お説教
玄関を開けるとそこには
僕の事をジト目で見つめてくるその表情は無。
「ただいま」より先に「ゴメンなさい」が口をついて出た。
スッと体を横にずらして『早く上がれ』と無言の圧力。
「随分、遅かったですね」
冷気を孕んでいるのではないかと錯覚する程に感情がこもっていない問いかけ。
話を逸らしたり、ふざけたりするとお怒りになる事は目に見えている。
「
「はい……」
学校での事も見られている以上言い逃れは出来ない。勉強を教えていただけ。なんのやましいところもない。そう自分に言い聞かせるのだけど冷や汗が流れる。
「べ、別にやましい事は何もないぞ」
「そうですか」
ここまで感情がない受け答えをされるとどう答えて良いのか判断に困る。
そっと僕の前に差し出されたスマホ。その画面には学校での事を写した画像とやっぱり付き合っていたのかという推測コメントが表示されていた。
「これは
「そうなんですね」
僕の隣を歩く
その表情を向けられる僕の事を妬むようなコメントが沢山……
「これは相手が同じ方に住んでるから送って欲しいと頼まれて」
「…………」
さらに画面をスワイプして彼女と僕の写真が表示されていく。その度に状況の説明をしていく事を続けていく。今は耐えるしか無い。
最後の画像について説明を終え、安堵の息をこぼした、その時になって僕は追求が終わったと勘違いしている事に気づかされた。
「それで、この時間まで何をしていたんですか?」
「えっ、あ、え〜と、勉強を教えていました……」
じーっと見つめられると目を逸らしそうになる。
やましい事は無かった筈。そう考えると
「
「べ、別にやましいことなんて、ほんの少し、ブラ、あっ!?」
「ブラ?ブラジャーですか?」
物凄く冷たい視線を向けられて、口を滑らせた事に気がつく。
「いや、あの、別に脱がせたとか、そんなんじゃなくて」
「脱がせた!?」
墓穴を掘った!?
「詳しく話してもらいましょうか?」
「はい……」
「分かりました。お風呂に入ってください」
そう言って
僕はため息をついて時刻を確認しようとスマホに手を伸ばす。
「あれ、スマホが無い」
ポケットやカバンの中を確認したけど無い。
「
明日、確認しようと楽観視して風呂へと向かった。
◇
「
部屋に戻った
ブラジャーを見た事以外は別に悪い訳じゃない。いや、それも不可抗力と言えなくは無いので不問にしてもいい。
それならどうしてこんなに機嫌が悪くなっているかというと。
「私のメッセージに気づかない程楽しかったんですか……」
そう、拗ねているだけなのだ。
幼い頃からの思いで、私が知り合う前からとなれば諦めもついた。
それなのに、
「それなら、私の事ももっと構ってくれても良いのに……」
この気持ちが家族に甘えたいだけなのか
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