第16話
『アサちゃん こんな反応 この世界に来てから初めて感じたよ 気を付けるべきだね。』
(うん 怖いくらいに圧倒されてる。絶対ヤバイやつだ。見て汗が止まらない。)
『檻にいるとはいえ この程度の檻じゃなんも意味なさそうだね。危なくなったら転移で逃げる?』
(うーん。まだわからないよ。見てみないとでも なんか呼ばれてる気がするんだよね。テイムスキルが反応してるみたい。)
『一体どれだけのレベルのモンスターがいるのかねぇ。』
恐る恐る近づくとそこにいたモンスターから反応があった。
『あれ?お姉ちゃん 勇者なの?それにそのおばあちゃんはお姉ちゃんの守り神?』
(!!!!)
『アサちゃん!!この子 私が見えてる?!それに勇者だってわかるみたいだよ!?』
(この子一体何者なの!?なんで私の正体知ってるの!?)
『それはね 夢で見たの いつか近いうちに迎えに来る子がいる。その子は勇者だ。その子についていけば楽しく暮らせるって
何年も前からずっと同じ夢なの あたし 結構つよいんだよ。こんなちっちゃいけど 3千年はいきてるの!すごいでしょ!』
『アサちゃん この子はもう神に近い存在なのかもしれない 私が笑えるくらいにこの子の力は凄まじいもの。』
(この子が本気出せば魔王とか瞬殺なんじゃないの・・・。)
と この子を改めて見る。
銀色のとてもきれいな毛を持つ狐みたいなかわいい小さな動物で 尻尾が9つあった・・。
(・・・)
『アサちゃん・・・この子・・・』
(うん・・・)
『あれだよね。よく漫画に出てくるやつ・・』
(うん・・間違いないね。超有名なやつだよね・・)
『(九尾の狐だあああああああ)白面の者だよ アサちゃん!!!すっごいねぇ!』
(え? ばあちゃん そっち? 怒られるよ!!)
『ばあちゃん 昔読んだもの じいちゃんが妖怪物大好きでねぇ 全部持ってるよ!』
(ばあちゃん うっさい!空気よんで!)
そんな会話をしながらも 九尾ちゃんは楽しそうに駆け回りアサミを観察していた。その様子は楽しそうに興味深そうに微笑んでいるようだった。
(ねぇ 九尾ちゃん でいいのかな? あなたみたいに強い子がなんでこんな所で飼われているの?嫌々ここにいるの?)
『ん- お姉ちゃんが来ること夢でわかってたし あたしの住処って今の世界の人たちは近づくだけで死んじゃうの あたし 食べ物なくても生きていけるからねっ!すごいでしょ!』
(じゃぁ わざわざ捕まるようにしなくてもよかったんじゃ?)
『ん- あたしはね いっぱい生きてるけど ただいるだけで他の子達がこわがってひとりぼっちだったの。でもね 夢で迎えに来てくれるって子が仲良くしてくれるかなぁってまってたの。大体の場所は夢できいてたから!ゆっくり待とうってここにきてねてたぁ。』
(マイペースな子だなっ!あなた 希少すぎて回りもうるさかったでしょうに!)
『うーん あたしに話しかけてくる人たちもいたけど あたしが話しかけてもなんもわかってないみたい。でも あきらめたのか 毎日ごはんだけくれるようになったの。楽でいいかな。っておもったけど でも 他のモンスターの子とは怖がられてさみしかったなぁ。』
(じゃぁ あなたのことがわかるのは 私の勇者の力?それとテイムSのスキルなのかな?)
『お姉ちゃんは勇者なの!ここ3千年 何人かあたしのとこに来たけど わがままでいじわるな人ばっかだったの だからあたし ついていかなかったの。お姉ちゃんはおばあちゃんを見てるとわかるの おばあちゃんの笑顔がすてきなの だいすきなニオイがするの!』
アサミは九尾ちゃんを自分に重ねていた。ここで自分がこの子と一緒にいなければ またこの子は私が死んでもずっとひとりぼっちになってしまう。
トキが死んでから アサミはどうしようもなく寂しくて つらくて 何も考えたくなくてただただ
死んでないってだけだったな と 改めて人生ってなんだったんだろう。と落ち込む。
両親が死んでからどうしようもない気持ちが支配している中 トキがずっとそばにいて見守ってくれた。トキが生きている時だけがアサミにとって大事な全てだった。
この子を一人にしちゃいけない。自分と同じにしちゃいけない。
『アサちゃん・・ 私はね アサちゃんを残して死んじゃったこと すごい後悔してるの
アサちゃんが苦しい思いをしてると思うと心がつらかった 今はこうしているから幸せだけどね
でも この子は今まで誰も一緒にいてくれたことなかったんだろう?
アサちゃんのこと好きになってくれたみたいだし この子と一緒に生きていかないかぃ?』
(うん ねぇ 九尾ちゃん 私とばあちゃんと一緒にくる?楽しいこともいっぱいあると思うよ?
ひとりぼっちはつらかったよね。寂しかったよね?もう私達がいるからだいじょうぶ。
家族になろうかっ。)
『お姉ちゃん おばあちゃん あたしでいいの??』
と 不安そうにこちらをみていた。
(あなたがいいんだよ。)
と まぶしい笑顔でアサミが答える。
『お姉ちゃん お名前ほしいの!そぅすれば お姉ちゃんともっと仲良くなれるのっ!』
(名前か・・ 従魔になる契約みたいなものなのかな?でも この子はペットのように扱いたくない。 ちゃんと家族として一緒にいきていくんだっ!)
「あなたの名前は タマモ タマちゃんだよ!」
『タマ あたしの名前 うれしい うれしいよぉぉぉ お姉ちゃん おばあちゃん よろしくね!』
そんな喜ぶタマをみて 二人はにっこりとするのだった
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