来訪
僕が彼女の家に忘れてきたスマホを持ってきてくれたのだけど。いや、それ自体はとても有難かったのだけど問題は僕のスマホに届いた通知を彼女が偶然見ていた事。画面ロックはかけていたんだけど、通知は有りに設定していたもんだから通知音がした際に彼女がそれを見ていても文句は言えない。
問題があるとすればその時に表示されていたメッセージの内容。
その内容を見てしまった
「
「んなっ!?なんで?」
「私の家に忘れていった先輩のスマホに
渡されたスマホをスリープから解除する。
通知を確認したら滅茶苦茶通知がきている。その殆どは
玄関先でそんな話をしていると背後から声がかかる。
「
「
「はい、
さっきまで眠っていた
「
「えっ、あ、お邪魔します……」
まだ状況が理解できてない様な
「麦茶でいいですか」
「はい」
最初に口を開いたのは
「
「えっ、だって苗字が違うじゃないですか……」
「はい、学校では混乱を避けるために私は母の旧姓を名乗っています」
「義理の兄妹という事ですか?」
「はい。学校の方には伝えていますけど、生徒には話していません。ですので
少し考え込む様な表情を浮かべた彼女だったけど少し意地の悪い表情を浮かべて口を開いた。
「もし……、私がそれを了承しなければどうします?」
「えっ!?」
僕はそんな事を言い出すとは考えてなかったので驚いたのだけど
ふぅっと息を吐いて答える。
「私は
真っ直ぐに
その状態でどれだけの時間が過ぎたのか、もしかしたら10秒にも満たないかもしれないが僕にはもっと長く感じられた。
はぁっと息を吐き
「分かりました。誰にも言いません」
「ありがとうございます」
「ありがとう」
「いえ、こんな形で
「だからこそ、ありがとう」
「そう思ってくれるのなら、一つお願いを聞いて頂けますか?」
「内容によるかな」
「そんなこと言ってもいいんですか?」
また、意地の悪い表情を浮かべる。そして少し楽しそうにも見える。これがこの子の素なんだろう。
「夏休み、私と一緒に遊びにいってくれませんか?」
「二人っきりで?」
「はい」
「それは……「駄目です」」
食い気味に
「
「
「いえ、私は
考え込んだ後、彼女は顔を上げて譲歩案を出す。
「それなら
「それなら、まあ、いいでしょう」
「なあ、僕の意見は?」
「えっ、先輩嫌なんですか?」
「
いつの間にか僕の味方はいなくなっていた。
詳細は後日ということで二人の間で約束が結ばれていた。
「ところで、私はこれから二人をどう呼んだらいいですか?」
「僕は今まで通りでいいよ」
「私もこれまで通りでお願いします」
「残念、これを機に
「あら、残念でしたね」
二人とも目が笑ってない。
「二人共、もう少し、仲良くしてくれよ」
呆れを込めて二人に頼む。
この後、女子だけの話があると
◇
僕が自室に引っ込んだ後リビングでは二人で話し合いが行われていた。
「
「
「分かりました。それで、どうなんですか?」
「はい、私は
「いつからです?」
「鍵を探してくれた時から気にはなっていましたけど、その事を自覚したのは最近です」
「先程も言いましたが
「そんなの関係ないですよ。先輩に彼女がいたとしても、私が先輩を好きな気持ちは私のものだから」
「
「
「えっ、私、
「義理の妹なんですよね?それなら問題無いんじゃないですか」
「考えたことも無かったです……」
「あっ、余計な事言っちゃった、かな?」
「そうですね」
どちらからとなく、ふふっと笑い合う。
少しはお互いの事を知る事ができたのだろうか?
それは僕の知るところでは無かった。
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