第9話

「あの ミーナさん お料理おいしかったです。でも私 故郷でいい調味料作ってるので


 よかったら味見してみませんか?それを使えばもっとこの料理も素晴らしいものになると思うんですけど。」




「あらあら アサミちゃんの故郷ってどんなとこなのかしら?」




「えっと 東の方の島国でミソとかショウユとか色々な食文化でにぎやかなところです。」




『アサちゃん 材料仕入れたらばあちゃんに任せな!マヨネーズ作りは慣れたものだよ』


(うん ばあちゃんの料理スキルヤバイもんね。私の体で作ればOKだよね?)


「じゃぁお客さんが落ち着いた頃にお願いしようかしらね。私 この国から出たことないのだけど


 アサミちゃんの故郷の味楽しみにしてるわね」




「材料仕入れたら 厨房借りてもいいですか?」




「ええ またあとでね 今日は出かけるの?」




「昨日は疲れてすぐ眠っちゃったので今日はこの町の観光とギルド登録とかですかね?」




「じゃぁお時間空いたら声かけてね。娘達にも食べてもらおうかしら。」


「では そろそろ私も出かけますね。またです。」


「はぁい いってらっしゃい。」




いってらっしゃいの言葉は トキが亡くなった後ずっと一人で頑張っていたアサミにとっては


とてもあったかくてうれしい言葉だった。


『アサちゃん どしたんだい?泣いてるじゃないか お腹痛いのかぃ?』


「な 泣いてないっ なんでもないよ!」


『そうかい』




トキは今までアサミが一人で頑張ってきたのを天界食堂の常連さんの日本支部の人に頼んで教えてもらっていた 報酬はおでんである。


アサミが自分の死後 交流関係も少なくアルバイトと学生と家事の両立でとんでもないほど努力していたと聞いた時 思わず泣いてしまったくらいだ。


でも 今はいつだって大好きな孫のそばにいれることが何よりもうれしかった。


もう アサミを一人にしなくて済むと心の底から神様に感謝している。




『アサちゃん  もう大丈夫だからね ばあちゃんに任せなぁ』




その言葉を聞いて アサミは顔が赤くなっているのをバレないように 前を向いて歩くのだった。








宿を出て町をぶらつきながら市場を見ると野菜や果物を見ると気づく。


『食材は日本でもあったものが多いねぇ あ 看板にキャベツって書いてる 


 呼び方も同じなのかもしれないねぇ』


(あ ほんとだー だったら一々名前覚えなくていいから助かったあ)


『でも あんまり質のいい野菜じゃないね。これをどうするかを考えてメニューを考えてみるよ』


(お料理担当は ばあちゃんにお任せ。 まずは【異世界買い物】を使わないでミーナさんでも作れる料理と調味料だね)


『アサちゃん 大体見たけど 野菜は揃ってる 後は卵と植物油とお酢だねぇ。』


(まぁ そこらは何とかなるか)




「んじゃ 続きは冒険者ギルドのあとだね」




『アサちゃん・・・ 自信満々で進んでるけど 冒険者ギルド場所知ってるのかぃ?』








「知らない・・・」






『やれやれだよぅ』

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