大学生の男の子
−駐車場に着きました!
4階の奥側に停めたシルバーのSUVです
21歳
大学でバスケ部に所属しているという彼は
七海に勧められた出会い系アプリで
10日前に知り合った
30代の人妻と付き合った経験から
歳上の女性にハマってしまったという彼からのメッセージが来た時は
流石に若すぎる‥と思ったけど
プロフィールに掲載された写真の甘いルックス、筋肉質なスタイルに惹かれて思わず返信してしまったのだ
それでも会うことにはためらいがあって
素気ない返事をしてみたり
はぐらかしてみたりしたが
14も歳下の彼から毎日積極的なメッセージが送られてくるのは
今まで感じたことのない高揚感があった
実際に会っても彼は私を女性として扱ってくれるのだろうか?
不安と期待が混ざり合ったものが湧き上がり
その疑問の答えを確かめてみたくなった
そして今日
彼が待ち合わせに指定してきたのはアミューズメント施設の立体駐車場
夏休み中の大学生が行き来する中を
私はキャップを目深に被りマスクで顔を隠して
シルバーのSUVの方へ近づいていく
運転席の彼はスマホでもいじっているのか
顔を下に向けたままだ
助手席に乗り込むとキャップとマスクを外して彼の顔を覗き込む
「こんにちは、カイトくん?」
「あっ‥こんにちは」
目線を斜め下に向けたままボソッと返事をした彼に微かな違和感を感じる
積極的なメッセージとは少しギャップがあるなと思った
「あ‥ごめんね、こんなおばさんがきちゃって‥」
「いえ、違うんです‥俺緊張してて‥
少し後ろに移動して話しませんか?」
人目の気になる駐車場を早く出たかったけど
もしかしたらカイトくんが想像してたイメージと私は違ったのかも‥と考えた
このまま駐車場で少し話して解散かな‥と思いながら後部座席に移動する
「立派な車だね
ご家族から借りてきたの?」
「いや‥一応自分の車だよ」
裕福な家庭なのかな‥と想像したが
それ以上は詮索しなかった
たわいのない話が続いたが
共通点がひとつもなく
互いに相手のことをどこまで深く聞いていいのかわからない2人の会話は当然盛り上がらない
私がリードするべきか引くべきか‥と考えて沈黙していると
「美月さん、手握ってもいい?」
と彼が顔を覗き込んでくる
「えっ‥」
急に距離をつめて強く手を握ったかと思うと
目を見つめて顔を近づけてきたので
咄嗟に手を離してぐっと彼の胸を押し返した
「ちょ、ちょ、ちょっと待って‥
こんなとこで‥
人に見られたら、本当に困る」
「あ‥ごめん‥」
と言って彼はすぐに目線を下に向けてしまう
また少しだけ気まずい沈黙が続いたが
先に口を開いたは彼だった
「2人きりの場所ならいいですか?」
「うーん‥」
少し迷っていると
「俺は美月さんと2人きりになりたい‥」
と、今度は優しく手を握り真っ直ぐ目を見つめてくる
コロコロと変わる表情や態度に
私も戸惑ったが
白いTシャツの上からでもわかるくらい筋肉質な彼の腕や背中に触れてみたくなった
手を握り返して頷くと
「じゃあ、美月さんはそのまま後ろに乗って隠れててね」
と言って運転席に乗った彼が無言で車を走らせはじめた
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