第29話 とある薬師の独り言(ギリアウト)
よくある『リアちゃん回』ってやつです♪そしてサブタイトル(笑)
でだし早々いきなりポエムっぽいのは気にしてはいけない
―・―・―・―・―
何気ない日常。いつも通りの日常。
何もないわたしの何もない毎日。
あの日も何もなく始まり、何もなく終わるはずだった。
そんなわたしがあの日、薬草集めの帰りに拾ったのは崖の上から転がり落ちてきた男の人。
男、人間嫌いのわたしが最も嫌いなモノ。我儘で自分勝手で汚らわしい存在。
村で見かけたこともない男の人。変わった服を着た男の人。
……ところでこの人はどうしてじゃれてくるだけで害のない、追いかけっこ大好きのデミコボルトから全力で逃げてたんでしょうか?
悪戯でもされたのかな?あまりに怯えてたので仕方なくわたしが追い払ってあげたら何故だか男の人にものすごく懐かれてしまいました。
行く所がない?食べ物がない?一人ぼっち?
知りませんよそんなこと。わたしだって行く所のない一人ぼっちなんですから。
崖を転がってきたわりに大した怪我もしてなさそうなのでそのまま放置で……思った以上に粘りますねこの人。
えっ?その綺麗な布をくれるんですか?贈り物なんてお師匠様にも貰ったこと無かったのに……仕方がないので一晩だけ泊めてあげましょう。
そう、別にソレを貰ったのが嬉しいわけではないのですよ?あくまでも仕方なくです。
そしてその人がここに住み着くようになってから早くも数週間。
だってほら、行くところも無さそうですし?追い出すのも可哀想かな……なんて。
別にわたしだってサイクロプスじゃないんですからね?そんなに怯えた目で見つめなくともいきなり放り出したりしないので大丈夫です。
ああ、でもスキあらば人の足に触ろうとするのはどうかと思いますがね。
いえ、視線的にあの人が触ろうとしているのは足ではなくお尻の様な気もしますが触るほどの根性は無さそうなので大丈夫でしょう。最悪切り落とせばいいだけですし。
まぁそんなちょっとどころではなく変な、わたしが知っている男の人とは全く違う変わった同居人が増えたここ最近。
出会った時はあまりのヘタレ具合と生活力のなさそうな外見に何も期待をしていなかったんですけど……この人、思った以上に有能なんですよね。
まず驚かされたのがこの人が来た翌日でした。
お家で一人留守番をさせて家を荒らされでもしたらたまったものではないので山菜取りに付き合ってもらったんですけど、ビックリするほど早かったんです!
えっ?わたし、これでもこの山で十年くらい採集生活をおくってるんですけど?とくに分別している雰囲気もなくポイポイと背負った籠に放り込んでいるだけなのに……確認したら全部使える、食べられる植物ばかりちゃんと分別されていました。
帰宅してからの仕分けも手が何本もあるのかと思うほどのすごい速度でした。
まぁ調子に乗って一日に食事を三度とらせろとかトチ狂った事を言っていたのでわたしからの評価はマイナスなんですけどね?謙虚な心、とても大切だと思います。
次に驚かされたのがそれから数十分後。そう、その日のうちに二度目です。
いきなり鍬があるかとか聞くので何事かと思えばお家の裏庭に畑を作りたいとのこと。
お師匠様が生きていた時はちょっとしたお野菜なんかは植えていましたけどわたし一人ではどうする事もできず、そしてその気力もなく。荒れるがままに放置された畑とは名ばかりの草むら。
それがその日の夕方に見た時には立派な畑になっていたという。
心の底から意味がわからないんですけど!?この人、もしかして農業の達人なのでしょうか?
でも畑を耕したからと言ってうちには種も苗も無いんですけど……持っていると?
まぁいいです、この人はよくわからない人、そして今のところ害の無い人、それで問題ないですから。
そこからの二人での生活は不思議と心地よいものでした。
お母さんが亡くなり、お師匠様が亡くなり、一人でこの広い家で暮らすようになってどれくらい過ぎたのか。
そんな毎日にこれと言った不満は無かったはずなのにこうして誰かと過ごすのも悪くはない、そう思ってしまっている自分が……とても嫌いです。
わたしは男の人に頼らなければ生きていけない女では無いんですから!
そもそもあの人は何なんです?初対面からやたらとわたしに怯えてるんですけど?どう見てもか弱くて可愛い女の子のこのわたしに!
