第23話 密談

 昼間なのに、ここは暗くて狭いトンネル内。

 黒田官兵衛ハリネズミが、城から陣屋がある公園に行くために掘った秘密のトンネルだ。

 ここで今、黒田官兵衛ハリネズミと織田信長ウサギが密談している。


「痛いぞ。そんなに近寄るな」


 織田信長ウサギが後足でトンネルの底を蹴って警戒音を鳴らした。耳打ちしようと近寄ってきた黒田官兵衛ハリネズミの針が、体を突き刺したからだ。


「なんでわざわざトンネルの中で密談しておると思っとるんじゃ」


 怒りまくる織田信長ウサギの、トンネルの底を蹴る後足は止まらない。


「あっ」

 思い出したと、黒田官兵衛ハリネズミは後ずさった。

「そうじゃった。ひそひそ話をする必要はないわ」


「そうじゃ。誰もおらんし、誰にも気付かれておらん」


 蹴っていた後足を止めた織田信長ウサギは、長い耳をぴくぴくと動かし改めて探る。


「はっ」


 黒田官兵衛ハリネズミは畏まった。


「わし以外、誰にも聞かれたくないという調査隊の情報を報告せよ」


 織田信長ウサギは重厚に鼻を鳴らした。


「はっ」


 襟を正すように四肢を立てて鼻を上げた黒田官兵衛ハリネズミは、滔々と述べ始めた。

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