エピローグ
それからのことを少しだけ。
ひっくり返っていた勇者と魔王はすぐに復活した。その日だけは共通の敵を見つけたみたいで、喧嘩もせずに仲良く文句を言い続けていたけれど。
それからアサには、ずいぶんねちっこく詰め寄られた。空で抱き合っていたなんて、どんな視力をしているんだか。
おはるさんは元気を取り戻した。雨の季節が終わって、前にもまして愚痴の数が増している。久しぶりの空は、彼女にもいい影響を与えてくれたみたいだ。
竜の巣は少しずつ活気を取り戻している。きっと新しい王様が優秀なんだな。
もちろん全部がいっぺんに上手くいくわけじゃない。急な就任に反対する声もあるけれど、カエンは短気なおはるさんとは違って粘り強くやってるみたいだ。
男どもを震え上がらせる一喝は、マザードラゴンの専売特許なのかも。
だけど肝っ玉母ちゃんにはなれなくても、みんなを見守る優しい慈母ってのも悪くない。おばあちゃん思いの彼女にはそっちの路線もありだ。
もっとも。空の上でのおれへの罵倒を考えれば、いずれどうなるかは分からないけど。
それでも彼女は時折、偉大な先人と比べられてしょげかえる。
そんな時には、ふらりと大好きな人を訪ねて来る。
そうすればあら不思議。2人いっぺんに幸せが広がって、中庭のパラソルが一気に華やぐ。
こんな光景が見られるんなら、たまにはちょっとした無茶も悪くない。
ついでにおれもお呼ばれするんだけどね。
信じられるかい?
俺の新しいお茶飲み友達は、なんと空の上に住んでいる竜王様なんだ。
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