第10話浴槽

私の密かな楽しみは浴槽に潜ること。


浴槽に潜ると洞窟のような場所が見えてる。


青白く輝く洞窟は神秘的でいつ見ても見惚れてしまう。


その洞窟に入ると何故かは分からないけれど、息が出来るようになる。


水の中をスイスイ泳いでいく。


光が見えてきた。


もうすぐ出口だ。


洞窟を抜けた先には水はなく、そこには楽園が広がっていた。


空に浮かぶガイコツ。


地面から無数に生えている棺桶。


周りを見渡すと歩く生き物が。


全身が真っ赤で毛むくじゃら。


四足歩行で歩き、人の顔をぐちゃぐちゃにしたような顔をしている。


やはりこの世界はいつ来ても楽しい。


少し歩くと建物が見えてきた。


ギザギザと尖った建物。


尖った先には、お札のようなものがたくさん貼られている。


建物に近づいてみると扉が一つ。


中をそっと覗いてみる。


「ぁ~~」


中にはぎゅうぎゅうに詰められているニワトリらしきものがいた。


ニワトリらしき生物には頭がなく、首から声を出している。


私は1匹抱き上げる。


バキッ。


「ぁー!」


ニワトリらしき生物の足を折った。


足を食べてみる。


唐揚げのような味がする。


意外と美味い。


残りの身体は投げ捨てた。


「そろそろ帰らないと親に心配されるな...」


空に浮かぶガイコツの笑い声を聞きながら、私は元来た洞窟に向かって歩き始めた。

















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