第2話 新たな仲間と共に

勇者一行は勇者の使命である魔王を討伐するために隣の村「」へ向かいそこで魔王に関する情報を得ようとしていた。


「そういえば……魔王ってこの世界に現れたのは最近なんだよな?」


 何気ない勇者の質問に女魔道士のフリンが答える。


「ええ、その通りよ。この世界にどこからともなく現れたって噂だわ」


「ふーん……でも町の人達に聞いた感じだとあまり危機感を感じてなかったけれどもしかして魔王ってそんな脅威じゃない?」

 

「……ただ魔王ともあるものが人々に危害を加えずにいるのは何かとんでもないことを企んでいるのではないかとも噂されているそうですよ」


 女僧侶のエマが勇者の質問に丁寧に答えるとそこに女戦士のセレーナが難しそうに言う。


「魔王の捜索は現在も各地で行われているんだが……まるで消えたかのようにその行方をくらませているんだ……一体どこに隠居しているのやら……」


 勇者もセレーナが言っていた魔王が隠れていそうな場所を思い浮かべると『城』にしかいるイメージがないのだが、もしそうだとしたら魔王探しなんてやる必要もなく王から居場所を教えてもらっているはずだ。


「……正直、魔王を討伐するよりも探す方が無理な話じゃない?」


 勇者がそういうと他の三人は深いため息をつく。


 勇者は魔王のことについて考えることをやめるようにした。


 それにしても勇者達は城からだいぶ今いる森の中を歩いてきたけれども一向に隣の村が見えてこない。


「なぁ~まだ隣の村にはつかないの? だいぶ歩いたと思うんだけど……」


 次第に勇者の歩く速度が遅くなるにつれ気怠い表情になってゆく。


「半分以上は歩いてきたと思うから…………ほらっ元気出しなさいよ!」


 フリンが仕方なく勇者の腕をつかみ引っ張ろうとする。

 何故なのか先頭を歩いているのはセレーナでありその着ている装備は誰よりも重そうな装備を付けているはずなのだが一切疲れを見せていない。

 勇者はフリンに引っ張られてもきちんと歩かずずっとフリンに引っ張られている。


「頼む~フリン……俺をおんぶしていってくれー……」


「冗談言ってないで自分で……どうせならセレーナにおんぶしてもらいなよ……」


「私は自分が着ている装備でいっぱいなんだ」


 フリンがセレーナに聞こえないぐらいの声だと思ったがそれをセレーナはちゃんと聞いていた。


「エマも無理せずに疲れたらすぐに言ってくれ」


 なんだかんだでエマもセレーナの後をついてきてはいるが少し息が荒くなっていることをセレーナは気が付いていた。


「……ご心配にならずに……セレーナさんはよく重たそうな装備を身に着けているのに疲れないんですか?」


 セレーナはエマの質問に答える際に後ろの二人の距離が遠いことを確認してその場でエマに話す。


「重たい装備って言っても必要最低限の箇所だけ守れるようにしているから動きにくいことは無いよ……」


 エマは納得したように頷くとふと小声でつぶやく。


「…………露出が高い理由ってそういうことなんだ…………」


「……エマ?」


 エマのつぶやきは当然セレーナに聞こえており、セレーナの表情は笑っているのに硬くてその表情を見たエマはセレーナに恐怖を覚えた。


 後ろの勇者とフリンがセレーナ達に追いつきセレーナはまた歩を進めようとすると遠くに木の建物が見える。


「勇者! 村が見えてきたぞ!」


 セレーナが勇者にそう伝えると勇者の目が光る。


「なにっ!? よ~しそれじゃあみんなで村まで競争だー!!」


「「「えっ!?」」」


 すると勇者は他三人に構わずさっきの疲れを感じさせないほど早く村まで走る。


 遠くに行く勇者を見てフリンが言う。


「なんか勇者ってさ…………」


 そのあとに続く言葉は三人とも一致していた。

 

「「「なんかガキっぽいな」」」


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