#4 回転

観覧車はカラフルなゴンドラをグルグルと回し続ける。誰が一体観覧車を回しているのだ?と私は問われ、フンっと鼻で笑ってやった。

「観覧車を回しているのは、間接的には人であり、直接的にはモーターさ。当たり前さ。」


ああ、可愛い仔犬だ。クルクル〜、クルクル〜!素晴らしい動きである。筋肉は非常に柔軟で、肉球とはグリップである、と言わんばかりの停止力や反発力が目の前を駆け巡る。誰が一体この仔犬を回しているのだ?と貴方は問われ、柔らかい笑みで答えてくれた。

「このワンちゃんを回しているのは、きっと尻尾への正の走性であるし、シナプスの電流よ。当たり前じゃない。」


はぁ、なぜグルグルと回り続けるものの象徴が山手線であるのか。あなたの次は私、私の次は君であるということと、渋谷の次は原宿、原宿の次は代々木であるということが果たして同義であるのだろうか?君は代々木でありたいとか、はたまた目白でありたいとか、そんな感情すら持ち始めるのだろうか。そんなわけは無いのだ。人は自然の輪から仲間はずれにされてしまったから、山手線のように回転し続けるのだ。


僕はあなたに気づかれない程度のさり気ない溜息を生み出して静かにしずかに眠りについた。


「山手線を回しているのはこの世の人以外のすべてさ。カラスや滝や太陽の光線であるのさ。当たり前じゃないか。そうじゃないかな?」


スー、スー。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る