第25話

試食会が終わり お風呂に入った後


アサミの部屋で『ん-・・ ん-・・』とばあちゃんが考え事をしていた。


「ばあちゃん 夕方もなんか悩んでたよね?なんかあったの?」




『ああ アサちゃんかぃ お風呂はもういいのかぃ?』


『あったたかったぁ・・』




お風呂場でタマを洗っていると泊りの女性客がタマの事を気に入り


アサミの前でタマを撫でたりしているので


お胸がさみしいアサミはまた落ち込んでいたのだった。




「うん おわったけど なんか考え事でもあったの?」




『アサちゃん 2日前に死んだのよね?』


「そうだねぇ 病気で入院してて 気づいたらあの部屋にいたんだよ。それがどうしたの?」


『ん- 私たちの家 どうなったのかねぇ』


「ああー どうだろう うちのママが死んでからあっちの家とは疎遠になったからねぇ。死んだのも気づかないんじゃない?」


『家ほったらかしってことよね?』


「うん そーだと思うよ。」


『アサちゃん 私が死んだ後もちゃんと遺品整理した?』


「したけどばあちゃんの形見はちゃんと蔵に保管しといたよ?」


『そうかぃ もしかしたらなんだけど 地下室見てないかい?』


「地下室なんてうちの家にあったっけ?」


『ああ アサちゃんには言ってなかったか。』


「知らないよ。そこに何があったの?」


『んとね あそこはじいちゃんの趣味の部屋でね。大事なものを置く部屋でもあったんだ。』


「ああ あそこにも遺品あったんだ 気づかなかったよ。」


『あそこに金庫があってね じいちゃんの生命保険とか財産が入ってたんだけどねぇ。今更どうしようもないかね。』


「あー そういえば ばあちゃんの生命保険のお金も家に置いたままだったよ。」


『もう遅いかね。』


「まって ばあちゃん もしかしたらだけど」




ステータスオープン




異世界買い物説明 


地球からあらゆる物をお金で呼び寄せる地球転移者に人気のスキル


食品 道具 乗り物 武器 書籍 機械 家など様々な物を取り揃えている大型ストア


すでに地球で発売してる物はだいたい手に入る。


購入する際に別世界の通貨をタブレットに置くと地球の通貨に変換できる。


また逆も可能。


スキル保持者がすでに所有している物はお金がかからない。








スキル保持者がすでに所有している物はお金がかからない。


「マジか・・・」


『その様子だと出来るってことなのかねぇ』


「うーん・・ そうみたいだね。私やばあちゃんが所有してるものは呼び出せるって書いてあるねぇ。家もってことでしょう?」


『だろうねぇ。アサちゃん これは大事な選択だよ?』


「だよねぇ いくら無限インベントリがあるって言ってもさすがに家は入らないでしょう。」




お知らせ:無限インベントリには 制限はありません。






「なかったよ・・・」


『アサちゃん どうしようねぇ』


「でもあそこはばあちゃんとの大事な思い出があるとこだし 出来れば呼び出したいかも?」


『私の家って古民家って感じでこの世界に合わないんじゃないかい?あとは土地かねぇ』


「こっちの世界  物価安そうだし 土地買ってもよさそうじゃない?」


『ん- この世界に呼び出したら 地球の方ではどうなるんだぃ?お知らせさん教えておくれ』




お知らせ:この世界に呼んだ時点で地球の記憶が改ざんされ 引っ越したという認識になると思われます。住民は怪しむこともなく空き地に新しい家なり店なりが立つでしょう。




「こわっ それじゃ私たちのこと 地球人は誰も覚えていないってこと?」


『それは・・・・・何とも悲しいことだね。』






お知らせ:それは二人の認識違いです。地球人の記憶の中では 二人との思い出があります。


ですが アサミ様ってどこ行ったんだっけ? のようなあやふやになるという感じですかね。


また トキ様の思い出はちゃんと記憶が残っており 生涯を全うしたという感じなのでご心配なく。




「まぁ それならいいかな。連絡する友達もいなかったし。うう・・言ってて悲しくなってきた。」


『アサちゃんと私の思い出が残るなら別にいいかね。向こうのおじいさんおばあさんももういなかったはずだろう?』


「うん。私が中2の時だったかな。おじさんとかいたはずだけど関わってこなかったよ。」


『アサちゃん やっちゃおうか!日本のお金を逆換金すればこっちのお金になるんだろう?思い出の家も戻ってくるならばあちゃんいいとおもうよ』


「それを店にするってこと? うちそこまで広くないよね?」


『こっちの世界じゃ靴脱がないし 畳もきびしいかねぇ?』


「ん- じゃぁこの町から出たら落ち着いたら我が家にしようか?」


『うん それがいいかもね またあの家に住めるなんて夢みたいだよ』




「あんまりこの町に長くいれる気がしないんだよね。」


『既に色々やらかしてる気もするねぇ・・』


「ダリアとソフィーはこの町固定なのかな?」


『あの二人のことも気に入ったみたいだね』


「うん 異世界の初めての友達だし」


『もしかしたら旅についてきてくれるかもよ?』


「ん- それはなんか違う気がするよ あの人達の人生だもん。」


『勇者かぁ・・』


「あっ ミュー様!」


『そうだったね。勇者のこととか聞かないといけないんだったね。』


「それじゃ ミュー様との通話するね。」




【神との通話】 発動




プルルルル プルルル  プルルルルル




『また電話みたいだねぇ・・』


「ん- 神様ってなんなんだろうね。」




プルルル プルル 




ピッ




【ミューです 只今の時間は受付対象外です】


【平日の9:00~17:00のお時間にご連絡下さい。】




ガチャ




プーッ プーッ プーッ






「役所かよ!!!!」


『ミュー様・・・』




そのアサミの叫びで寝ていたタマはびくっ!として泣いてしまったのを


アサミは必死にプリンであやすのだった。

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