!)


私が目にしたのは、ライオン対ライオンの、ガチバトル。


は?

いやいや…片方は分かりますよ?


だって、顔は人間、ライオンの立て髪に鎧。

金色の王冠に、赤いマントを羽織り、いかにも、王様…おさって感じがしますもん。


極め付けは、マントに『獅子王』の文字。

いわゆるってやつです。


センス悪っ!!

きんもっ!!


しかし、もう片方は、立て髪がありません。

間違いなくメスライオンです。


しかも、顔はライオンそのもの。

赤いタンクトップに迷彩ズボン、ブーツ。


胸でっか!!いやいや…。


でも、胸でっか!!


君、誰??


『お前ら見知らぬモンスターが無断で我が領に侵入し、領民を攫おうとするからだろ!』

『何が我が領よ!!この樹海はご主人様の物なんだからね!!それに、攫うとか何よ!!ご主人様にご挨拶をしに行こうとしただけだよ!バカなの?!』


あ、メスライオン…ミーコだ、これ。


で、なんでライオンになってんの?

あんた、猫よね??


『イノリ様!こちらはいいので、ヨーコの加勢に!!こんなチンケなライオンより、強力な敵がいます!!』

いやいや、あんたも、今ライオンじゃん。


「つか、ヨーコが巨大化しないといけないような敵って誰??」

『獣王です!!クッ!!』


えと?

なら、あんたが相手をしている『獅子王』って何者??


(って、まぁいいか…)


『奴は、ご主人様の事をと比喩しました!!許せません!!』

「な、な、何ですってぇー!!」


ブチッ!!


私の中で、何かが弾ける音がしました。

そう!私いま、ぶち切れてます!!


ヒュン!!


私は、飛び上がり、ヨーコの顔の前で叫びます。


「ヨーコ!!ミーコ!!今すぐ樹海から出て、私の後ろに来なさい!!これは命令です!!」


『『!!』』


シュン!!

ミーコが、何故か白虎になって飛んできます。

『獅子王』との戦闘は放棄したようです。


ポン!

ヨーコは、その場で通常モードに切り替わり、ミーコと同じく私の後ろに、即座に浮遊しております。


流石に2人とも、が働いたようですね…。

これから私がやろうとしている事に。


カァァァァァァー!!


溜めて…溜めて…。

放つ!!


ドッバァァァァーーーン!!


口元に形成された、巨大な魔法陣から放たれるのは、邪龍より取り込んだ『石化ブレス』。


「根こそぎ固まっておしまいなさい!!」


ドッバァァァァーーーン!!

ドッバァァァァーーーン!!

ドッバァァァァーーーン!!


私は、怒りに任せて、獣人族領すべてを石に変えて!!


☆☆☆


ヨーコは、獣王の力に押し負け、巨大化して対抗していたとの事。


魔法攻撃は一切効かず、物理攻撃しか通じないため、『追尾型真空砲』なるブレスを吐き、獣王を追尾、巨大化して力負けしないように、さらに森を壊さないように戦っていたと…。


つまり、今の石化ブレスも効いてない事になります。


今更ながらに、ヨーコが魔法特化型、ミーコが物理戦特化型だと知りました。


でーすーがぁー!!

石化が効いてないなら、それはそれで手間が省けます!


バッ!!


『ゴルァー!!ワシの土地に何してくれとんじゃーい!!』

ほらね、あっさり出てきました。


が、許す気はサラサラありません!!

ドクターを侮辱した奴らは全員抹殺!!


とーぜんです!!


「うるさいわね!!」


獣王が出てきた瞬間を狙い、思いっきりのカウンター!!


バキィィィーーー!!


『グホッ!』


ヒューン!!

ガラガラドッシャァァーン!!


「ふう…」


獣王は、樹海の真ん中にできたクレーターの真ん中で、白目をむいて気絶してしまいました。


とーぜんの報いです!!


「さぁ!3人で、獣人族領を叩き潰すわよ!!」


『えと…イノリ様??』

「何よ!私の怒りは…まだ…え?ドクター??」

ヨーコの声に、振り向いた私が見たものは…。


呆れ果てた顔のドクターでした。


「あれ?てへ☆」ニッコリ

「………」

あー、ダメだ、これ。


ドクターは、無言でアゴをしゃくり、『ついて来い』と私達を促します。


そして、私達は…。








レイコと同じく、正座をさせられるハメになりましたとさ。


おまけ

正座無し=チーコのみ


うそん!

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