第7話帽子

私の彼女はいつも帽子を被っている。


「なんでいつも被ってるの?」って聞いても笑ってはぐらかされるだけ。


彼女の被っている帽子は黒の帽子。


ロゴなどはなく、無地のやつ。


よくジョギングしている人が被ってるような帽子だ。


彼女は絶対にどんなときでも帽子を取らない。


寝るときも、お風呂に入るときも。


髪を乾かすときなんて帽子ごと乾かしてる。


私はイタズラ心が働いて、彼女が寝ているときに帽子を取ることにした。


深夜2時。


彼女はスヤスヤ寝ている。


「今がチャンス」


私は勢いよく帽子を取った。


彼女が


「あーーー!!!」


絶叫した。


目を見開き、口を大きく開けて。


突然の彼女の叫びに、私は驚いた。


「ど、どうしたの?!」


返事がない。


目を見開き、口を開けたまま動かない。


呼吸がない。


彼女は死んでいた。


彼女の突然の死に私は何が何だか分からなかった。


警察、救急車など来たがどうやって応対したか覚えていない。


あの時何が起こったのか。


確信はないがある仮説が思い立った。


あの帽子。


あの帽子は彼女の一部で、命だったんじゃないかって...。




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