第28話

【基本神託は誰が来るとか魔王は誰だとか 情報は流せません】




【あくまで私は世界を見守る立場 世界は世界の人たちでどうにかするべきなのです】




「今のミュー様との面会はいいのですか?」




【いえ ほんとはダメなのです アサミさんは勇者に任命してしまったのであくまでも事情説明】


「確かになんで私が勇者?とか思いましたし。」


『アサちゃんずっと悩んでたねぇ』




【ええ それを伝えなかったのは異世界で勇者になってどんな反応するかなー


とか見守ろうと思っていたのですが何も説明もなしでドッキリでしたとか 私も悪ノリが過ぎたかな】




「ええ 言っといて欲しかったですね」


【フフフ ごめんなさいね。】


「で 勇者召喚でしたっけ?」




【ええ ほんとは勇者がアサミさんという事も伝えたいのですがそれも禁則事項なので】




「世界の事は世界の人で決める 過度な干渉は避ける みたいな感じですか?」


【ええ 神託は必要最低限の世界の危機くらいしか話せません そして年に1回なんです】


「津波予報みたいなものですね。」




【アサミさんにも魔王の正体は話せません 禁則事項です】




「まぁ仕方ないですよね。禁則事項なら」


【この世界は何年も戦争らしい戦争は起こってなかったんです。】


「うちの国も平和みたいですね」




【ええ その国も初代が勇者なんですけど その人は召喚で呼ばれたわけではないのです】


「転生ですね。」




【ええ 勇者召喚と違って 転生はそこまで強くありません。】


「異世界特典?のスキルがないから?」


【ええ 知識はあってもスキルがないのでうまく活用できないんです。】


「どうりで文明レベルがそこまで発達してなかったと思いました。」




【実際 勇者王家と言っても子孫は一般人なんですよね。歴史の変革の時に英雄が生まれてくる


ってわけでもないので 初代が死んだあとは まぁ普通の人たちなんですよ。】




【召喚とか転移は他の世界の人が


世界を渡ってくるのに負荷がかかります そこで魂が強化されるのでレベルが上がりやすくなったり アサミさんのように私が直接要望を聞いて加護をつけたりするから強いのですが】


「各国が召喚したのは 今回ミュー様はノータッチでどんな能力がつくかわからない?ってことです」




【ええ どんな性格なのか どんな犯罪歴を持つ人が来るか 強いのか 弱いのか 召喚側は何も選べません】


「ガチャじゃん!」


『SSRがくるかわからないのね Rだったらいじめられそうだねぇ』




【これは私にも手を出せません 何も言えませんしね 神託でやめろとも言えないのです


それが世界の人の選択なのですから】




【召喚された人間がどう行動するかも言えないというか 読めないのですよ】


「読めないというのは?」


【私は預言者じゃありません ただ見てるだけしかできないのです


アサミさんのことは過度に干渉しましたが それは転移前の話】




【こっちの世界に来たあとは特になにもしてません スキルが勝手に動いてるだけです】


【覚えありませんか?】


「あ お知らせさん?」


『お知らせさんは親切だよね 色々お知らせしてくれるし』




【あれ トキさんのスキルなんですよ】




『え 私の?』




「おばあちゃんの知恵袋?」


【ええ その通り あのスキルは知りたいって聞かないと教えてくれません】


【結構気まぐれなスキルなんです あと魔王だれだ?とかそういう確信については何も答えれません 女神の私が禁則事項に縛られてるのにスキルが勝手に答えるとかはできませんよ】


【また なんでも教えてくれってしつこくしてると嫌われます スキルが消える場合もあるので気を付けてくださいね】


【あとは アサミさんの運ですね タマに会えたのも運です。いる場所には送りましたが 会えるとは言ってないですもん 完全に運なんです。】


【でも タマのことだからヒントがあれば探せたと思いますけどね】


「あっぶな 知らなかったらタマ置いてくとこだったんですね。」


『タマ 絶対お姉ちゃん達と会ってたもん!』




【フフ ほんとにいい子に育ちましたね】


【アサミさんにはこれ以上 現世に戻っても手が出せないのです。】


【あと いいタイミングでほしいスキルが手に入ったり 嫌にステータスが強かったりはこれからもあります】


「たしかに ご都合主義かって思ってましたねぇ。」


【私の加護でステータスが伸びやすいのは確かなんですけど やっぱりアサミさんの運なんですよね。】


【助言もできません 召喚されたのがいつかとかどんな人間かとかも自分で確認してください。】




「どうしようもない犯罪者だったら?」




【それもアサミさんの選択なのです アサミさんは勇者です 称号は飾りじゃないのです。


 それだけで認められるのが勇者じゃないのですよ あなたが殺したくなくてもそういう時が来る未来もあるかもしれませんね。】




【各国は勇者召喚を行い どんな人間だろうととりあえず持てはやすでしょう。】


【中にはどうしようもない悪党が来て世界を混乱を巻き起こすかもしれません。】


【それでも 本当の善性があり 勇者になる可能性があるなら 勝手に育ちますよ】


【アサミさん勇者っていうのは自分で選ぶものなのですよ】


【他人の評価なんて関係ないんです 職業勇者(仮)なんてそこら中にいる偽物になりたいのですか?】


【あなたの完全隠蔽の勇者 いつ自信を持って外すのか楽しみにしていますよ。】




【では 今回の会談で私の力が大幅に減少したので加護の私との通話は3年使えません 女神スキルはもう加護を与えてしまっているので覚えていくと思いますがそこまで劇的に変わるというのはないと思います。】




「はい がんばります!」


『ミュー様もお元気でぇ』


『神さま ばいばいー』




【考えなさい 抗いなさい それがあなたの人生です。】






気づけば 元の宿屋の部屋に戻っていた。


ミュー様の重すぎる言葉に色々考えさせられるアサミはしばらくなにもできなかった。


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