第7話 文学少女とステータスオープン
閑話的お話なので18時にもう一話続けて更新です♪
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私の名前は明石静(アカシ・シズカ)、県内でも有数の進学校に通う17歳の高校生。いえ、ここはあえてこう言わせてもらいましょう、女子高生と!
普段はメガネを掛け、前髪で顔を隠し、口元にはマスクをしているのであまり目立たないがかなりの美少女……かもしれないしそうでもないかもしれない至って普通の女の子。ああ、マスクは年中してるわけじゃないんだからね?
さて、そんな私、というかそんな『私の通う学校』なんだけど……ナニコレ、どういう状況なのかな!?
お昼前の最後の授業中、飲み物を買いに行ったときに見た変なおじ……お兄さんの事を思い出し、笑いそうになったのでおもわず口元を押さえ……ああ、今日はマスクだから特にその必要もなかったかな?
でも女の子なんだからそのへんの身だしなみ(エチケット)はとっても大切だと思うんだ。
いえ、そんな事は今はどうでもいいのよ!
そう、外、外の様子と言うか見た目がいつの間にか大変化してるんだもん!
もちろん私にも説明出来る言葉はあるんだよ?これでも文学少女だからね?
嗜みとして多種多様な文庫本(ラノベ)も単行本(ラノベ)もムック本(設定資料集)も読んでるもん。
そう、たぶんこれは『異世界転移』それも『異世界に学校全員で転移してしまったのだが、俺だけスキルもギフトも貰ってないから追放されたけど最強だったので、もふもふ獣人やエルフ幼女や学校の美少女全員集めて、凄くよく効く薬や便利過ぎる魔道具を作りながら、無人島にハーレム都市を建設して、みんなで幸せに暮らしてますので帰ってこいとか言われてももう遅い』的な感じのアレじゃないかと思うのよ。
うん、我ながらちょっと設定盛りすぎで胸焼けしそうだわ・・・あ、TSと婚約破棄される公爵令嬢を入れ忘れたけど大丈夫かな?
私がそんなこんなな無駄な妄想をしている間にクラスメイトも――あくまでも同じ組の面子と言うだけで特に友達的な意味合いのない人たちも――外の異変に気付いたらしく、ざわざわと騒ぎ出す。
相変わらず外井先生は突発的なトラブルに対応出来てないみたいね。
良い先生ではあるんだけどね?外井先生。
そんな騒がしいクラスの中でいきなり立ち上がり椅子に片足を乗せ
「こ、これはもしや……いよいよ僕、いや、我の出番では無いだろうか?そう、あの伝説の雄叫び『ステータスオープン』を叫ぶときが来たのでござらぬか!?」
と叫んだのはイケてる系女子(笑)の中では『地味メガネ小太り』でお馴染みの熊田くんだ。
ちなみに私も『地味メガネ本読んでる奴』と呼ばれてるので多少の親和性(アフィニティ)を感じなくもない男子である。
と言うか熊田くん、いつもは普通に話してるのにどうしていきなり語尾に独創性(オリジナリティ)を持たせて妙なキャラを前面に押し出してきたのかな?
五分後に何事も無かったかのように景色が元に戻ったら軽くひと月は引き籠もれる傷を負いそうだから止めたほうがいいんじゃないかな?……と、心の中でそっと忠告しておこう。
声に出していってやれ?だって彼とは特に親しい間柄でもないですし……。
そしてそんな熊田くんの『ステータスオープン』に反応したかの様に立ち上がる光り輝く『ポップアップウインドウ』。
……ああ、どうやら本当に私たちは異世界に転移してしまったらしい。
そこから始まる熊田くんに近しい男子、そして私に近しい女子による『ステータスオープン』の合唱。いや、さすがに高校生になって人前でそれはちょっと……つらいです。
ほら、イケてる系女子(笑)からカルト集団の奇妙な行動を見る視線で見つめられてるから!
私?もちろん小さな声で言いましたが何か?
そして目の前に浮かび上がる……私の能力値。
ふむ、名前に年齢に身長体重スリーサイズ。おい、わたしのバスッはそのサイズじゃない、公証(自己評価)であと3サンチは大きいはずだ!逆にウエスッは3サンチ細いのだ!
……まぁそれはいいとして。
その下、お馴染みの腕力、体力などの肉体的能力値が続いた後、お楽しみの『スキル』表示である。
えっと、これは……回復魔法に光魔法、さらには魔力消費減少まで……。
これ、もしかして私、『聖女(ヒロイン)ルート』ではないかしら?
いえ、でも昨今の状況を鑑みると顔がいいだけで性格肥○めのニセ聖女に追い出されるパターン、あまつさえその女にけしかけられた運動部の男どもに凌辱バッドエンドなんてことも……。
ソースは隣で話してる皇子(キラキラ)と王子(カレー)。
て言うか玻璃洲(カレー)ってそんな感じのキャラだったんだ?
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