第4話 幕間 雑談


 ドタバタと足音。

「なあこれ見てくれよ!」

 今日も倉庫に怪力乱神がやって来た。

 それは特撮ヒーローの玩具だった。

 腰に巻くヤツ。

「なあ、怪力乱神」

「あたしには櫻坂桜って名前が」

「最近の特撮ヒーローは玩具をガチャガチャガチャガチャと鬱陶しくないか?」

「え? そこがかっこいいんじゃん。ギミック満載って感じで」

「ただスイッチを押すだけが?」

「光る! 鳴る!」

 これだから脳筋には付き合っていられない。

 僕は趣味のネットサーフィンに没頭する。

 パソコンの付喪神である僕にとってそれは人間でいうところの瞑想みたいなものだ。

 しかし、そこで見つけてしまった。

「レーティングR18の特撮ヒーロー……だと!?」

「あー今度ネットでやるやつか」

「見たい! ぜひとも見たい!」

「どした急に」

 まさか怪力乱神に引かれる日がやって来ようとは。

 だが。

「なにしろ役者がいい! 子役時代にしか特撮に出てなかった俳優もいるではないか!」

「お、おう」

「これは要チェックだ……」

「んじゃ今度スマホで見せてやるよ。あたしん家、契約してるの親だからレーティング関係ないし」

「本当か!?」

「お、おう……本当に珍しいくらい興奮してるのな」

 引き気味からドン引きになった。

 まあいい。

 僕はその特撮ヒーローの情報をSNSで漁っていくのだった。

 その様子をどこか微笑ましい子供を見る母親のような目線の怪力乱神がいる事も忘れて。


 ――『意馬心猿の怪』に続く――

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