第42話 暴かれるクレオパトラの真実
ご領主様から「下がって良い」とお言葉を貰ったので扉の所でもう一度礼をして部屋から退出、外で待っていた使用人のお姉さんに待合室までもう一度連れて行かれる。どうやら姫騎士様が来るまで待ってろってことらしい。
「まさか本当に土地を貰えるとは思ってもみませんでした」
「えっ、お家を取り壊してまで付いてきたのに俺のこと信用してなかったんだ!?そして土地は貰ったんじゃなくて借りるだけだからね?」
「まぁいろいろと出来るみたいなんで食いっぱぐれはないかなって・・・テヘッ☆あと一度住んでしまえばこっちのもんですので実質貰ったも同然です」
「競売にかけられる家を不法占拠する仕事(893)の人みたいなこと言い出したよこの子・・・」
まさか異世界でテヘペロを見ることになるとは・・・間違いなく『クレオパトラ』さんの仕業なんだろうなぁ。
「てかリアちゃんのお師匠様も俺と同じ様に山から出てきたんだ?何かこうその人の逸話とか無いの?外見とか髪の色とか年齢とか」
「もしかしてあなたは熟女好きな人なんです?そうですねぇ・・・逸話ってほどの話はありませんけど外見はオバァちゃん、白髪を綺麗な紫に染め上げて黄色に黒い点々のある服を好んで着てましたね。あ、あと小麦粉とキャベツを混ぜて焼いたものをたまに作ってくれました!」
クレオパトラさん、大阪のオバちゃん説。
黄色に黒い点々って完全にヒョウ柄だよね?お好み焼きらしきものも作ってるし。
子爵様のお爺さんの代で異世界に来て数年前まで生きてたらしいから十代でこっちに来てそのまま帰る方法も見つからず一人寂しく・・・
「若い頃は遊び倒して一夜の恋を楽しんだ結果子供さんもいっぱい居るみたいですよ?やっと家庭に入った後も旦那さんと愛人が揉めてめんどくさくなったので最終的にあの村に引きこもったって聞きました」
「ちょっとだけクレオパトラ婆さんに同情した俺の純粋な気持ちを返して貰えないかな?なるほど、リアちゃんがこすっからいのはその人の影響か」
「いえ、わたしはお師匠様と一緒に暮らす前からこんな感じでしたけど?あと知らないおじさんの面倒をこんなに親身になってみてあげたわたしにこすっからいとは何事ですかね?」
「それはそれでお父さんはリアちゃんのこれからの成長に不安しか感じないんだけどなぁ。あと初日、二日目以降は俺もいっぱい頑張って棍棒作ってたよ!あ、良品の棍棒持ってくるの忘れたんだけど!?」
「誰がお父さんですか・・・何が意味がわからないってその棍棒作りが一番意味がわからなかったんですけどね!そして棍棒なんて持ち歩くのは山賊だけです」
「スキあらば鉈を抜く少女とはお似合いだと思うけどなぁ」
「お、お似合いってなんですかお似合いって!!」と可愛く俺の足を蹴飛ばすリアちゃんが反抗期終わりかけの娘みたいで可愛い。もちろん俺には娘どころか嫁も居ないんだけどな!
これがもしあの当時よりさらにレベルアップしているであろう今の明石ちゃんなら膝から下の骨が複雑骨折していたかもしれない。
今回はお茶もお菓子も出てこなかったので手持ち無沙汰に待つことそこから半時間ほど、カロリーヌ嬢が少しすねた顔をして部屋に入ってくる。何なの?戦闘態勢なの?
「まったく、父上は話が長い上に小言が多い。私も騎士なのだから怪我をすることくらいあるに決まってるだろうが」
「いや、さすがにあんな死んでても不思議じゃない怪我は騎士様でもそうそうしないと思いますが・・・まずは今回の件のお礼を」
「ああ、それは必要ない、世話になったのは私の方なのだからな?まったく、せっかく私の婚約者として紹介してやったのに慎み深いと言うか遠慮深いと言うか欲のない人間だなヒカルは」
大きなお世話通り越してただの嫌がらせだからなそれ?確かに動物園でも飼育員さんにやたらと懐く動物とかいるけどさ、飼育員さんには飼育員さんの生活があるんだよ!!
「まぁそんな戯言は置いといてですね。実は・・・と言うほど不思議ではないでしょうけど俺もリアちゃんもただの田舎でブツブツ言われながらも物々交換の様な生活を送っていたもので手持ちが少ない、むしろ皆無なんですよ。でも何もない荒れ地に身一つで行くわけにもいかないじゃないですか?着替えや毛布、大工道具や農具の類は荷車に積み込んで来ましたけど最低限ひと月分くらいの食べ物は必要じゃないですか?」
「そのくらいは私の財布から」
「いえ、いくらなんでも最初から頼りっぱなしと言うのはよくありませんので!ですので持ってきた野菜や香辛料を売ろう」
「駄目だっ!あれらを売るなんてとんでもない!売りに出すくらいなら全部私が買い取ろう!なので調理は頼んだ」
『貴族の財布は探るためにある』って誰かが言ってた様な気もするけど必要のない借りを作る気はないからね?
そして野菜に対して貴族様がこの食いつき・・・別にどこで売ろうとお金になるなら良いんだけどさ。
野菜はともかくとして香辛料に関しは市場で値段を確認しておきたいんだけど・・・台所に料理人もいるだろうしその時に聞けば大丈夫かな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます