第13話トイレットペーパー
カラカラカラ。
トイレットペーパーが無くなった。
「なんだろう?」
トイレットペーパーの芯に何か巻き付いている。
それは写真だった。
小さな男の子が笑顔でピースしている写真。
「何これ、気持ち悪い...」
トイレで用を済ましてから写真を捨てた。
一か月後。
カラカラカラ。
トイレットペーパーが無くなった。
芯にまた何か巻き付いている。
写真だ。
今度は、中学生くらいの男の子が玄関前で撮っただろう写真。
ニッコリ笑っている。
顔立ちがまだ幼いから、入学式の日に撮った写真だろうか。
「まさかね...」
私は買って置いたトイレットペーパーを全部取り出した。
カラカラカラ。
トイレットペーパーを手で巻き取る。
また写真が出てきた。
男の子が高校生になって撮っただろう写真。
野球部なのか一人で素振りをしている場面が写っている。
次のトイレットペーパーからは、社会人になっただろう男の子の写真。
トイレットペーパーの芯から写真が出てくること事態異常なのに、私が使い切るトイレットペーパーはキレイに男の子の成長を見せてくる。
私は次の写真が見たくて、次々にトイレットペーパーを巻き取った。
男の子の写真は確実に歳を取っていく。
次で最後のトイレットペーパー。
カラカラカラ。
最後の芯に巻き付いていた写真。
それは身体がバラバラになった老人の写真。
虚な目がこちらをジッと見ていた...
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