第15話 ドクターは色々勘違いしていたようです。。

ただ今、ギルマス、硬直状態…。

気絶はしていないようです。


『何故、我は生きておるのだ?化け物じみた人間にやられたはずなんだが…』

「化け物じみた…は余計だ!」

『お主!』

「お?もう一回やるか?」

黒龍的には、自分を殺した人間。

敵意を剥き出しにしてもおかしくはありません。


「待って下さい!父上!」

ドクターと黒龍の間に割って入ったのは、レッドとブルー。


(黒龍がレッド、ブルーの親??)


えぇーーー!!


つまり

金龍、銀龍は祖父母

黒龍と白龍は両親

赤、青、緑、黄色は娘


ドラゴン一家で、王国と帝国を監視していた…という事になります。


帝国側に紫の邪龍が加担している。

邪龍=敵


母親である白龍は、ドラゴン一家を牽制するためのコマ。


こんな図式になります。


『ところで、わしのツノの一部と、筋肉が削られているように思うのだが?』

「気のせい気のせい」

『そうか…まぁ、また生えてくるしな』

「………」

気のせいで済まそうとするドクターもドクターなら、そうか…で済ます黒龍も黒龍です。


「父上!鼻の頭のツノはどうされました?」

イエローが心配しながら黒龍を見つめています。


『こやつに、指二本で握り潰された』

「は?」

「俺、握力には自信があるんだ」

「………」


ドクター!何やってんですか!


「ブルーを治療してたら、いきなり来て『威圧』するから、鼻まで飛んで鼻のツノをつまんで投げ飛ばした…俺、跳躍力には自信あるんだ」

「………」

黒龍は黙り込み、3色ドラゴンは呆れています。


そこで、レッドが起きてきて、黒龍を見て、また気絶をしてしまいました。


「ドクター、これは?」

「いやぁ、黒龍を解体している時に、攻撃してきたから、のしてやっただけだが?正当防衛…ハッハッハ!」


要するに、親の仇を討とうと攻撃してきたレッドを返り討ちにした…という事ですね。


「ドクター…まさかとは思いますが、楽しく解体している最中に『邪魔が入った』から、排除したわけじゃないでしょうね?」

「え?そ、そんな事ないよ?」


あー、図星でしたか…。


☆☆☆


「なぁなぁ、黒龍も人間体になれるの?」

『なれるが、それがどうした?』

「なってよ」

『何故、そんな事をしなきゃいけないのだ?人間よ!』

「こいつ!また逆らうんだな?もっかい解体してやろうか…」

ドクター!娘さんのためにやめたげて!!


「父上!ここはひとつ、人間体になってはいかがでしょうか?この次元空間から出たら、騒ぎになります」

お!ブルードラゴンは冷静ですね!


『しかし…』

「解体と人間体…選択肢はないと思うんだが…」

ドクターは、何故そうやって解体したがるんですかっ!


「つかよー!俺、称号に『ドラゴンマスター』ってのがあるんだよなぁ…つまり、ドラゴンをすべて掌握できるって事じゃねーの?」

『な、なんと!』

「ふふん!どうだ!まいったか!」

『えと…まぁ、とりあえず人間体になるわい』

「そうそう…最初から、素直にやってればいいのに…」

ドクター!なんか、生き生きしてませんか?

冷静沈着なイメージが、まったくなくなっているんですけど??


人間体になった黒龍は、ため息をついて座り込みました。

黒いフルアーマーを纏った戦士のような佇まいです。


そこに、黒龍の雰囲気を悟ったギルマスが『ドラゴンマスター』についての説明をした。


『ドラゴンマスター』

ドラゴンに認められ、主人と認められた時、初めて自分の使い魔として使役できる。


「という事なんですよ。ドラゴンは最上級魔獣…聖獣に属しますから…無理矢理使役はできません」

ギルマス、とても分かりやすい説明、ありがとうございました。


『わかったか!わしらの力を借りたかったら、力を示せ!』

黒龍が威圧を放ちながら、ドクターに対して、めっちゃ偉そうにしています。


娘達は、を知っているため、静観の構えです。


その事実

そう、力を示せ!と言ってる黒龍は、一度、ドクターに解体され、蘇生させてもらっているのです。


ドクター視点では

これ以上、どう力を示せと?

