第26話 ドクターで遊んでいたのは妖怪でした。

スパーン!

スパーン!


閻魔さんに連れられて、やってまいりました。

初の地獄へ到着。


スパーン!

スパーン!


そこには、私を出迎える妖怪、死者達の立ち並ぶ姿がありました。


『『『イノリ様!ようこそ!魔改造地獄へ!』』』

「へ?」

『こらこら!略すんじゃない!』

全員から、へんな挨拶をされたと思ったら、閻魔さんから訂正が入りました。

と…意味がわかりません。


『『『失礼しました!ようこそ!大王様に魔改造された地獄へ!!』』』

あんまり変わってないしっ!!


でも、以前、ドクターから聞いた地獄のイメージ、発言からしたら、なんとなく、魔改造されたって事は納得ができました。


以前、一瞬見た『妖狐のヨーコさん』もいます。

見た目は幼いですが、地獄では位が高いのでしょうか…。

貫禄が滲み出ています。


あと、知ってそうな妖怪は、雪女、カッパ、そして、噂に名高い妖怪の統率者『ぬらりひょん』。


さらに、猫娘に一反木綿…え?吸血鬼??

ミイラ男にオオカミ男…キョンシー??


スパーン!

スパーン!


なんで、日本の地獄が、和洋折衷わようせっちゅう妖怪の溜まり場になっているんですか!!


私の驚きは、みんなにも伝わったようで、全員が苦笑いをしています。


「まさか…これもドクターが…」

『皆までゆうてくださるな…』

閻魔さん、思いっきり諦め顔…ちょっと同情します。


スパーン!

スパーン!


「って言うか、さっきから、あの音、何なんですか?」

『いやぁ、砂化バァバと粉木ジジイが旦那でキャッチボールをしている音ですね』

「ちょ!ドクター!何遊んじゃってるんですか?赤ちゃんになったんじゃなかったんですか?もう!赤ちゃんになっても意識があるって、ちょーめんどくさい人!!」


私の中では、はまだ有効なのです!


『姉さん!落ち着いて!旦那ではなく、旦那ですよ?』

「え?それって、私の思い描いたシナリオじゃない!!」

『いやぁ、ちょっと違うっすかね?』

「へ?」


何が違うって言うの??


ドクターで遊ぶ

閻魔

旦那で遊ぶ


同じじゃない!!


☆☆☆


スパーン!!

スパーン!!


「こ、これは…」

『ね?イメージと違うでしょ?』


閻魔さんに連れてこられたのは、日本の良き時代に存在した、川沿いの堤防にある野原。


(なんで地獄にこんな場所が…とかは思いません。

どうせ、ドクターがで作ったに決まってます。


岩場に囲まれた的な場所に、川が流れており、堤防と野原があります。

川は岩場から岩場に流れているだけ。


ぶっちゃけ、何の風情もありません。


施設名

カッパの川流れ地獄


なんのこっちゃ…。


いやいや、いろいろとツッコミたいけれども、今の論点はソコではありません。


論点

2人はドクターで、どうやって遊んでいるのか?

です!


スパーン!!

スパーン!!


『よう!お嬢さん!あんたもやるかね?』

と、砂化バァバさんが声をかけてくれています。


『ほう!あの子が噂の大王の妃…』

「ち が い ま す!!」

粉木ジジイさん、認知症か妄想癖でもあるんですかね?

ツッコミを待っていた…とか??


いやいや!

この2人のペースに乗せられてはいけません!!


論点

2人はドクターで、どうやって遊んでいるのか?


「ところで、ドクターはどこですか??」


『これじゃよ!!』

砂化バァバが、ボールを持って私に見せながら、大きく手を振っています。


すみません!

『これ』の意味がわかりません!!


『ほれ!』

ポーン!


ポスン…。


投げられたボールを、受け取りはしましたが…。


『ポスン』…なんて間の抜けた音でしょう…地獄では、どんなボールを使って…って!


え、えぇーー!!


「こ、これは…」

『旦那ですね』

「……」


これ、ただの肉の塊ですやん!!


地獄の住人さん、これがドクターって、どういう事ですか!!


ねぇ?ねぇ?

赤ちゃんって話はどこへ??


☆☆☆


『いやぁ、旦那は細胞を自由に変化させられますからね!新月より3日は、意識もなく、自由も効かず、我々のオモチャにできるわけですよ』

「ひどっ!」

閻魔さん、何気に酷い!

旦那ー!とか言いながら、この変わりよう…猫を被っていたんですね!


『我々も、ある意味被害者なんじゃよ…これぐらいの道楽には、付き合ってもらわねば割に合わんて事じゃ』

「それもなんか酷い!」

砂化バァバさんは被害者じゃないでしょう?

強くしてもらったんだし!


『閻魔がを取り込んだら、元々の性格に戻るからのう』

「へ、へぇ…」

『そうじゃなきゃ、地獄に来た魂に罰を与えられん』

「な、なるほど…」

所詮、ドクターが魔改造しようが、ここは地獄で、みんな地獄の住人なんですねっ!


とか、思ってましたが、私にも勘違いがありました。


勘違い その1

妖怪は、元々、地獄の住人ではない。

無理矢理、住人にさせられた。


勘違い その2

妖怪、九十九神、西洋妖怪は、一つの世界にはいない。

ドクターが、にした。


勘違い その3

必ずしも、改造された妖怪が強くなったわけではない。


例)砂化バァバの場合

本来は、着物の懐に入れた砂を撒き、目つぶしに使ったり、で、相手の集中力を欠いて攻撃の手を緩めたりしていた。

必殺技は、砂に妖力を練り込み、投げた砂を散弾銃のように撃ちこむ『砂弾さだん』。

10cmの鋼鉄をも貫通させられる威力。

遠距離攻撃

砂化にされ、近距離攻撃しか出来なくなった。

=弱体化

普段は逆らえない

で、新月の時に


私ことイノリの判定

どっちもどっち


ぶっちゃけ、気が抜けました…はい。


☆☆☆


てな具合に、地獄で好き放題やって300年。

現世では、ほんの3年だそうです。


しかし、その300年でドクターは、地獄で恐怖の対象として恐れられているという立ち位置となったようです。


赤ちゃんになった時には、意識がないので、時に憂さ晴らし、時におもちゃとして、地獄では重宝されているとの事。


通常の死人や亡霊に、そういう扱いをすると、魂が更に汚れて転生させられない。

必然的に、ドクターが対象となる。


だそうです。


は?

それは、どんな理屈ですか?


ちなみに、憂さ晴らしは、大抵

ボールにしたり、ボールにしたり、ボールにしたり…って、ボールばっかりなんですけど?


野球、サッカー、バスケ、ドッチ、バレー


と、あらゆる球技のにするそうです。

ドクター、ご愁傷様!


で、おもちゃにするのは、なのだそうです。


お着替え、おむつ替え、抱っこ、おんぶ、高い高い


など、聞く分には、あやしてるようにしか聞こえない単語。


しかし、実際は…


例)

抱っこ→背骨が折れるまで

高い高い→上空10mまで投げて、誰が受けられるか


その内容は、私が思っていた『ドクターで遊ぶ』の常識を、軽く飛び越えたものばかりでした。


でも、知りませんよ?

意識はなくても、ドクターの細胞は覚えているはずです。


後で、何をされたのか、絶対に分かるはずです。


…って、ちょっと待って!


もし、ドクターがを承知でやらせていて、無言のうちに、引け目を感じさせて、普段好き勝手にやっているのだとしたら…。


これは、『どっちもどっち』ではなく、『妖怪さん、ご愁傷様!』ってならないっすかね?


ま、これは黙っておきましょう!


私、関係ないですしね☆

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