山梨さんが来なかった日
今日は
でも、クラスの男子からのあの視線を向けられないのは正直に言ってホッとする。あの悪意に満ちた視線は精神的にキツイ。
そんな事を考えながら今日もソシャゲで遊んでいると後ろの席に座る数少ない話し相手(友人では無い。と、思う)、
「
「
「あちゃ〜、ごめん、ごめん。それより、ランクSの武器ダブってるの無い?」
「弓なら有るけど」
「弓かぁ〜、剣か長柄武器がダブったらトレードしてよ」
「うん、その時は教えるよ」
「頼んだぜ」
僕から見ても爽やかなイケメン。高身長で、程よく筋肉がついている。それに成績も学年の上位だし、運動もそつ無くこなす。部活はサッカー部とモテる要素が満載。
そんな彼が僕と同じソシャゲをやっていて、一年生の時に偶々プレイ中のスマホの画面を彼が見た事で話をする様になった。三年間、彼と同じクラスになった事は僕にとって幸運だった。
彼の存在があるから僕はクラスでハブられずに済んでいるのかもしれない。そう感じているから。それは彼がいない時のクラスの雰囲気でヒシヒシと感じた。
もし彼の存在がなければ僕は男子に妬まれてイジメを受けていたかもしれない。そう思えるほど
まあ、女子からは別の視線を感じるけど。端的に言って僕を邪魔だと言っている様な視線。
でも、それは甘んじて受けよう。
いくら僕が恋愛に疎いと言ってもクラスの中で大きな声で話をしていれば嫌でも耳に入ってくる。多くの女子は長くても数ヶ月、一年を超えて付き合っているケースは少ない。早い子だと数週間で次の恋人の話をしていた。正直、呆れた。
僕は
その前に彼女を作れと
つまり、僕は
申し訳なさそうに僕にその事を頼んできた時には彼には悪いけど笑ってしまった。それくらい、僕が受けている恩恵に比べれば安いものなのに。
周りに聞こえないような小声で
「
「そんなことありえないよ」
「もし、だって、考えてみてよ」
もしかぁ、そんな事、万に一つもないだろうけど、
「ごめん、やっぱり僕と
「ははっ、そうだな。あの反応見てたら俺でも引いたもん」
「だよね、僕、すくみそうになったもん」
◇
「はぁ、今日も
クラス委員の私、
小柄で陰キャな
このクラスになれて良かった。遠巻きに眺めているだけでご飯三杯はいける。気を抜くとつい口元が緩んで女子にあるまじき笑いが漏れそうになる。
◇
数日こうしていれば
でも、一日会えないだけでも私は
やっぱり、明日、会いにいこうかなあ……、会いたいなあ。
私の性癖にピッタリな男性なんて今までいなかったんだから、これは運命だよね。ああ、私の手で育ててあげたいなあ、
◇
夕飯を食べ終えた後、僕は自室に戻ろうと席を立った。
食器を流しに持っていく事くらいはしている。以前、食器を洗おうとしたら
「
「来てないけど……」
「そうですか」
どうして
あれか、僕が彼女に手を出すと誤解してるのか?僕なんかが彼女みたいな美人に相手にされる筈がないのに、何を誤解してるんだ……
「じゃあ、僕は部屋に戻るから」
◇
もし、これが恋の駆け引きならこの後、再び押してくるんじゃないかな?
それは私にとっては非常に拙い。
「今度、帰った時には
忘れられていたらショックだなあ。その時は強引にでも迫るか。そこまで考えた私は多分真っ赤になっていたと思う。それに頭が
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