告白
まあ、僕には関係のない話だろうと聞き流していたんだけどね。
だから僕はさっさとお風呂に入って自分の部屋に戻った。
あの件のせいで最近は学校で落ち着いて過ごす事ができていないから家にいる時くらいはゆっくりとさせて欲しい。
ぼんやりとしているとここ数日の事が頭をよぎる。
見兼ねた
あの時なぜか委員長にサムズアップされたんだけど、あれは一体何だったんだろう?
トイレに行くのに階下へ降りるとリビングで
僕も中学の時に頑張っていればあの中に入っていけたんだろうか。そうすればもっと胸を張っていられるような自分になれたんだろうか。
そんな事を考えても僕は僕、今更変わる事はできないんだからしょうがない。
ふぅっと溜息を溢して用を足す。
今までも幾度も感じていた二人を羨ましく思う気持ち。情け無いよね、自分が努力してこなかったのに二人を羨ましく思うなんて……
「ソシャゲしよ……」
こんな楽しくない気持ちでゲームをしようと思ったのは初めてだった。
注意散漫になった状態でゲームをしていたら案の定小さなミスを連発。
「ダメだ……、こんなにミスしてたら」
ゲームアプリを終了させてスマホを枕元の充電器に接続する。
「もう寝よ……」
照明を消してタオルケットを頭までかぶる。
目を瞑ると思い出すのは三人で楽しく過ごしていた幼い時のこと。
「僕は……、あの時に戻りたいんだろうか……」
聞く者もいない疑問を最後に微睡の中に落ちていった。
◇
コンコンコンと三度扉をノックする音で僕は目を覚ました。
時計を確認すると23:17と表示されていた。
誰だろう?寝起きで頭が働いてない。そういえば、鍵掛けたかな?
照明をつけて鍵を確認すると閉まってない。
「開いてるよ」
上半身だけ起こして扉の前にいるであろう人に声をかける。
「お邪魔しま〜す」
そう声をかけて僕の部屋に入ってきたのは
「ごめんね、寝てた?」
「ううん、大丈夫だけど……、どうしたの?こんな時間に……」
僕にはどうして
「
そう言ってモジモジしている姿は昔の
「僕は……、僕には
僕という存在が恥ずかしくて俯いてそう告げる。ほんと、僕ってどうしようもないな……
そっと僕の両頬に手を添えて顔を上げさせられて
「
「僕の話なんて面白くないよ……、地味で目立たない様に過ごしてきただけだから……」
「ずっと、このままでいいの?」
「そりゃあ、変われるものなら変わりたいよ……、でも僕は変われないんだ……」
「どうして、そう思うの?変わろうとしたの?」
「っ、どうすれば変われるか分からない……、もう変われないんだよ……」
「そうやって、ずっと自分を甘やかすの?」
「っ!
図星を突かれて声を荒げてしまった。なんて情け無いんだ。グッと口を
「
優しく諭す様に告げられた言葉に頷く。
「きっかけがあれば変わる事はできると思うよ」
「そんな事……」
「だって、私がそうだったもの!」
そんな事ないと言葉を返そうとしたけどできなかった。強く告げられた
「
「それ、聞いちゃう?」
照れくさいのか僕の部屋に来て初めて
数度、深呼吸をする様に呼吸を整えてから
「私が変われたきっかけはね、好きな男の子にずっと好きでいてもらいたい。そう思って、その為に努力しようって思えたことかな」
そうだよな。いつまでも幼い頃の約束に縛られているはず無いじゃないか……
そう思うと涙が溢れていた。
僕は
「ちょっと、どうしたの?
涙を流す僕に気がついた彼女は茶化しているけど、心配そうな表情を僕に向けている。
「ううん、自分が情けないなあって思って……」
上を向き涙を拭う。どうせ、失恋してるのならちゃんと思っている事を言っておこう。
「僕、
「どんどん綺麗になっていく
ああ、こんな女々しい事を
「一緒に登校しなくなってから暫くの間はどうしたらいいのか分からなくて何も手につかなくなって、気がついたら本当にどうしようも無くなってた。クラスのみんなからも僕は地味で目立たないパッとしない奴という風に認識されて、僕はその役割を自分に割り当てたんだ。そんな状態で今まで過ごした僕はこの先も変わらないと思う。だからせめてもの救いだと思って昔、
「その言葉って……」
「うん、僕の『お嫁さんになる』って言ってくれたあの言葉……」
想いを振り切るようにグッと目を瞑る。そして続きの言葉を口にする。
「馬鹿だよね、
はぁ……、言っちゃった。僕の初恋、終わったなあ……
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