第34話 ドクターの知らない私と2人の知らない仲間達

シュウゥゥ…。


温泉から出た私は、チーコの付き添いの元、再び『廃棄場』に戻ってきました。


そこで待っていたのは、森に狩りに行っていたエルフ族の50人。


を、治療しているドクター。


相当な戦闘があったようです。


ひょんさんは、いわば中。


無限牢獄や次元牢獄の管理者らしき人物からのクレームに、のらりくらりと対処をしております。


一連のやり取りを少々…。


『いやぁ…こちらも困っておりまして…随時、処理はしていますが、そちらのセキュリティ問題を解決していただかないと…』


『貴様らが牢獄に穴を開けているんだろうが!!』

『へぇ…そうなんですね』

『そういう行いをしていると、またどこかの世界で問題が発生するのは目に見えている!わかっているのか!』

『へぇ…そうなんですね』

『貴様!ちゃんと聞いているのか!これは由々しき問題であるぞ!!』

『それには、セキュリティ問題を解決していただかないと…』

『お前らが、毎回穴を開けているんだろうが!!』

『へぇ…そうなんですね』

『しらばっくれるな!!』

『さぁ?何の事だか…ホッホッホ』

『前回、来た管理人も行方不明だ!牢獄の囚人も、管理人も返せ!』

『へぇ…初耳ですなぁ…気のせいでは?』

『気のせいなものか!!もう、何人も、ここに来て消えている!!』

『へぇ…そうなんですね』


まったく話が進んでおりません…。


「おう!イノリ!どこへ行っていた?」

ひょんさんの、わけのわからない外交を見ていると、後ろからドクターが声をかけてきました。


先程の事は、特に気にしてないようです。

いや、むしろ上機嫌。


エルフ族は、全員、軍隊形式の並び方で、隊列を作っております。


相変わらず、オペの速度が尋常ではありません。


そして、発覚する恐ろしき事実。


「魔王の素材を使って治療したから、全員の能力が200%アップした」

「魔王…いや、すごいですね」

私が、魔王の体内にある『魔鉱石』を食べた事には気づいてないようです。


「でな?全員、ダークエルフになって、俺の配下になった。上級悪魔グレーターデーモン程度なら、軽く倒せるから、戦力になる」

「へ、へぇ…そうなんですね」

あら!思わず、ひょんさんの会話が移っちゃいましたよ!ビックリしすぎて…。


その会話を皮切りに、ドクターは次々と、とんでもない事を延々と語り続けます。

科学者あるある…まぁ、基本的にドクターは外科医なんですが!


①50人は、ダークエルフ族として独立し、故郷の世界には帰らず、どこかの世界にあった1万坪のを住処とし、ドクターと一緒に、私達が元居た世界に移住する。


また、下僕が増えるんですね…。


②封印しなければいけないレベルの、強力な死神は、ドクターが取り込み、『死神属性』を手に入れた。


はいはい…今更驚きませ…驚くわ!!

何!その『死神属性』って!


③死神のカマは、すべてメスにし、魂の切り取りが容易にできるようになった。

④邪神は取り込み、邪剣はメスにした。


いやね…死神のカマや、邪剣の使い道はわかってましたよ?

でも、邪神を取り込むとか、おかしくありません??


⑤呪詛はひょんさん管理で、地獄の運営に使う。


まぁ、これは無難…何に使われるのかは知りませんが!


⑥上級悪魔は解体して、ダークエルフ族の体内、及び、警護の鬼、妖怪志願者の改造に使った。


ドクターがやりそうな事です!!

そりゃあ、強力なダークエルフ軍団も出来ちゃいますよ!!

で、手放すのが惜しくなったってパターンでしょ?どうせ!!


志願者

ヨーコ、ミーコ、レイコ、チーコ


みんな、私が知ってる女の子達…。


(あれ?)


