第32話 高度の柔軟性がナントカカントカ
新しい研究(技術の導入)も進んできたので一度今までを振り返って今後の目標を確認しておこう。
と言っても出来ること自体はそんなに増えてないという……。
『食生活が豊かになるね!』くらいの変化しかないからね?
いや、食生活はむっちゃ重要なんだけどさ。日々のやる気に関わるもん。
あと綿花の刈り入れが出来ればいよいよ弓の生産も可能に!遠距離攻撃の手段が増えるのは大きい。
さすがに投石で狩りとかふざけすぎだもん。
……いや、目標の確認ってそう言う行き当たりばったりな行動のこっちゃないんだよ!
異世界に来た当初はとりあえず『自分の命を守ること』もちろん今もそうだけど、そのために学校からの脱出と言うか『あの胡散臭すぎる敵意ビンビンの生徒会長から離れる』が目標だったけどそれは見事達成!
完全にもらい事故だったんだけどね?転移装置とか超科学なモノがあるとか思わないじゃないですか?
だからここからの指標と言うかするべきことを再確認しておきたいのだが
『どうしても日本に帰りたい!』とか『何かこう成功したい!』とか熱い想いがイマイチ持てない俺。
「てことで、これからのリアちゃんの成長を陰ながら見守ることと明石ちゃんを探す以外で何か俺がやるべきことの意見はあるかな?」
「居候のくせにどこから目線なんですかそれは、別にあなたに見守られる筋合いはありませんけどね?まぁわたしをおはようからおやすみまでずっと見つめ続けたいのは理解できなくもないので許可しましょう。あと『明石ちゃん』とは一体なんなんですかね?新しい女ですか?それとも古い女ですか?あと、あなたがやるべきことをわたしに聞かれても困るんですけど?」
「んー……明石ちゃんとは何か……自称姪っ子?」
「それもうただの他人ですよね?」
相変わらずクールガールなリアちゃんであった。
てかなかなかに壮絶な過去話を聞いたけどリアちゃんとの関係は特に変化することもなく、あいかわらずゆるい感じの同居人のままだったりするんだよね。
だって相手が求めてもいないのに必要のない同情なんてするのは失礼だし。
もちろん心の中では応援するんだけどね?あくまでも心の中だけ。
そしてリアちゃん、やたらと明石ちゃんの話に食いついてきたんだけどこれはお父さんをとられそうな娘の心境なのだろうか?
大丈夫、リアちゃんは娘で明石ちゃんは彼女だからっ!
……明石ちゃんに聞かれたら冷めた目でチラッとだけ睨まれそうな発言である。その後?たぶん何も聞いてないフリをされるという文句を言われるより心に来る対応をされるはず。
そして話は逸れたけどこれからの目標の話は終わる。就活と同じでやりたいことなんてそうそう見つかるものでもないのだ!
そうだな、ここからは前向きに畑の話だな!何に対して前向きなのか、むしろそれは現実逃避では無いのかというマジレスは控えていただきたい。
何にしても明石ちゃんと合流出来ない限りこの心のモヤモヤ(恋心とかでは無いからね?)はなくなりそうにないんだもん。人、それをストーカーと呼ぶ!
と言うか俺、あの子のこと気にし過ぎでは無いだろうか?
もしかして生徒会長みたいになにかしらの魅了する力があるとか?
無論女子高生に魅了されるのは大歓迎なのだが。
最初は『じゃがいも』と『トウモロコシ』(とタンポポ)しか植えられなかったが野菜と香辛料に関しては研究の成果で有名所はほぼ網羅完了。さすがMOD、公式チートである。
でもこの前裏庭に拡張した畑にはすでに大量の綿花を植えちゃった☆
木綿、弓の弦だけじゃなく衣類にも使うし出来るだけ早め、少なくとも冬までには『お布団』が欲しいんだよね。
でもお野菜と香辛料、最低『小麦』と『大根』と『茄子』、『大蒜』と『生姜』くらいは増やしておきたいしなぁ。
小麦は色々と使えるし大根は煮物用、茄子と大蒜と生姜は『焼き茄子と茄子の煮浸し』が食べたい。麻婆茄子が出来れば最高!
焼き茄子と煮浸しはうちでは味がほとんど変わんなかったんだけどね?鰹節も植えられればいいのに!
もちろん茄子の天ぷらも大好きである。茄子の入ったボロネーゼも美味しいよね?
そしてどうして『米ではなく小麦なのか?』というと普通に『やさい畑』というか『大規模農園』ではお米が追加されないから。別で『お米の国』ってMODが必要なんだ。
もちろんソレも早めに取るつもりなんだけど『農業』が今は『0』だからさ。次回までおあずけなのだ……。
ちなみにこのMOD、お米の他にもい草も追加されるので畳が作れるようになるし藁で納豆も……うん、それは俺には必要ないんだ。
あと醤油と味噌と日本酒と味醂と米酢などなども醸造出来る様になる。もちろん納豆も含めて新たに『発酵食品』の研究が必要。
調味料は調味料で別のMODがあるんだけどね?
でも食べ物系のMODはゲーム内では特に重要な要素では無かったのにやたらと種類があるから気をつけて取っていかないと高確率で生産物が重複しちゃうんだよなぁ。
てか外塀の内っかわ、お家のまわりも耕してそこに植えちゃうか?でも作業小屋の増築もしたし……。
「とりあえずあれもこれもってほど手を出してないのにすでにかなり手狭になってきたという」
「少なくともこのお家、あなたが塀で囲ってる内側だけでもこの村一の敷地面積があるんですけどね?」
「でも本格的に畑を広げようとしたら裏山一つ分、むしろこの村ごと占拠するくらいの土地が欲しいんだよ」
「どうしてうちの家業は薬師なのに畑を広げる算段をしないといけなんですかね?そして山ごと耕すとか絶対に無理……ともいいきれないんですよね。あと薬草の話はどうなったんでしょうねぇ?」
さすがにそんな事すると悪目立ちがすぎるから今はやらないけどね?
不審そうな顔でこちらを見つめるのは止めてもらいたい。
や、薬草もほら、そっちの離れ(作業小屋の)の裏にコッソリと植えるつもりだから!
まぁこのまま頑張れば夏の終わりまでには作物は大量に収穫出来るだろうし。
なんて気楽に構えてたのがフラグになってしまったのか……それから三日後の事。
「開門!開門せよ!ヴァルド王国、トリヒータヴィンデ子爵領領主、エーベルハルト・ツー・トリヒータヴィンデ子爵がご息女、カロリーヌ・ツー・トリヒータヴィンデ子爵令嬢様のご来訪である!速やかに開門せよ!!」
いきなり一回聞いただけでは絶対に覚えきれないような仰々しい名乗りが上がった。
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