となります。


「あ!よし!わかった!力を示したら、お前ら全員、俺の部下になれ!力を貸すとかじゃなく、生涯を俺のために尽くせ!いいな?」

『貴様!気高き我が龍族を愚弄するか!人間の配下になどならん!我々は、龍人族ではなく、龍であるぞ!あくまで力を貸してやるだけだ!』

「父上!あまり逆らうと、全員解体されてしまいます!」

「父上は知らないだろうけど、解体も蘇生も、見てて心臓に悪いからっ!」

ブルーとグリーンが、必死で黒龍を止めます。


イエローは、レッドに付き添い、介抱しながら、その様子を見ています。


ギルマスは…流石、元Sランク冒険者!

物事に動じていません…。


いや、立ったまま気絶していますね…これ。


☆☆☆


「要するに、龍族が俺を主人と認めたら、何でも言う事を聞くんだな?」

『ふん!人間ごときが、わし達を認めさせられるものか!!』

「父上!もう、私は、ドクターの下僕げぼくでいいです!」byグリーン

下僕げぼくはちょっとパスだけど、仲間にならなってもいいかなぁ?」byイエロー

「私は、命を救っていただいたので、従者としてドクターをお支えしたいと思います」

byブルー


「わ、私は認めない…こいつは危険だ」byレッド


意識を取り戻したレッドが、ドクターを危険だと言い出しました。


(まぁ、ある意味『危険人物』だというのは、パートナーの私も思ってますけどね)


まぁ、これは内緒にしておきましょう。


『それでは、我らは山に帰る!帝国の動きも気になるからな!』


ドラゴン達は、それぞれ、鱗を一枚づつ置いて、山の方へ帰っていきました。

もちろん、本体では目立つので、人間体になり、翼を出しての飛行です。


「ギルマスぅー!この鱗、一枚いくらで引き取ってくれる?」

「あ、あー!一枚金貨200枚、黒龍の鱗は500枚でどうだろうか?これだけ鱗があれば、切り売りしても黒字になる。どうだ?」

「うん、それでいい」

ドクターは、赤、青、緑、黄色、黒の鱗をギルマスに渡し、ギルドで換金すると言います。


「イノリ、手伝い頼むわ」

「はい!ドクターはどちらへ?」

「ドラゴンマスターの称号に見合った役割を果たしてくる!換金したら、宿に戻っていてくれ」

「わかりました!」


ギルマスは黒龍の鱗を1枚、私は残り4枚を持ち、金貨にして1300枚分の素材をギルドに運ぶ段取りをしていました。


シュバッ!


(やっぱり、次元はメスで切り裂くんですね…ドクターは…)


「んじゃ!また後で!」

「はい!」


スッ!


そうして、ドクターは次元を切り裂いて、移動していきました。


称号に見合った役割をしてくる

龍族に認めてもらい、使い魔にする

果たして、ドクターは何をするつもりなのでしょうか?



とか思っていたら、城壁の門から、多数の馬が足並みを揃えて出てきました。


パカパカパカパカ…。

ザッザッザッザッザッザッ…。


「ぜんたーい!とまれ!」

「………」

誰?


は、この国の次期国王、つまり、王太子じゃ…」ボソッ


ギルマスが、王太子を呼ばわりするって事は、つまりはなのでしょう。

ドクターも王国を敵視してましたし…。


「お前らが持っているドラゴンの鱗!どこでかは知らんが、その貴重な素材は王国に献上してもらう!よいな!」

王太子は、ドヤ顔で好き勝手に言っています。


いいわけねーだろ!ボケ!

とも言えず、ギルマスも抵抗する気はないようです。


ドクターがいたら、であっても解決できるでしょうが、今はいません。


どうしましょう?

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