第2話黒井川警部とワトソン君

今回の休暇は近場のキャンプ場に行こうと黒井川警部がワトソン君に打診して、お互い夏休みになると、計画通り2人はキャンプ場に向かった。

今日の運転手はワトソン君だ。

車種はアルファード。

助手席に座る黒井川は缶のハイボールをジュルジュル音を立てて飲んでいる。

酒臭い車内を換気するため、ワトソン君は少し、ウィンドウを開けた。

「ワトソン君、この前の休暇は最悪だったね?」

と、言うと黒井川は燻玉を口に放り込んだ。

「えーっと、飛騨山荘でしたっけ」

ワトソン君は缶コーヒーを掴み1口飲むと缶ホルダーに戻した。

「何か、休暇の度に事件に遭遇するなんてテレビじゃないんだから。今回は何も起こらないように、熱田神宮でお祓いしてもらったよ」

「えっ、お祓い?そこまでしたなら、今回は楽しめますよ」

プシュッ。

ジュルジュルジュル

「聴いてますか?警部。だいたい、何本目ですか、ハイボール。アル中カラカラじゃないんですから」

「僕は鹿児島出身だよ?休暇に飲まない手はない。まだ、5本目だよ。まだまだ、飲むよ。後、何分かかるの?キャンプ場まで」

「ナビじゃ、後40分って表示されてますが」

ワトソン君は、タバコに火をつけた。マルボロである。

そして、黒井川もハイライトに火をつけた。車のウィンドウは全開にした。

山の中なので、気持ちの良い風に吹かれながら車を走らせた。


クーラーボックスには大量の酒が入っている。ビール、焼酎、ウイスキーに泡盛。

黒井川は、6本目のハイボールをジュルジュル飲んだ。

車はやっとキャンプ場に到着した。

事務所で手続きしてから、コテージのカギを受け取り、2人は荷物を部屋に運んだ。

夜の8時からキャンプファイヤーをするみたいだ。

時間は夕方5時。

数組の人々が外でバーベキューを始めている。

黒井川はバスルームへ行き、シャワーで汗を流した。

シャワーだけではなく、足を伸ばせる程の浴槽も完備されていた。

外ではワトソン君がバーベキューの火を起していた。

手際が良い。間も無く備長炭に火が移る。

缶ビール片手に器用なモノだ。

隣では老夫婦が楽しそうに、ビールを飲みながら焼きとうもろこしを食べていた。

キャッキャ言いながら、バーベキューを楽しむ女性2人組。

そして、はす向かいにはカップルであろう若い男女が楽しそうに肉を焼いている。

「ふぅ~、気持ち良かった。酒が抜けちゃった。飲み直しだ」

黒井川はそう言うと、クーラーボックスから缶ビールを取り出すと、1本一気飲みした。

「やっぱり、ハイボールだな」

「警部、ぶっ倒れないでね」

「バカ者!酒はぶっ倒れるまで飲むのが礼儀だ」

2人は休暇を楽しんでいた。

段々、周りが暗くなった。ワトソン君は常備されているランタンに火を灯した。

2人は言い具合にデキ上がった。

「ワトソン君はシャワー浴びないの?後、30分したらキャンプファイヤーの時間だよ」

「そうですね。ちょっと汗を流して来ます」

ワトソン君はコテージに向かった。

黒井川は今回は休暇が邪魔されないで済んだと、内心喜んでいたのだが事件は起きるのである。

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