第31話

その日 3人は泣き疲れてベッドで倒れこむように並んで眠っていた。






それを天界からずっと見守っていたミューは




【やっとですか・・】


【アサミさん あなたは確かに善性です ただあなたは一人で立つこともできない】


【厳しい言葉をかけました ごめんなさい】


【でも あなたは一人じゃない】


【あなたは少し違えばもっと笑って何でも言えることもできたのですよ】


【勇者を押し付けてしまって不安な気持ちでいっぱいでしょう】


【でも 支えてくれる家族がいる 他が先に進んでも待っていてくれる家族がいる】


【あなたは一人じゃないんですよ それが気づけたならもうあなたは大丈夫】


【ああ 家族っていいですね】


【あなた達のことはちゃんと見ていますよ】


【だって 私も おばあちゃん子ですから】




ウフフと優しい瞳を細め微笑んでいたのだった。


【さて 私も仕事をしなければなりませんね 今日は残業です】


っと 疲れた顔して【ふぇぇ 仕事多すぎるよぅ】


泣き言をいうミューであった。






朝起きたばかりのアサミは 目をうつらうつらとしながらこすりつつ


隣で眠るばあちゃんとタマのほっぺを撫でていた。


『ふにゃぁ お姉ちゃん むにゃむにゃ・・』


などと寝言を言うタマは今日もラブリーだ。




『アサちゃん おきたのかぃ?』


「うん 昨日はその・・ ごめんなさい。」


と 昨日の情けない自分を思い出し恥ずかしさで顔が真っ赤になる。


『アサちゃんは まだ子供なんだ 頼っていいんだよ?』


「私に勇者なんてできるのかな 不安でいっぱいなんだ。


初めはゲームみたいってワクワクしてたけど。この世界にはちゃんと生きてる人がいる。


どこかで他人事なんだって思ってた。でも違うんだよね?」


『そうだね。一人が自分勝手なことを始めれば すぐ壊れちまうような世界に


私たちは来てしまったんだ。そこはちゃんとこの世界の人たちの事を見て行動しなきゃだめだよねぇ。スキルだ魔法だで 簡単に人を殺せてしまうんだ。』


「うん やっぱりここは現実なんだ。殺すってこともいつかはあるかもしれない。


怖い。私が狂って人として終わることもあるかも。ばあちゃんどうしたらいいのかな」


『まずは ばあちゃんと一緒に進もう 何があるかわからないけど アサちゃんは一人じゃない


それだけは忘れないでおくれよ』


「うん ありがとう」


と 目をゴシゴシと涙をふく。


『ひどい顔だ 目が腫れてるよ 顔洗ってきな』


「うぅ・・ わかった」


『今日は休んだっていい また明日頑張ればいいんだよ』




そこで タマも元気に 『くぅーー!』と起き上がった。




『アサちゃん 今日はどうするんだぃ?』


「ん- まずは情報がほしい。各国の召喚状況とかわかんないとどーしようもなくない?」


『あー 魔王の前に召喚勇者に滅ぼされてました。とか最悪だねぇ。』


「それにね 戦う力もない子供とか動けない体の人たちがムリヤリ召喚されてたら?」


『ああ そういう事態もあるのかぃ 厄介だねぇ』


「私たちは望んでこの世界に来た。でもいきなりこの世界に呼ばれた人は?」


「勇者召喚とかってかっこつけた言い方してるけど 誘拐なんだよね。」


『しかも 帰れるかわからない 誘拐だねぇ』


「私 そんな人がいたら少しでもいいから助けたぃよ」


『じゃぁまずは 情報収集をはじめようか』


「協力してくれる?」


『当たり前じゃないか!』


『タマもがんばるぅ!』と胸を張る!タマかわいい!


「国は・・・ うん ダメだね。勇者いますか?って尋ねてもお前何言ってんだって捕まっちゃうかも。多分国家機密とかだよね」


『勇者召喚ってそんなに早くできるものかねぇ?』


「うーん あんまり頼ってばかりも悪いんだけど お知らせさん いるー?」




お知らせ:なんですか?朝っぱらからみんな元気ですね。




「お おはよぅ・・・寝起き・・?」




お知らせ:私は寝ません。何かご相談ですか?




「勇者召喚の儀式の事を知りたいんだけど 何かわかる事ある?」




お知らせ:神託が下って まだ10日です。勇者召喚の儀式は過去の遺物。


そう簡単に実現できるものではありません。各国の首脳陣は800年ぶりの世界の危機に混乱しています。




「ああ やっぱり難しいものなんだね。」


『まだ時間はあるってことかぃ?』


「でも ミュー様いわく 5年後には確実に終わってるってことだよね?


勇者召喚されます。って言ってたし」




お知らせ:勇者召喚の儀式には大量の魔力が必要です。この世界の上級魔法使い50人分は1回の召喚で最低でも必要でしょう。


また 魔力のない人を生贄に召喚させることもできます。その場合 最低数十倍の人数は必要でしょう。




生贄の言葉を聞いて アサミは顔が青くなる。


「ムリやり捕まえたりするってこと?」


『犯罪者の処刑で代用するってこともあるかもねぇ。』


「そんな事ダメだよ。犯罪者の魔力とか悪いの呼びそうじゃん」


『魔力の質とかが関係あったら 極悪人とかも呼べてしまいそうだねぇ』




お知らせ:あくまでも 魔力の量は目安です。人数はその状況で上下するでしょう。


最悪の場合ですが 失敗した場合はそのままただの死体の量産です。




「一般の魔力ない人の数値とかわかる?」




お知らせ:魔力はレベルアップ 魔力操作の修行 魔力量アップアイテムなどの使用などで増えますが 一般人はMP100あれば生きていけるでしょう。


上級魔法使いはMP2000があれば一人前と言われています。




「MP2000を50人?!ってことは一般人は1000人!?」


『それは一大事じゃないのかぃ!?失敗する可能性もあるんだろう?』


「そんな・・1000人も救えるのかな・・」




お知らせ:勇者召喚の準備ですが 大きな魔力が動きますので 一発成功とかはしないでしょう。




「魔力の高い場所で勇者召喚が行われる?ってことかな」


『魔力がでかい場所を探せば止められるかもってことかぃ?』




お知らせ:アサミ様の魔力量は今の所 約1万 上級魔法使いの5人分くらいです。


勇者召喚を阻止しようと思うなら


戦闘になる場合もありますので、レベルアップを推奨します。




「やっぱりそうなるのか・・・」


『平和解決にしたいとこだねぇ』




お知らせ:各国も手探り状態で過去の文献などを調べている時間もあるでしょう。


最低でも5年です。また 私のデータには時期 召喚対象などの情報はありませんのであしからず。




「ええ 無理には聞かないよ。」


『情報だれかもってないかねぇ。』






「あーーーー ギルマス!!」

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