ある登校時の出来事
翌朝は寝落ちをしていつもより早く寝たというのに何故かギリギリだった。
でもね、これは僕も悪かった。
「
ボソッと呟かれたその言葉で何故か目が覚めた。言葉の意味を理解していたわけじゃない。ホントに何故か目が覚めた。あまりに近い位置にあった
「むぅ」
何故か残念そうにする
ガバッと跳ね起きた際に
「ご、ごめん、急いで着替える」
「はい、あと、寝癖がついていますよ」
そこから僕が慌てて朝食をかき込んで喉に詰まらせた事は笑ってやって欲しい。朝食を食べないと
◆
僕が遅くなったのは仕方がないのだけど、何故か
数年ぶりに一緒に登校している。流石に
「
久しぶりの後の言葉は小声で呟かれて聞き取れなかった。
「中学に入って最初の頃ぶりかな」
ふっと、あの頃を懐かしく思う。僕と二人が一緒にいる事を良しとしない周囲の視線に晒されて僕が二人から距離を置く事にした時の気持ちを。
「私、寂しかったんですよ。
隣を歩く彼女の表情は前を見たまま、その声はとても真剣なものだった。
「ごめん」
この言葉以外何も出てこなかった。
「いいんです、それより急がないと電車が来てしまいますよ」
「あ、ああ」
それからは二人とも無言で少し歩調を速めて駅に向かった。
◇
いつもの電車より一便遅い今朝の電車。超満員、勘弁して欲しい。
人の多さに酔いそうになるのもあるけど、
電車が揺れる度にむにゅっと柔らかいものが僕の身体に押し当てられてくる。その都度、理性ゲージが削られていく。ああ、駅までもつかな……
「ンンッ!?」
「どうかしたのですか?」
急に変な声をあげる僕を
「いや、多分気のせいだと思う」
「?そうですか」
そう、満員電車で他の人に接触してしまうことは仕方がない事。
一応、
手の甲でお尻を撫でられたようなそんな感じ。もしも、痴漢なら、間違ってます。僕は男ですよ!?
そんな冗談を思い浮かべていると電車がカーブに差し掛かったところでもう一度撫でられた気がする。今度は掌を押し当てるような感じで。
あ〜、これ完全にアウトなやつだよね。
何度も言うけど僕は男だよ!身長は低いけど!
もうすぐ高校の最寄り駅に着くからそれまでの我慢。痴漢に遭ったなんて笑い話以前の問題で遅刻になる。何より面倒臭いし、ホモとは関わりたくない。
電車が駅に着いて扉が開く。
立ち止まっている僕に気がついて
◇
「おはよう、
「
いつもの様に
「アップデート遅くまでかかってたからそれで?」
「ううん、待ってる間に眠っちゃってて、そのせいで変に寝起きが悪くなったみたい」
「ふ〜ん」
「お〜い、
「
「うん」
そう言って
視線の先にいた委員長が何故か苦虫を噛み潰した様な表情を浮かべていた。
◇
「はぁ〜、朝の尊い、
この二人だと妄想が捗らない。やっぱりこのクラスだと
朝の創作を邪魔された気分、今日は幸先が悪いなあ……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます