一章 学校暮らしと脱出ゲーム(デッド・オア・アライブ)

第12話 お母さんのお兄さんの奥さんの親戚のお兄さん

土曜日なので二話投稿・・・


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 さて、今度こそ本格的に一人になったんだけど……どうしよう?とりあえず学食ででも座ってるか?そうすればご飯の時間もわかりそうだしな!と、思ったら学生さんでいっぱいだった。

 みんなはお昼ご飯前に校庭に呼び出されてたみたいだから仕方ないね?

 しょうがないので人混みが落ち着くまで自分のトラックの荷台でゴロゴロする。まさか積み荷の緩衝材代わりに積んでいる毛布に感謝する時が来るとは……むっちゃ埃っぽいから人が居ない時にバタバタしてから使おう。


 そして……考え事をするはずが朝からの肉体労働の疲れで普通に昼寝しちゃった☆

 学生さんのお昼ご飯タイムは既に終了したらしく、人の居なくなった学食で安そうな座り心地のあまりよろしくない椅子をズゴゴっと引きずりながら腰掛ける。

 飲み物は……自販機は全部売り切れてるな。普段でもすぐに売り切れランプが付くのにこの状況だし?みんなこぞって買うだろうからね?

 で、それを転売……マジ転売厨は滅びろ!いや、現状で日本円を集めても何の用もなさないと思うけどさ。


 てかさ、何もすることがないと時間ってこんなに経たないものだったんだな。

 スマホって時間つぶしのツールとしては凄まじく優秀だったんだと再認識する。じゃあ使えばいい?電波が無ければスマホなんてただの文鎮なんだよなぁ。

 こんなことならノーパソでも積んでおけばよかった。

 さすがに異世界転移の可能性に留意して車にパソコン積んどく奴なんていないだろうけどさ。

 タブレット端末も基地局が無ければただの板だからね?通信用の衛星が飛んでるとかワンチャンないだろうか?ブクマの中にはいろいろエロエロ取り揃えられてるのにっ!

 普通の食堂じゃなく学食だから油汚れたマンガや週刊誌すらないのが痛すぎる。


 てことでお茶を飲みながら考え事。さっきは熟睡しちゃったしさ。

 特に情報が集まってもいない現状でも怪しすぎるところが既に何点かあるんだよね。


 まず最初に大量の食料の補充。あたらしい倉庫まで建てて溜め込んでるからね?

 俺が今回納入した米だけでもおおよそ10トンだもん。もうそれちょっとした地域の農協じゃね?

 まぁそれでも校内に居る人間全員、約600名が一日一人200g(炊飯すると500gくらいになる)として600人で120キロ……あれ?思った以上に食料に余裕があるな。ひと月でも3トンちょっと、米だけなら三ヶ月は持つ計算だ。他にも小麦粉なんかもあるしね?問題は野菜に肉か。

 もうこの食料状態だけでも間違いなくこの状況になる事を予想してた、または『この状況を引き起こした人間』がこの学校の上層部に居るとしか思えないんだよなぁ。


 そしてさらに怪しいのが消えた一年生。一人二人じゃなく学年全員とかどうなってるんだと。これもう嫌な予感しかしなくね?

 もしもこの集団転移?ってのが学校の人間の手で起こされたことだとしたら生贄とかそう言う……なんてことを考えてしまうのは俺がちょっと怪しい本(ム○)の読みすぎだからだろうか?

 生徒会の手際が良すぎるのも非常に胡散臭いしさ。

 アレだな、日本に帰るって言うかもとの生活に戻る手段が無いなら出来るだけ早急にこの集団から離れたほうがいいかもしれないな。


 もちろん日本に帰る方法なんて思いもつかない……いや、一つだけあるかもしれないんだけどね?

 ほら、ライフライン、いまだに繋がってるじゃないですか?電気もガスも水もそして下水道も。

 つまり下水道を辿っていければ……細いし絶対に無理なんだけどさ。

 それでなくとも部外者の俺、ごそごそと校内で行動してたら無駄に目立つし『この状況を引き起こした人間』に見つかったら即処理されちゃいそうだからね?


 異世界転移、もっとこうワクワク感のある楽しそうなモノなのかと思ったらただのデスゲームじゃねぇかっ!

 そもそも他の連中と違ってその転移で何の力も発現できていない俺にはデスゲームで何の間違いも無いんだよなぁ。

 そしてそんな感じで一人行き詰まっている俺とはウラハラに学校内の生徒は案外楽しそうにしている人間が多いと言う。

 楽天的なのかただのバカなのか。県内有数の進学校なのだからバカでは無いと思いたい。



 余計なことを嗅ぎ回って目を付けられるのもあまりうまくは無いので情報収集(主に盗み聞き)に徹して影薄く行動すること……それから二日間。

 それほど時間は経ってないな。

 多少食料に余裕があるって言ってもその他のものが圧倒的に不足してるからね?まず一番危険なのがトイレットペーパー。この学校のトイレがウォシュレットじゃなきゃとっくに無くなってた。

 寝る所も俺はトラックの荷台に毛布を敷いてるからまだマシだけど生徒さん、教室の床でごろ寝らしいしさ。ソースは明石さん。


『女子高生と逢引とか死ね』って?いや、普通に明るい間に、むしろ他の人からも目立つように接触してるし。設定としては『お母さんのお兄さんの奥さんの親戚のおじ……お兄さん』らしい。それもうただの他人だよね?

 ポイントは絶対に『二人きりでコソコソしない』。これさえクリアしておけば特に怪しいとは思われないからね?

 あれだよね?明石さんが俺と二人きりになることに何らかの身の危険を感じてるとかじゃないよね?

 確かに二人の出会いはちょっとすれ違った感じになっちゃったけれどもっ!

 世が世なら不審人物と発見者、むしろただの加害者と被害者だったから仕方ないね?


 まぁそんな俺の心をえぐりそうな事実は置いておくとして、この学校に閉じ込められてと言うか閉じ籠もってから早二日。最初の全校集会の翌々日のお昼だな。

 前回と同じ様に校内放送が入って校庭に全員集合することになった。

 何をするのか?いや、知らんがな。だって生徒会メンバーにも教職員にも知り合いなんていないんだもん。

 今日も副会長さんは美人さんだなぁ……是非ともお近づきになりたいけどこれ以上の関わり合いは持ちたくないジレンマ。最初から相手にされてない?マジレスは止めてさしあげろ。お、今日は会長さんも喋るのか。

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