柳一郎の想いと莉子の想い
「私、誰とも付き合ってないよ」
「へっ!?」
「だからぁ、誰とも付き合ってない!」
「だって、『好きな男の子にずっと好きでいてもらいたい』って言ってたのに……」
「もう、私が好きなのは、ず〜〜〜〜〜っと、
顔を真っ赤にして僕に向かって叫んだその言葉は僕の中に染み込んできた。また、涙が溢れる。
「僕、こんなに情けないんだよ」
「それなら、私の為に変わって。胸を張って私の隣に立てる様になってよ」
「そんな事言われてもすぐには無理だよ」
「そんな事はわかってます。私が一体どれだけの間
「あの日からずっと?」
「そうだよ。私は
そう言って涙を溢す
「すぐに変われないかもしれない。それでも
「ぐすっ、私は、ずっと、
僕の肩に顔を埋めて想いを伝えてくれる
少しの間そのままで気持ちを落ち着かせる。
「
「うん……」
「だから、
「うん?」
「えっと、とりあえず形から入る方がいいのかな?」
「…………」
あら、何か失敗した?
二人の間に沈黙が流れ、言葉を都合としたその時、僕の部屋の扉が勢いよく開け放たれた。そこにいたのは
「もう!そういうところしっかりしなさい!!」
母の叫びに何を間違ったのか思い至る。
「
「好きです!!」
「なら、その事をきちんと伝えなさい!!」
「はいぃ!!」
母親の有無を言わせぬ発言に逆らうこともできずに公開告白をする羽目になった。
ほら、早くしろという三人からのプレッシャーを感じながら僕は
「
ポカンとした表情を浮かべる
「アンタねえ、普通は付き合ってくださいでしょう。どうしていきなり結婚の申し込みしてるのよ」
呆れた様な視線を三人から感じる。
明らかにいつもと違うホワホワとした表情を浮かべる
「
「不束者ですけどよろしくお願いします!!」
僕が改めて告白する前に返事が返ってきた。きてしまった。
「よし、じゃあ、
「これからはたくさんダメ出しするからね。覚悟しなさい」
父さんの言葉はともかく、母さんの言葉は嬉しくない。
「
僕と
久しぶりに会ったけど思っていたよりも好意的に受け止められているのは
きっと幼い頃から僕のお嫁さんになるって言い続けて来たんだろう。それを
僕はこの人達の期待にも応えられる様にならないとな。
気持ちを引き締めないといけないな。
そんな僕の決意をよそに両親達は酒盛りを始めた。
「皆んなは適当に寝なさいよ」
その母親の言葉を最後に僕達はリビングから逃げ出した。
「ふふっ、
「「えぇ〜!?」」
流石にそれはまだ早いというか、心の準備が。
「冗談ですよ」
「二人は明日デートして下さい。
「でも、僕そんなにお金持ってないよ」
アルバイトをしていない高校生が潤沢な資金を持っている筈はない。
「そこは大丈夫です。お義母さんにお願いしています」
そう言った
「
僕に対する信頼性のなさよ……
明日の時間だけ打ち合わせをして僕達は寝る事にした。
それにしてもこんな事になるとは思ってもいなかった。気持ちが昂っていて寝つけそうに無い。
結果としてはこれ以上ない程だけど、これから僕は頑張らないといけないな。
先ずは今まで手を抜いていた勉強を頑張ろう。漠然と進学する事を決めていたけど志望を
「何か目標を立てないと頑張れないもんな」
難しいからこそ頑張れる。それが自分の好きな人の為なら。
今になって
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