#10 アウトプットインフルエンサー

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 物書きの仕事に対するリスペクトを私はしっかり持っている。私は卑屈なところもあるのだけれど、ほとんどの人がそうであるのと同様に卑屈でないところもある。だから、リスペクトを持ちながらも、物を書くのは物書きの仕事と割り切りたくない。専門性が高いことになればなるほどに、アマチュアが入り込む隙がなくなる。ほとんどとは言わないまでも、多くの人がそうであるのと同様に私は、寿司を握ってみたいと思うし、トロンボーンを吹いてみたいと思うし、新喜劇の舞台に立ってみたいという気持ちがある。そんな多くの気持ちのうち、たまたま人生の流れの中で“やってみるチャンス”が訪れた時に、私はフッとそちら側に自らの身を投げ入れるのだ。思いを形にするのは楽しい。どんな風に楽しいかって?


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 人それぞれに、物書きとしての自分に対して思うことは異なるだろう。だから、私が物書きとしての私に対して思うことを、その形を書き記すことは面白いことであると思う。しかしながら、これはとても難しいので、臭みを感じても多めにみてやってほしい。アマチュアであることを初めて恥じる内容なのだから、多めにみてやってほしい。日記を書くとも異なるフィクションの執筆。それは自分の裸を、もちろん生身の体ではなく実態のない魂のようなものの裸を、スケッチしているようなものである。なんとも恥ずかしい表現である。そしてまた、恥ずかしい内容とも取れる。ヒソヒソと自分の裸をスケッチしてカクヨムへ投稿する。自主制作AVを晒しているのである。考えてみよう、金にならない自主制作AVを投稿し続ける少女のことを。あなたは惨めと思うか、かわいそうと思うか、はたまた羨ましいと思うか。


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 恥ずかしいという気持ちを少女は抱いている。Individual Porn Share では、投稿主に金銭を還元する仕組みがないが、多くの人間たちが自分の裸を世界に晒す。という条件において、少女の動機は一体どこにあるのか。自己表現である、快感である、承認欲求であるとそれらしくまとめてあげても構わない。しかし、多くの人が理解しやすい言葉に理由を集約して、細かい質感をこぼれ落としていることを思い出してほしい。人生は楽しい、とシンプルな言葉を投げかけたからといって、その人の人生が楽しくなるわけではないので、そのディティールをつらつらと書き記した本が世に存在し得るわけだ。少女が持つその流線形の情報は、数学的見地で語られても良いし、ごく普通にネタとして消費されても良い。ここまで複雑になってくれば私は簡単で無責任な言葉に意味を集約し、ここに立問者としての責任を放棄したいとも思い始める。


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 ここまで書き連ねて私は詰んだ。なぜなら、簡単に否定してしまった自己表現、快感、承認欲求という重要なワードに戻ってきて、考えれば考えるほどにただそこに理由が集約されてしまったからだ。わかりにくく書いてしまったから、味気のない文を書いておく。「物を書くのはかまってほしいからである」と。なんて浅はかであるか。架空の少女が私に教えたことはこんなにも簡単なことであったか。しかししかし、まだ分からないのだ、自分がバカで幸いだったと言い聞かせ、まだまだ書く。何がわかるかも分からない、何を知りたいかも分からない、だから続けるしかない。みんなと一緒に探したい、物を書くということの奥にいる少女の動機を、気持ちを。ご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。

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