「チーコは、私と一緒に居たよね?」

『あぁ、私は、上級悪魔20人すべての血液を予約してますから…』

「あ、そう…」


チーコは案外、抜け目がない…。


☆☆☆


「さて、用事も済んだし帰るか…これだけ闇系の奴らを取り込んだら、新月になっても能力は失われないだろうしな…ハッハッハ!むしろ、俺、闇に強くなるかもー!」

上機嫌なドクター。


『『『『では、私達もお供しますねっ!』』』』

上機嫌な妖怪女達…。


「「え?」」

私はもちろん、ドクターにも、4人がお供する話は寝耳に水だったようです。


「なんで?お前ら、それぞれに役割あるだろ?」

何か必死になってるドクター。

はて?


『私達、もうイノリ様に負けてないと思うんですよねー』byミーコ

『一緒に居ても、問題ないはずー!』byヨーコ


いったい、何の話をしているんですかね?


『いやぁ…それはどうかなぁ?』byチーコ

『私達、かなり妖怪離れしてるとは思いますよ?』byレイコ

『いやぁ…それはどうかなぁ?』byチーコ


そ、そうでした!

魔王の魔石…もとい、魔鉱石を私が食べたのを知っているのは、ひょんさんとチーコだけ。


ぶっちゃけ、現在、どれぐらいの能力になっているかは、私自身にもわかっていません。


つか、基本設定の能力すら、わかってませんし!


『まぁ、どっちでも、この地獄にとっては問題ないとは思うんじゃがな…つか、パワーバランスが崩れて、むしろ4人がいたら困る事態になるかもですじゃ…』

ひょんさんは、思いっきり他人事。

むしろ、地獄のパワーバランスを気にしているのが、かつて『妖怪の総大将』と謳われた古参の妖怪。


『そもそも、現世に漂う、あやかし、幽霊、九十九神、西洋妖怪など、この地獄を住処にされた者達が居る時点で、そやつらを改造しまくった時点で、すでにバランスは崩れておる…旦那様は、こやつらの面倒をみる義務があるんじゃて…まぁ、自業自得じゃの…ホッホッホ』

無責任発言連発のひょんさん。


結構んですかね?

いつになく饒舌ですけども…。


「いや、まて!!俺はイノリと2人で…」

『『『『こうして改造される前に、すでに後継者を決めて、引き続きも終わってます!問題ありませーん!!』』』』

「………」

みなさんの手際良し…。


『『『『抜けがけは禁止だからね!!』』』』

「抜けがけ??」

何の事でしょう?

全員、ハモってますし…。


「わぁーー!!わぁーー!!うるさいうるさい!わかったから、それ以上喋るな!!」

さっきから、珍しく必死になっているドクター、何か新鮮です。


こうして、妖狐、猫娘、雪女、吸血鬼が、一緒に元の世界に戻る事となりました。


モンスターとして、討伐されなきゃいいんですけどね?


ちなみに、地獄を出るにあたり、4人は自ら、名前を付け、モンスターではなく、亜人種として行動するという事でした。


妖狐

ヨーコ•フォックス

猫娘

ミーコ•キャット

雪女

レイコ•ブリザード

吸血鬼

チーコ•ブラッド


ですね…プッ!


ちなみに服装は

ヨーコがメイド風和服

(黄色、オレンジ基調)


レイコが和服

(白、水色基調)


ミーコが少年風

(白、茶色、黒基調)


チーコがゴスロリ風

(黒、赤、紫基調)


それぞれ考えているようです。


私のナース服は、ピンク色が少し濃くなり、デザインを自由に変えられるようになっていました。


短パンにしたり、パンツにしたり、フリルを付けてみたり、自由自在です。

エロ仕様にして、ドクターを誘惑してみましょうかね?


なんてね☆


何はともあれ、私達6人は、こうして地獄を後にして、元の世界、大樹海に帰る事になりました。


現地で、予想外の事態になっているとも知らず…。

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