もちろん可愛いって言うのは認めてるみたいなんですけどね?いえ、あんなおじさんに褒められたところで別に嬉しくは無いですけれどもっ!
て言うかですね、あの人、わたしの代わりに毎日山に薬草や山菜の採集に行ってるんですけどね?それも何往復も。最初に頼りないと思ったのは訂正してあげましょう。
いえ、そんなことはどうでもいいんですよ!そう、毎日かなりの力仕事をしてるはずなのに気付けばお家の回りの荒れ地と裏山が綺麗に整地されていました。
整地の済んだ土地?もちろん板塀が出来て、立派な作業小屋が出来て……。
これもう完全におかしいですよね!?
ええ、別に出来たこと自体はおかしくないんです、場所はいっぱい余ってましたからね?問題はその速度、そもそもお家って一人で建てられる様なものじゃないじゃないですか?
あと小屋を建てた後、その中で何をしてるのかと思えば……暇があれば棍棒を作っているみたいです。
意味がわかりません。いえ、棍棒を作ることの意味がわからないのではないのです、それを大量に量産する意味がわからないだけで!あとせっかくきれいになったお庭に棍棒を並べるのもどうかと思うのですよ?
この人、崖から転がってきましたしやはり山賊の血を引いているのでしょうか?
まぁ棍棒より意味のわからなかったのは裏の畑なんですけどね?
ええ、毎日井戸で水をくんだりしてますから日々の成長を目にしてはいたんですよ?認めたくないので放置してましたけども。
そう、裏の畑。あの人が耕してから半月で実ってるんですよ……。
わたしもさすがにこれに関しては問いただしました、超問いただしました。逆ギレされました。どうやらあの人にも理由はわからないみたいです。
ちなみにトウモコロシもじゃがいももとてもおいしかったので気にしないことにしました。
これからの料理当番の半分はあの人にやってもらいましょう。
そんなこんなで不思議な人と不思議な生活を送るようになったわたし。
あの人が来てからは完全に無視していた叔父夫婦がお家に乗り込んできたりもしましたが……あの人が追い払ってくれました。
デミコボルトに追いかけられて震えていたあの人がですよ?村一番の乱暴者を投げ飛ばしてわたしを守ってくれたんですよ!?……少しだけトキメキかけましたが本人に知られると何らかのお礼を要求されそうでしたので何も言いませんけどね?
最悪お尻を触られそうなので。
それでもわたしの頬が少しだけ緩んでしまったのは仕方のないことだと思うんです。
だってあの人、ちょっと調子に乗りすぎだと思うんですよ?だってわたしに
『俺がもしこの家を出ていく時はお前も一緒に連れて行くからな?だから何の心配もしないで安心してついて来い』的な?みたいな?ニュアンスの?事を言ったんですもん。
生意気です、そう、とても生意気だと思います!
生前お師匠様も言ってましたもん。
『いいかいリア、恋っていうのはね惚れたら負けなんだよ?恋に落ちるのは地獄に落ちるのも一緒、そう、自分が落ちるんじゃなく相手を落とさないといけないのさ』と。
……うん、よくよく考えなくともお師匠様、思考が危ない人でしたね。若い頃は恋多き女だったとよく自慢話をしておりましたが……まぁこんな田舎の片隅で薬師なんてしていたんですからさもあらん……って感じなんですけどね?
ですのでわたしがあの人がちょっとくらい頼りになるかもしれない年上の人だと認めたところで恋に落ちるなどと言う事は無いのです!
なのでわたしに
「てか普通にこの村の村長夫婦に喧嘩売っちゃったけど大丈夫なのアレ?」
って質問してあなたにとびきりの笑顔でこう答えました。
「もちろん!今まで散々我慢してましたからね?あなたのおかげで清々しましたよ。それに」
「あなたがここを出る時はわたしも連れて行ってくれるって約束しましたからね?」
―・―・―・―・―
なんと!早くもフォロワー様が700名、そしてレヴューを頂けた方が100名様以上に♪ありがとうございますm(_ _)m
ここはこの波に乗って潤んだ瞳で「もっと・・・欲しいです・・・」っておねだりすべきだろうか!?
『※作者はケモミミ(狐)でのじゃロリです』
って書いておけばみんな信じてくれる・・・駄目だ、前作で既にあかむらさきが『そこそこの年齢』なのがバレてしまっている・・・いや、ここは『のじゃロリ』じゃなく『ロリババァ』路線ならワンチャンあるかも!?またはメ○モちゃんのキャンディを食べたとかどうだろう!?←そういうとこやぞ(笑)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます