第3話キャンプファイアー

辺りが暗くなった、夜7時頃。

プシュッ!ジュルジュルジュル

黒井川はもう、12本目のハイボールを飲んでいる。

缶のハイボールが無くなると、クーラーボックスから角瓶と炭酸とロックアイスを取り出し、大きめのジョッキ持参で、ハイボールを作り、ジュルジュルジュル。

ワトソン君は焼酎を飲んでから、泡盛にシフトチェンジしようとしていた。

黒井川はフランクフルトを片手に、

「ワトソン君は酒の飲み方、上品だね」

「警部が汚いだけです。でも、美味しそうに飲みますね」

「ハイボールに作法無しと言うだろ?」

「あれは、鯛の頭に作法無しです」

「こりゃ、1本取られましたな!ガハハハ」

「クスクス」


「あのう」

2人が酔って爆笑していると、隣の女の子2人組の1人が近寄り、声を掛けてきた。

「どうかしましたか?」

と、ワトソン君が尋ねると、

「警察の方ですか?」

「なんで?」

「警部って言葉が聴こえたので……」

「うん、隣のオジサンが愛知県警の警部で、僕は医師だよ」

「え~、警部とお医者様~。良かったら私たちと飲みませんか?」

「いいよ。僕は戸川。戸川達也。で、警部が……」

「今晩は、小栗旬です。ガハハハ」

「あの、わたし、白山あおいです。友達は田中瞳です」

「僕は愛知県警の黒井川です」

4人は、ホンビノス貝を焼きながら談笑した。

「君たちは、なにかい?同僚?」

と、黒井川が尋ねると、

「私たちは、小さな会社の経理担当です」

「君たちもハイボール飲むかい?」

「はい。喜んで」

「あおいちゃん大丈夫?」

「瞳、私の実家は酒蔵よ!大丈夫」

黒井川は持参したジョッキにハイボールを作り、自分の分もついでに作った。

「素敵な出会いに、乾杯」

ジュルジュルジュル ぷっはー

黒井川は一気飲みした。


「警部、明日も泊まるんだから、死なないで下さいよ!」

「ワトソン君、君は医師ではないか。僕の身体をたのんます」

そこで、白山が、

「どうして黒井川警部さんは、戸川先生を『ワトソン君』って呼ぶんですか?」

と質問してきた。

「君はシャーロック・ホームズをしってるかい?」

「はい」

「ホームズ探偵の助手のワトソン君は医者なんだよ。これでも、名コンビで難事件2人で解決して来たよ」

「へぇ~、スゴイ」

「戸川先生はご結婚は?」

「またぁ~、瞳の悪いくせ」

「私は独身です。警部の奥さんを見ていると結婚したくなりますが、だいたい女性に興味ないです。誤解はしないでね」

「僕は愛妻家だからね」

ジュルジュルジュル

「君たち、泡盛もあるよ!青龍」

「わたしは、ハイボールで、瞳ちゃんは泡盛好きでしょ!」

「では、お言葉に甘えて、青龍を」

ワトソン君は紙コップに泡盛を注いだ。


40分後。


4人はぐでんぐでんに酔っ払った。

老夫婦は、2人でワインを楽しんでいる。

カップルは女性だけ残り、彼氏は多分、シャワーかもしれない。

女性もコテージに向かったが、すぐに女性は帰ってきた。

キャンプファイアーの時間が迫っている事を知らせてたのだろう。


キャンプファイアーが始まった。

黒井川コンビとOL2人は酒を持っていき、暗闇に光る炎を前にして友達、談笑した。

ジュルジュルジュルぷっはー

「警部、もしかしたらアル中?」

とワトソン君が尋ねると、

「僕は酔っ払った時が一番、頭が働くんだ」

「へぇ~、酔拳だね」

泡盛を片手にした瞳は、

「スイケンって、何ですか?」

「酔拳って、ジャッキー・チェンが出る映画だよ。知らないの?」

「警部はオジサンだから、わたしたちはわかりませーん」

キャンプファイアーを前に老夫婦のおばあさんは居なかった。

カップルは女性しか座ってない。彼氏が酔い潰れたのか?

9時頃、炎は消えた。

「姉ちゃん達、僕らのコテージで飲み直さない?」

「いいんですか?わたしたち、お酒切らしたんですけど」

「気にしない、気にしない、まだオジサンは酒がしこたま残っているのです」

「そうだよ、君たち。コテージの冷蔵庫には酒がびっしり」

「じゃあ、瞳、飲み直そうよ!」

「うん」

この晩、4人は深夜まで飲んだ。

そして、事件は翌朝、起きたのだ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る